「りんぷうの会」 公式ブログ

会長:神田佳明(能楽写真家)
能楽撮影教室・能楽舞台撮影会は現在、休止中です

GINZA SIXの蔦屋書店は能楽書籍コーナーが充実しています

2017年10月01日 | 能楽ニュース

10月になりました
皆様お元気にお過ごしでしょうか

本日は読書の秋 到来〜ということで
GINZA SIXの蔦屋書店の能楽書籍コーナーのご紹介です

ご存知の通りGINZA SIXは今年4月、地下3階に観世能楽堂
備えてオープンした複合商業ビルで話題のスポット

6階にはアート関係の書籍、特に日本文化関連の書籍に力を入れて展開している銀座 蔦屋書店があり
能楽書籍コーナーも非常に充実していて、おすすめです

りんぷうの会の会長である神田佳明が長年にわたって撮影してきた書籍も
豪華本を含めて多数、並んでいて壮観でした








 
神田撮影の書籍は、書棚の上段に『井伊家能面百姿』『井伊家能装束百姿』(平凡社)と
『能面打ち・上巻』『能面打ち・下巻』(淡交社)があり、
中段には、表紙を鬘扇が飾る『華の能』(講談社)と、
友枝昭世師の〈松風〉が美しい『面からたどる能楽百一番』(文章は当会副会長の
三浦裕子武蔵野大学文学部教授)が並んでおりました




下段は狂言コーナーになっていて、
青地に黄色の背表紙が印象的な『山本東次郎・狂言面』(玉川大学出版部)と
小林責監修『狂言面』(淡交社)がありました

銀座にお越しの際は、是非よろしければお立ち寄りください


ちなみに、GINZA SIXの蔦屋書店はホームページも
とても美麗で内容的にも充実しておりますので必見です↓

https://store.tsite.jp/ginza/



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秋色写真 by 森田研作

2017年09月17日 | 会員写真ギャラリー

さて
昨日(9/16)の森田さん撮影の夏色写真4カットに続きまして
本日は能楽舞台写真より秋色作品をお送りします





2013年6月の能楽舞台撮影会から能『小鍛冶』
シテ(=主役のこと)は喜多流能楽師の出雲康雅先生

祭壇の上で剣を鍛え上げるシーンで『小鍛冶』の一番の見せ場になります

『小鍛冶』の季節設定は一説には冬で旧暦の11月頃のようですが
一畳台(いちじょうだい)の赤い地色を受けて
面(おもて)と白い装束に、ほんのり赤みがさして紅葉の朱を思わせるようなカットなので
秋色写真としてアップさせていただきました




こちらも2013年6月の能楽舞台撮影会の時のカット

能『野宮』より
シテの六条御息所を演じるのは同じく出雲先生です

時は秋 京の嵯峨野の野宮で旅僧の前に六条御息所の亡霊が現れ
光源氏との苦しい過去の恋の思い出を語り救済を求めて舞う、
というのが能『野宮』のあらすじですが
この舞台写真では、煩悩や妄執を突き抜けて
はかなく寂し気な風情で、その表情には可憐さすら感じられるようです

原作の『源氏物語』では、斎宮に選ばれた愛娘に同行して
伊勢下向を決めた六条御息所は30歳くらいの年齢設定のようで
当時としては失礼ながら結構、年配女性になるのではないかと思いますが。。。

個人的には
「こんな素晴らしい女性を袖にするなんて光源氏は阿呆じゃなかろうか」と
思ってしまうほど若々しく美しい六条御息所の舞姿で
もしかして、出雲先生が表現されたかったのは
光源氏との恋の絶頂期で一番きれいだった頃、若き日の六条御息所の姿だったのかもしれません

「どうせ亡霊として出て来るなら、やはり自分の一番いい頃の姿で出現したいのでは??」
などと言ってしまうと身も蓋もないけれど(←申し訳ありません
この時の能面が「増女」でも「孫次郎」でもなく「小面」だったので
非常に良かったと思います

