更新が遅くなってしまって申し訳ありません
ご好評につき、森田研作さん撮影の舞台写真 第二弾です
今回は能『巴』より
シテは喜多流能楽師の出雲康雅先生
(横浜能楽堂本舞台)
『平家物語』で有名な女武者・巴御前が主役で
能の人気曲の一つです
冒頭画像は、女ゆえに戦場で最期を供にすることが許されず
討ち死にした木曾義仲の形見の水衣を手に
愛する人を深く忍ぶ巴御前
森田さんはクラシックバレーやフラメンコ、
お芝居や音楽ライブなどの舞台撮影に関しても
長いキャリアをお持ちで定評のあるプロカメラマンですが
今は特に能楽舞台撮影に夢中とのことです
『巴』の撮影は今回で二回目だったそうですが
橋掛り二ノ松あたりに凛として立った
小面(こおもて)の女武者姿に、そしてその美しさにため息が出て
見惚れてしまったとのこと
確かに美しく凛々しい巴の舞姿に目と心を同時に奪われます
こちらは舞台終盤
武具を解き義仲の形見の水衣を身にまとって
ふるさとの木曽を目指して落ちのびて行く巴
甲冑姿を表す唐織(からおり)という豪華絢爛な装束から
一転して清楚な白い水衣をまとう巴の姿には
愛する者を失った敗者の哀切の念が凝縮されているように思います
ご覧になった方も多いかと思いますが
2017年現在、NHKで放映中の大河ドラマ『おんな城主直虎』の初回に
ちょっと短かったですが、能『巴』の舞台シーンが登場していました
女性城主が主役の大河ドラマで
井伊直虎も初恋の幼馴染との悲恋と別れを乗り越えて
戦国サバイバルを果たす、たくましい女性なので
ドラマ初回の『巴』の舞台シーンの挿入は格好の象徴だったのかなと思います
ご存知の通り、直虎が血の涙の代償に存続させた井伊家の子孫が
「安政の大獄」や「桜田門外の変」で有名な幕末の大老・井伊直弼(いい なおすけ)ですが、
横浜能楽堂では毎年、井伊直弼を偲んで「横浜かもんやま能」が行われており
今年も10/15(日)開催だそうです
横浜能楽堂のお隣には掃部山公園(かもんやまこうえん)があって
井伊直弼の銅像が立っています
江戸時代には不動山と呼ばれていた一帯を
1884年(明治17年)に旧彦根藩士が買い取って井伊家の所有になったそうで
それ以降、直弼の官位である掃部頭(かもんのかみ)から掃部山の呼称になったとか
井伊直弼は能楽に造詣が深く、能や狂言を自ら作ってもいたそうで、
実は、2007年に横浜能楽堂で160年ぶりに直弼作の能『筑摩江(つくまえ)』の復活公演が行われた際に
シテ(=主役)を演じたのは、出雲康雅先生でした
ちなみに管理人は2008年に横浜能楽堂で能『筑摩江』が同じく出雲先生のシテで再演された際に
客席から拝見し、会長の神田佳明は2007年も2008年も『筑摩江』の舞台撮影をしております
◆2008年の横浜能楽堂の『筑摩江』公演の記事になりますが、
興味のある方はこちらからどうぞ ヨコハマ経済新聞 井伊直弼ゆかりの掃部山公園で「横浜能」上演-開港150周年記念
◆井伊直弼の能楽トリビアについてはこちらを the 能.com 幕末の大老・井伊直弼は、能・狂言作家だった?
◆第34回 横浜かもんやま能についてはこちらからどうぞ 横浜能楽堂ホームページより http://ynt.yafjp.org/schedule/?p=2184
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