続編記事を早くアップせねば~と思っているうちに
はや10月になってしまいました
皆様いかがお過ごしでしょうか
冒頭写真は先月の能楽舞台撮影会の能『海人』より
撮影は神田佳明会長 シテは喜多流能楽師の出雲康雅師です
能『海人』というのは現代人の感覚からすると、ちょっと不思議なお話で
要は我が子の立身出世のため母親が、はかなくも落命するというのが大筋なんですが
決して可哀想なお話ではなく、シテ(=主役)の母親は
成長して自らの悲願通り大臣の地位を得た我が子と再会し(と言っても母親は既にこの世のものではなく
亡霊になっちゃっています)法華経の功徳で成仏できると喜ぶんですね
撮影会当日、三浦裕子先生(武蔵野大学能楽資料センター長・特任教授)の解説を伺って、なるほどと思いました
この曲は讃岐国の志度の浦にある志度寺の縁起物という宗教的な側面を持ち
後場(=お能の舞台の後半部分)で母親が法華経の功徳を讃えて舞う早舞は
宗教的な法悦の舞でもあるそうです
三浦先生の解説で初めて知ったことですが、
昔の仏教思想では女性はそのままでは成仏できないと考えられていたとか
仏陀=お釈迦様が生きた当時のインドでは、ひどい男尊女卑だったようで
それを反映して、女性は輪廻転生の中で男性か竜に生まれ変わらない限り成仏できないと
されていて、『海人』でも後シテは龍女となって舞台に再登場するわけです
三浦先生の解説を伺うまで、元々、母親は海人=海女さんだったから
海にゆかりがないとも言えない(?)龍に後シテで変化(へんげ)するのかなと誤解していました
なるほど、そういった背景を踏まえた上で冒頭写真を再度、拝見すると
出雲先生の舞の迫力や迫真性の所以が分かるように思います
自らの究極の自己犠牲=落命の結果、我が子は位、人臣を極め
自身は卑しい海人で、しかも通常であれば成仏できない女性の身で
龍に生まれ変わって成仏まで出来る
こんなに喜ばしいことはないですよね
…しかし、女性は先天的にダメな存在で男か龍に生まれ変わって
はじめて成仏するって、ずいぶんな話ではあります
来月11月22日(日)に武蔵野大学の千代田サテライト教室にて
三浦裕子先生が櫻間金記師(金春流)と対談をされます
定員30名と少ない募集枠のようですが
ご案内させていただきます
◆能楽おもしろ対談
― シテ方金春流能楽師・櫻間金記氏をお迎えして ―
開催日:11月22日(日)
時間:15:00~17:00
会場:武蔵野大学 千代田サテライト教室(東京都千代田区四番町11番地)
受講料:3,500円
定員:30名
講師:三浦裕子(武蔵野大学能楽資料センター長・特任教授)
主催:武蔵野大学 社会連携センター
問合せ先:社会連携センター学術事業事務室 TEL:042-468-3222
さて
今後の当ブログの掲載予定ですが、先日の能楽撮影会で古谷久夫さんから
とても素敵な白鷺の写真作品をお預かりしましたので
近日中にアップさせて頂く予定です
また、以前ご紹介させていただいた山口鷺流狂言保存会の11月7日(土)の公演情報
(山口県教育会館、14時開演)も届いております
詳細につきましては後日ご案内致しますので
もう少々お待ち下さい
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