《ごく簡単で大雑把な解説》
女性を表す能面=女面の中でも「小面(こおもて)」がもっとも年若い女性の面で
年齢としては10代の女性の顔と言われています

「増女(ぞうおんな)」も「孫次郎(まごじろう)」も「小面」より
やや年長で、「増女」は女神や高貴な女性の役柄で使用されることが多く
ちょっと人間離れした冷たい感じの美女の面で
「孫次郎」は逆に少し世俗的な親しみのある美人の面です

興味のある方は淡交社刊『面からたどる能楽百一番』をご参照ください


森田さん撮影の『野宮』の舞台写真は実は以前にも別カットを当ブログで
掲載しております

また違った趣で、同じお舞台なのに、不思議と落ち着いて、しっとりした大人の美人に見えます

↓そちらもよろしければ是非ご覧下さい(記事本文の内容が季節外れなのはご容赦いただければと思います

http://blog.goo.ne.jp/rinpoonokai/e/d043bd8fdc92c348450013a972d0b931



また、出雲先生の公演情報ですが
9/24(日)の喜多流自主公演で能『阿漕(あこぎ)』のシテを舞われます

この機会に是非、実際の生の出雲先生のお舞台をご覧下さい


◆喜多流9月自主公演

2017年9月24日(日)11時開場 12時開演 十四世喜多六平太記念能楽堂
能 『経政』 谷大作 宝生欣哉 内潟慶三 飯冨孔明 佃良太郎
狂言 『腰祈』 野村萬斎
能 『半蔀』 友枝真也 御厨誠吾 小野寺竜一 住駒充彦 柿原光博
能 『阿漕』 出雲康雅 大日方寛 藤田朝太郎 鵜澤洋太郎 國川純 小寺佐七

全席指定 
S席 9,000円 A席 8,000円 B席 7,000円
C席(1階桟敷席)6,500円 D席(2階席)6,500円 学生席(2階席)2,500円


十四世喜多六平太記念能楽堂 
http://www.kita-noh.com/




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夏色写真 by 森田研作

2017年09月16日 | 会員写真ギャラリー

せっかくの3連休だというのに台風が来ていますね


今後の台風情報をこまめにチェックして
皆様どうぞお気をつけ下さい

振り返ってみると今年の夏は後半、長雨続きで
各地で豪雨被害もありました

雨が降らないとなると今度は一転して
身体が悲鳴を上げるほどの猛暑だったりで
今年は、あまり夏を楽しめなかったような気がします

ということで本日は森田研作さんから届きました夏色スナップのご紹介

冒頭画像、青紫の色合いが本当に美しい朝顔
画面に吸い込まれそうです




カールした花びらのフォルムが秀逸なカット
森田さんが撮影すると見慣れたはずのテッポウユリも格別の趣になるようです

きれいなだけではなくて、ちょっと厚みがあってポッテリした花びらの質感も
同時に感じられて面白いと思いました




露草の青がひときわ映えるカット
よく見ると、花のすぐ上でバッタがさり気なく自己主張しています




ドレスのフリルのような百日紅の花
社交ダンスのドレスを連想しました

風にそよいでいるカットではないのですが
不思議と躍動感が感じられるようにも思います

百日紅の花の生命力ゆえでしょうか



以上、悪天候なので、せめてカラフルで元気が出る写真をお届けすべく
森田研作さん撮影の夏色写真特集でした

次回は同じく森田さん撮影の秋色写真特集をお送りします




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2017年9/22(金)大蔵流狂言 山本東次郎家「則重則秀の会」のご案内

