「りんぷうの会」 公式ブログ

能楽の素晴らしさをお伝えするために 能楽関連情報を中心に更新中〜
能楽写真家・神田佳明が会長です

森田研作さん撮影の能楽写真 その2 能『巴』

2017年08月20日 | 会員写真ギャラリー

更新が遅くなってしまって申し訳ありません
ご好評につき、森田研作さん撮影の舞台写真 第二弾です

今回は能『巴』より
シテは喜多流能楽師の出雲康雅先生
(横浜能楽堂本舞台)

『平家物語』で有名な女武者・巴御前が主役で
能の人気曲の一つです
    
冒頭画像は、女ゆえに戦場で最期を供にすることが許されず
討ち死にした木曾義仲の形見の水衣を手に
愛する人を深く忍ぶ巴御前




森田さんはクラシックバレーやフラメンコ、
お芝居や音楽ライブなどの舞台撮影に関しても
長いキャリアをお持ちで定評のあるプロカメラマンですが
今は特に能楽舞台撮影に夢中とのことです

『巴』の撮影は今回で二回目だったそうですが
橋掛り二ノ松あたりに凛として立った
小面(こおもて)の女武者姿に、そしてその美しさにため息が出て
見惚れてしまったとのこと

確かに美しく凛々しい巴の舞姿に目と心を同時に奪われます




こちらは舞台終盤
武具を解き義仲の形見の水衣を身にまとって
ふるさとの木曽を目指して落ちのびて行く巴

甲冑姿を表す唐織(からおり)という豪華絢爛な装束から
一転して清楚な白い水衣をまとう巴の姿には
愛する者を失った敗者の哀切の念が凝縮されているように思います


ご覧になった方も多いかと思いますが
2017年現在、NHKで放映中の大河ドラマ『おんな城主直虎』の初回に
ちょっと短かったですが、能『巴』の舞台シーンが登場していました

女性城主が主役の大河ドラマで
井伊直虎も初恋の幼馴染との悲恋と別れを乗り越えて
戦国サバイバルを果たす、たくましい女性なので
ドラマ初回の『巴』の舞台シーンの挿入は格好の象徴だったのかなと思います

ご存知の通り、直虎が血の涙の代償に存続させた井伊家の子孫が
「安政の大獄」や「桜田門外の変」で有名な幕末の大老・井伊直弼(いい なおすけ)ですが、
横浜能楽堂では毎年、井伊直弼を偲んで「横浜かもんやま能」が行われており
今年も10/15(日)開催だそうです

横浜能楽堂のお隣には掃部山公園(かもんやまこうえん)があって
井伊直弼の銅像が立っています

江戸時代には不動山と呼ばれていた一帯を
1884年(明治17年)に旧彦根藩士が買い取って井伊家の所有になったそうで
それ以降、直弼の官位である掃部頭(かもんのかみ)から掃部山の呼称になったとか

井伊直弼は能楽に造詣が深く、能や狂言を自ら作ってもいたそうで、
実は、2007年に横浜能楽堂で160年ぶりに直弼作の能『筑摩江(つくまえ)』の復活公演が行われた際に
シテ(=主役)を演じたのは、出雲康雅先生でした

ちなみに管理人は2008年に横浜能楽堂で能『筑摩江』が同じく出雲先生のシテで再演された際に
客席から拝見し、会長の神田佳明は2007年も2008年も『筑摩江』の舞台撮影をしております




◆2008年の横浜能楽堂の『筑摩江』公演の記事になりますが、
興味のある方はこちらからどうぞ  ヨコハマ経済新聞 井伊直弼ゆかりの掃部山公園で「横浜能」上演-開港150周年記念

◆井伊直弼の能楽トリビアについてはこちらを  the 能.com 幕末の大老・井伊直弼は、能・狂言作家だった?

◆第34回 横浜かもんやま能についてはこちらからどうぞ  横浜能楽堂ホームページより http://ynt.yafjp.org/schedule/?p=2184



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森田研作さん撮影の能楽写真 その1 能『花月』

2017年08月06日 | 会員写真ギャラリー

本日は能『花月』より森田研作さん撮影の舞台写真をアップ致しました

6/5(月)横浜能楽堂で行われた、りんぷうの会・能楽写真クラブAZ共催の能楽撮影会より
シテ(=主役のこと)は喜多流能楽師の出雲康雅先生です

ごく簡単に解説させていただくと
『花月』の主人公は見目麗しい美少年で
京の清水寺界隈で評判の遊芸人です

『花月』は能の中でもそれほど大曲ではありませんが、
花月少年が軽やかに小歌を謡い曲舞(くせまい)を舞い、
芸尽くしを見せる祝祭的な趣の強い楽しい曲です

冒頭写真は花月が鶯を射る真似をして見せるシーンで
『花月』の一番の見せ場、ハイライトになります

弓矢を手にして舞う正面から撮影の舞台写真が
割りとスタンダードで、森田さん撮影のこの写真のように
真横からシテをとらえた作品は珍しいと思いますが
端正な横顔と相まって、舞台の清冽な空気感が
画面からより強く伝わるように思います




掛け値無しの美少年・花月の華麗な舞姿

日本では古来より「衆道」(しゅどう、男色のこと)は一般的で
特に異端視されるものではなかったとのこと
『花月』にはそうした中世の美少年趣味が投影されてもいるようです

また、現代の感覚からするとかなり奇異な感じがしますが
花月少年は七歳の時に天狗にさらわれ
親元を離れて流れ者=遊芸人になってしまったという設定です

治安が悪く戦乱などで子供が人さらいにあって、
「天狗にさらわれた」とか「神隠し」などと行方不明になるのは
恐らく日常茶飯事だったのでしょう

能ではそうした親子の哀しい生き別れを主題にした曲が
いくつかありますが(特に有名なのは名曲『隅田川』
『花月』では親子が運良く再会しラストでは
仲良く二人で旅立って行きます




羯鼓(かっこ)を打つ花月

こちらは「いかにも」という『花月』の定番カットではありますが
表情が上品で可愛らしく、生き別れの父親と奇跡の再会を
果たした嬉しさが画面からも感じられます

森田さんは以前も当ブログで何回か作品をご紹介しておりますが
商品撮影(いわゆる物撮り)からミュージシャンの撮影(←アー写とかジャケ写というらしいです)まで
何でもござれの経験豊富なプロカメラマンです

◆森田さんのこれまでに掲載の過去記事から
「遊び心」写真 by 森田研作
意外な写真シリーズ 花写真篇
ニューサマーオレンジ(日向夏)の写真篇


能楽写真にも「森田カラー」が色濃く反映されているように思いますが
いかがでしょうか


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