2017年09月04日 | 能楽公演・能楽関連イベントのご案内

昨日(9/3)の記事でご紹介致しました「則重則秀(のりしげ のりひで)の会」について
あらためてご案内させていただきます

今回の公演の演目は狂言『柿山伏』と『素袍落(すおうおとし)』の二曲

山本東次郎家の若手の中心として活躍されている
山本則重先生と則秀先生がご兄弟で
それぞれシテ(=主役)とアド(=相手役・脇役)を演じられます

則重先生と則秀先生のお父様は山本則俊先生で
お二人とも父親譲りの豊かな美声をお持ちで
ご兄弟そろってお舞台に華があり
初めて狂言をご覧になる方にもおすすめです


冒頭写真は狂言『柿山伏』より
シテ(=主役)の柿山伏は山本則秀先生

視線の先にあるのは美味しそうに実った柿の木
石を投げて柿の実を落とそうとしているシーンです

『柿山伏』は今、小学校の国語の教科書に掲載されているので
とてもポピュラーな曲になっていますね
(ちなみに管理人が大昔、小学生の時には『柿山伏』ではなく
『附子』が国語の教科書に載っていました)

もう1曲の狂言『素袍落』では
大酒を飲んで大失敗してしまうシテの太郎冠者が
人間味あふれていて、とても魅力的に描かれています

太郎冠者がお酒に飲まれてしまうのは狂言の定番と言っても
いいかと思います

今回の公演のサブタイトルは
「まったく記憶に御座いません」

恐らく一定以上の年齢の方は皆そうかと思いますが、
やはりロッキード事件の小佐野賢治氏の国会での証人喚問を連想してしまいました
(年齢的に則重先生も則秀先生もリアルタイムではご存知ないと思うのですが。。。)

そのへんの事情については公演当日、お二人からお話があるかもしれません







◆第2回 則重則秀の会

2017年9月22日(金)午後7時
セルリアンタワー能楽堂 
(渋谷駅より徒歩5分、国道246号線沿い セルリアンタワー東急ホテルの地下2階)
http://www.ceruleantower-noh.com/
入場料 S席4000円  A席3500円  B席3000円 

狂言「柿山伏」 シテ(山伏)山本則秀  アド(柿主)山本則重
狂言「素袍落」 シテ(太郎冠者)山本則重  アド(主)山本則秀  アド(伯父)山本則俊
おはなし 山本則重 山本則秀

お申し込み・お問い合せ  
カンフェティ  ℡ 0120-240-540(平日10時~18時)

   






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2017年9/24(日)大蔵流狂言 第60回 青青会のご案内

2017年09月03日 | 能楽公演・能楽関連イベントのご案内

9月になりました
ようやく暑さが収まって少し秋らしくなって
ホッとしていらっしゃる方が多いのではないかと思います

皆様いかがお過ごしでしょうか


さて
本日は今月9/24(日)に杉並能楽堂で開催される
大蔵流狂言 山本東次郎家の青青会のご案内です

青青会とは山本東次郎先生(人間国宝)が同家の若手の成長を願って
その修練の場として1988年(昭和63年)より
継続して年に2回、定期的に開催されている狂言公演になります

今回は記念すべき第60回の公演ということで
特別に小舞20曲が予定されており
山本東次郎先生と山本則俊先生は1曲ずつですが、
若手の山本泰太郎先生、山本則孝先生、
山本則重先生、山本則秀先生、
山本凜太郎先生、若松隆先生がそれぞれ3曲ずつ小舞を披露されるとのこと

小舞20曲の公演というのは非常に珍しいかと思います

世阿弥の「舞歌二曲」という言葉にあるように
お能と同様、狂言の基本も「謡」と「舞」なので
青青会の原点に立ち戻るという意味合いで
今回は特別に小舞特集にされたそうです
(青青会パンフレット掲載の東次郎先生のご挨拶文より)

20曲の小舞の後、東次郎先生と則俊先生による
狂言『昆布売』が予定されています

シテの大名が東次郎先生で昆布売を則俊先生が
演じられます

ご兄弟の息のあった丁々発止のやり取りが必見かと思います


◆第60回 青青会 小舞特集

2017年9月24日(日)午後1時30分開演
杉並能楽堂 杉並区和田1-55-9
(東京メトロ・丸ノ内線 中野富士見町駅下車5分
入場料 一般2000円 学生1000円(全自由席 見所は座敷です)   


小舞 「七つになる子」山本泰太郎 「餅酒」山本則孝
「景清」若松隆 「暁の明星」山本凜太郎 「御田」山本則重

小舞 「府中」山本則秀 「鵜の鳥」山本則重
「通円」 山本凜太郎 「海道下り」若松隆 「住吉」山本則俊

小舞 「いたいけしたる物」若松隆 「鸚鵡」山本則秀
「楽阿弥」山本則孝 「貝尽し」山本則重 「蛸」山本泰太郎

小舞 「鵜飼」山本凜太郎 「宇治の晒」山本則孝
「名取川」山本泰太郎 「法師が母」山本則秀 「柴垣」山本東次郎

狂言「昆布売」 シテ(大名)山本東次郎  アド(昆布売)山本則俊



また、則重先生と則秀先生のご兄弟が「則重則秀(のりしげ のりひで)の会」を
立ち上げられており、上記の青青会の2日前になりますが
9/22(金)に渋谷のセルリアンタワー能楽堂で第2回目の公演を開催されます

演目は狂言の人気曲2曲で『柿山伏』と『素袍落(すおうおとし)』

チケットがもうあまりないかもしれず恐縮ですが
こちらも非常に意欲的で楽しみな公演でしたので
ご紹介させていただきます


◆第2回 則重則秀の会

2017年9月22日(金)午後7時
セルリアンタワー能楽堂 
(渋谷駅より徒歩5分、国道246号線沿い セルリアンタワー東急ホテルの地下2階)
http://www.ceruleantower-noh.com/
入場料 S席4000円  A席3500円  B席3000円 

狂言「柿山伏」 シテ(山伏)山本則秀  アド(柿主)山本則重
狂言「素袍落」 シテ(太郎冠者)山本則重  アド(主)山本則秀  アド(伯父)山本則俊
おはなし 山本則重 山本則秀

お申し込み・お問い合せ  
カンフェティ  ℡ 0120-240-540(平日10時~18時)

   


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森田研作さん撮影の能楽写真 その2 能『巴』

2017年08月20日 | 会員写真ギャラリー

更新が遅くなってしまって申し訳ありません
ご好評につき、森田研作さん撮影の舞台写真 第二弾です

今回は能『巴』より
シテは喜多流能楽師の出雲康雅先生
(横浜能楽堂本舞台)

『平家物語』で有名な女武者・巴御前が主役で
能の人気曲の一つです
    
冒頭画像は、女ゆえに戦場で最期を供にすることが許されず
討ち死にした木曾義仲の形見の水衣を手に
愛する人を深く忍ぶ巴御前




森田さんはクラシックバレーやフラメンコ、
お芝居や音楽ライブなどの舞台撮影に関しても
長いキャリアをお持ちで定評のあるプロカメラマンですが
今は特に能楽舞台撮影に夢中とのことです

『巴』の撮影は今回で二回目だったそうですが
橋掛り二ノ松あたりに凛として立った
小面(こおもて)の女武者姿に、そしてその美しさにため息が出て
見惚れてしまったとのこと

確かに美しく凛々しい巴の舞姿に目と心を同時に奪われます




こちらは舞台終盤
武具を解き義仲の形見の水衣を身にまとって
ふるさとの木曽を目指して落ちのびて行く巴

甲冑姿を表す唐織(からおり)という豪華絢爛な装束から
一転して清楚な白い水衣をまとう巴の姿には
愛する者を失った敗者の哀切の念が凝縮されているように思います


ご覧になった方も多いかと思いますが
2017年現在、NHKで放映中の大河ドラマ『おんな城主直虎』の初回に
ちょっと短かったですが、能『巴』の舞台シーンが登場していました

女性城主が主役の大河ドラマで
井伊直虎も初恋の幼馴染との悲恋と別れを乗り越えて
戦国サバイバルを果たす、たくましい女性なので
ドラマ初回の『巴』の舞台シーンの挿入は格好の象徴だったのかなと思います

ご存知の通り、直虎が血の涙の代償に存続させた井伊家の子孫が
「安政の大獄」や「桜田門外の変」で有名な幕末の大老・井伊直弼(いい なおすけ)ですが、
横浜能楽堂では毎年、井伊直弼を偲んで「横浜かもんやま能」が行われており
今年も10/15(日)開催だそうです

横浜能楽堂のお隣には掃部山公園(かもんやまこうえん)があって
井伊直弼の銅像が立っています

江戸時代には不動山と呼ばれていた一帯を
1884年(明治17年)に旧彦根藩士が買い取って井伊家の所有になったそうで
それ以降、直弼の官位である掃部頭(かもんのかみ)から掃部山の呼称になったとか

井伊直弼は能楽に造詣が深く、能や狂言を自ら作ってもいたそうで、
実は、2007年に横浜能楽堂で160年ぶりに直弼作の能『筑摩江(つくまえ)』の復活公演が行われた際に
シテ(=主役)を演じたのは、出雲康雅先生でした

ちなみに管理人は2008年に横浜能楽堂で能『筑摩江』が同じく出雲先生のシテで再演された際に
客席から拝見し、会長の神田佳明は2007年も2008年も『筑摩江』の舞台撮影をしております




◆2008年の横浜能楽堂の『筑摩江』公演の記事になりますが、
興味のある方はこちらからどうぞ  ヨコハマ経済新聞 井伊直弼ゆかりの掃部山公園で「横浜能」上演-開港150周年記念

◆井伊直弼の能楽トリビアについてはこちらを  the 能.com 幕末の大老・井伊直弼は、能・狂言作家だった?

◆第34回 横浜かもんやま能についてはこちらからどうぞ  横浜能楽堂ホームページより http://ynt.yafjp.org/schedule/?p=2184



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森田研作さん撮影の能楽写真 その1 能『花月』

2017年08月06日 | 会員写真ギャラリー

本日は能『花月』より森田研作さん撮影の舞台写真をアップ致しました

6/5(月)横浜能楽堂で行われた、りんぷうの会・能楽写真クラブAZ共催の能楽撮影会より
シテ(=主役のこと)は喜多流能楽師の出雲康雅先生です

ごく簡単に解説させていただくと
『花月』の主人公は見目麗しい美少年で
京の清水寺界隈で評判の遊芸人です

『花月』は能の中でもそれほど大曲ではありませんが、
花月少年が軽やかに小歌を謡い曲舞(くせまい)を舞い、
芸尽くしを見せる祝祭的な趣の強い楽しい曲です

冒頭写真は花月が鶯を射る真似をして見せるシーンで
『花月』の一番の見せ場、ハイライトになります

弓矢を手にして舞う正面から撮影の舞台写真が
割りとスタンダードで、森田さん撮影のこの写真のように
真横からシテをとらえた作品は珍しいと思いますが
端正な横顔と相まって、舞台の清冽な空気感が
画面からより強く伝わるように思います




掛け値無しの美少年・花月の華麗な舞姿

日本では古来より「衆道」(しゅどう、男色のこと)は一般的で
特に異端視されるものではなかったとのこと
『花月』にはそうした中世の美少年趣味が投影されてもいるようです

また、現代の感覚からするとかなり奇異な感じがしますが
花月少年は七歳の時に天狗にさらわれ
親元を離れて流れ者=遊芸人になってしまったという設定です

治安が悪く戦乱などで子供が人さらいにあって、
「天狗にさらわれた」とか「神隠し」などと行方不明になるのは
恐らく日常茶飯事だったのでしょう

能ではそうした親子の哀しい生き別れを主題にした曲が
いくつかありますが(特に有名なのは名曲『隅田川』
『花月』では親子が運良く再会しラストでは
仲良く二人で旅立って行きます




羯鼓(かっこ)を打つ花月

こちらは「いかにも」という『花月』の定番カットではありますが
表情が上品で可愛らしく、生き別れの父親と奇跡の再会を
果たした嬉しさが画面からも感じられます

森田さんは以前も当ブログで何回か作品をご紹介しておりますが
商品撮影(いわゆる物撮り)からミュージシャンの撮影(←アー写とかジャケ写というらしいです)まで
何でもござれの経験豊富なプロカメラマンです

◆森田さんのこれまでに掲載の過去記事から
「遊び心」写真 by 森田研作
意外な写真シリーズ 花写真篇
ニューサマーオレンジ(日向夏)の写真篇


能楽写真にも「森田カラー」が色濃く反映されているように思いますが
いかがでしょうか


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イタリアの夏便り

2017年07月26日 | 会員写真ギャラリー

暑中お見舞い申し上げます
皆様いかがお過ごしでしょうか

東京では連日の真夏日、猛暑ですが
今日(7/26)は雨が降ったせいか多少は過ごしやすかったと思います

暑さが和らいだのは助かりますが、ここ数日は曇り
すっきりしないお天気のようです

そこで夏らしいスカッとする写真をアップさせていただきました

冒頭写真はバチカンのスナップ 
紺碧の空のもと居並ぶ立像
美しい優雅な造形ですね 斜光が効いていてシルエット部分も魅力的です

撮影は神田会長




こちらはローマのスペイン広場にある観光名所 バルカッチャの噴水のスナップ

上目遣いのユーモラスな表情がいかにもラテンの国との印象
なかなかいい面構えと思います

申し遅れましたが、神田先生はイタリア周遊の旅を楽しまれたそうで
膨大な量の写真を撮影されたようです

今回は、その中から管理人セレクトで元気の出るカットをお届けします




世界遺産として名高いアルベロベッロのトゥルッリ

今回、管理人が一番、楽しみにしていた写真です

キノコのようなとんがり屋根帽子のトゥルッリは、いつか行ってみたいと常々思っているのですが
一体いつになることやら



本日は能楽からは少し離れて神田佳明撮影のイタリア旅写真をお届けしました
お楽しみいただければ幸いです




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久々の能楽撮影会〜能『花月』と『巴』の舞台写真

2017年07月09日 | 能楽舞台撮影会のご案内

大変遅くなってしまって恐縮です
去る6/5(月)に久しぶりの能楽撮影会が横浜能楽堂の本舞台で行われました

以下、神田会長のコメントを交えて舞台写真をご紹介いたします


撮影参加者は35名。
能楽写真クラブAZ 代表幹事あずま たけしさんの開会挨拶に続いて、
武蔵野大学文学部教授、同大学能楽資料センター長の三浦裕子先生による能『花月』『巴』の曲趣解説があり
その後、神田会長による撮り所解説の勉強会。午後1時過ぎから舞台撮影が開始。





ご出演戴いた喜多流の出雲康雅先生が『花月』で弓矢を持って登場。(冒頭写真参照。)
エンデングは遊興の芸尽くしに入り、羯鼓(かっこ)を打っての華やかな舞台となった。
席に居並ぶカメラを構えた写真愛好者が一斉にシャッターを切り続け堂内にカメラの放列が響いた。




二曲目は『巴』。美しい小面(こおもて)に白い鉢巻きを結び長刀を持っての舞台。





木曽義仲が残した形見の水衣を身にまとい太刀を抱え、印象的な黒笠を手に落ちのびてゆく
やるかたのない哀愁の昂る出雲先生の舞台だった。



先日、ご紹介させていただいた古谷久夫さんの能楽写真・能面展(会期終了)では
古谷さん撮影の『花月』と『巴』の素晴らしい舞台写真がいち早く展示され
神田先生撮影の舞台写真とはまた別の趣があり
非常に見応えがありました

残念ながら管理人は今回、不参加でしたので
皆様の傑作写真を拝見する機会を待望しております

今後、当ブログでも順次ご紹介できればと思います
どうぞ、ご期待ください




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古谷久夫・綾子作品展 能楽写真・能面展のお知らせ

2017年06月20日 | 写真展のご案内

本日は、能楽写真・能面展のご案内です

当ブログで以前にも何回かご紹介させていただきましたが
長年、能楽の舞台撮影に取り組まれ、またご夫婦で能面制作もされている
古谷久夫さんが能楽写真・能面展を6月28日(水)から7月2日(日)まで
大和市の桜丘学習センターの1階ギャラリーにて開催されるとのことです


◎古谷久夫・綾子 能楽写真・能面展

期間:2017年6月28日(水)〜7月2日(日)
時間:9時から17時まで ※最終日は15時まで
会場:大和市桜丘学習センター1階ギャラリー 小田急線桜ヶ丘駅下車徒歩5分
    (神奈川県大和市福田1-30-1)

   http://www.city.yamato.lg.jp/web/tosho/sakuragaoka.html


今回、能面は20面、能楽写真は12演目30枚の展示を予定されているそうで
今からとても楽しみです

冒頭写真は古谷さん撮影 能『海人』より
シテは出雲康雅師(喜多流)です

ご自身で能面を打たれている強みということなのでしょうか、
古谷さんの写真作品では能面の繊細な表情が見事に活写されていると思います




↑こちらは以前アップさせていただいた古谷さんの撮影作品
能『花筐』の舞台前 能面をかけるシーンの写真です

今回の作品展で展示されるかどうかは未確認ですが(←すみません)
個人的にとても好きな写真なので勝手ながら再掲させていただきました

ちなみに能面は「孫次郎」で出雲康雅先生の所蔵
非常に上品で、たおやかな表情が印象的ではないでしょうか

よろしければ過去に掲載した古谷さんの能楽写真は
以下からご覧下さい

http://blog.goo.ne.jp/rinpoonokai/e/351a926b159ec122effc05a28745aaaa

http://blog.goo.ne.jp/rinpoonokai/e/f18dc58acf5e361f19845705ccbf9790

能楽写真以外のネイチャーフォトで特にご好評いただいた
古谷さん撮影の鷺の写真作品はこちらから

http://blog.goo.ne.jp/rinpoonokai/e/5ae97deaf2ec8a5c89675e8eebcc6546
http://blog.goo.ne.jp/rinpoonokai/e/dba9ea310fa687b5172356c58fbc6c97





皆様のご来場を心よりお待ちしております




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能楽写真家協会写真展「能の美」のご案内

2017年05月13日 | 写真展のご案内

風薫る五月ですが、本日(5/13)沖縄と奄美でもう梅雨入りだそうです
ずいぶん早いように感じますが、ニュースによると沖縄は平年に比べて4日遅く
奄美は2日遅い梅雨入りだとか

平年より遅いとは意外ですが
どうも年々季節の足音が早くなるような気がします
特に夏が昔と比べると長いように思われ
暑さに弱い管理人は今からもう
いささかゲンナリです

せめて冒頭写真はさわやかに〜ということで神田佳明撮影のスナップ




撮影場所は千葉県四街道市の千代田地区

大きい調整池を利用して数年前から子供の日を祝って
数百の鯉のぼりを池の上に泳がせているそうで
神田先生によると「若芽が映える新緑の中に
水面に影を映して大空に泳ぐ鯉が壮観」とのことでした


さて
タイトルでもご紹介した通り能楽写真家協会の写真展が
来る5/19(金)から東京・新宿のオリンパスギャラリーで開催されます

能楽写真家協会の写真展は毎年開催ですが
今年は「能の美」をテーマに多彩な舞台写真の数々が出展されるとのことです

会期が少し短いのが残念ですが(5/24の水曜日まで)
是非お見逃しなく

もちろん神田先生も作品を出展されます


◆能楽写真家協会写真展「能の美」

会期:2017年5月19日(金)~5月24日(水) ※土・日曜日 開館
開館時間:11:00~19:00 ※最終日は15:00閉館
会場:オリンパスギャラリー東京

〒160-0023 東京都新宿区西新宿 1-24-1
エステック情報ビル オリンパスプラザ東京
JR 新宿駅から徒歩約5分      
都営大江戸線 都庁前駅から徒歩約4分

入場無料



東京での展示の後、オリンパスギャラリー大阪
6/9(金)〜6/15(木)まで開催されるそうです


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行く春を惜しみ…2017年の桜

2017年05月07日 | 会員写真ギャラリー

あっという間に連休が終了になってしまいました
皆様いかがお過ごしでしょうか

今年のゴールデンウィークは全国的にだいたい好天に恵まれていたようで
東京では春を通り越して、すっかり初夏の陽気でした

ちょうど北海道ではこの連休中に桜の花が満開だったようです
桜前線も終着駅に到着したということで
いよいよ春の終わりを実感します

冒頭画像ですが、神田会長から届いた吉野の桜の写真です
さすがに、いにしえより名高い桜の名所だけあって壮観ですね
神田会長によると全山満開、さくら咲く峰々の春全開だったそうです




こちらは宿泊地だった有馬温泉の夜桜とのこと
ライトアップされて美しい白化粧に輝いていたとか
非常に幻想的です




旅館の窓格子も桜文様だったそうで
風情がありますね




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2017年4/22(土)山本東次郎傘寿記念 山本会別会のご案内

2017年04月17日 | 能楽公演・能楽関連イベントのご案内

少しまた更新が滞ってしまいました。大変恐縮です
皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。

さて。
本日は能楽公演情報をお届けします

来る4/22(土)、千駄ヶ谷の国立能楽堂にて
人間国宝の山本東次郎先生の傘寿記念で山本会別会が開催されます。

今回、東京では20年ぶりに東次郎先生が『枕物狂』のシテ(=主役)を
務められるとのこと。
今からとても楽しみです。

お能では『関寺小町』『檜垣(ひがき)』『姨捨(おばすて)』の3曲を
特に「三老女」といって
最高秘曲として大切に重く扱いますが
狂言にも同様に「三老曲」と呼ばれる特別な曲があって
今回の『枕物狂(まくらものぐるい)』のほか、
『庵梅(いおりのうめ)』、『比丘貞(びくさだ)』の3曲です。

ちなみに、今から3年前(2014年)の山本会別会で
東次郎先生は『比丘貞』を舞われています。





番組の冒頭は『毘沙門』でシテは則孝先生。初役でしょうか。(←違ったらごめんなさい。)

次の『寝音曲』は則俊先生。当代随一の美声による謡が楽しみです。

『棒縛』はいかにも狂言らしい趣の人気曲。
則重先生と則秀先生のご兄弟が太郎冠者と次郎冠者で、
主人役が東次郎家では一番若い凜太郎先生で若手の競演。

そのほうがしっくり来るので太郎冠者、次郎冠者の順番にしましたが、
この曲では珍しく次郎冠者がシテとのことです。


◆「山本会別会」 平成29年4月22日(土)
午後2時開演 国立能楽堂

狂言 『毘沙門』 山本則孝 山本泰太郎 山本則秀
狂言 『寝音曲』 山本則俊 若松隆
狂言 『棒縛』  山本則重 山本凜太郎 山本則秀
舞囃子 楽  笛:槻宅聡 小鼓:幸正昭 大鼓:佃良勝 太鼓:観世元伯
狂言 『枕物狂』 山本東次郎 山本泰太郎 山本凜太郎 木村淑乃

鑑賞券 正面7000円 脇正面5000円 中正面3000円 GB2000円

お申込み・お問合せ
大藏流狂言 山本事務所

http://www.kyogenyamamoto.com/


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あずまたけし写真展 能楽写真事始 II のご案内

2017年03月05日 | 能楽ニュース

本日は今月3/27(月)より東京・池袋にて開催の
「あずまたけし写真展 能楽写真事始 II」についてお知らせ致します

すすきの穂陰に見え隠れする儚げな美女ひとり
…能楽ファンなら一目瞭然 能『井筒』の舞台写真が印象的な案内はがきを
冒頭画像にアップさせていただきました

あずまさんは以前にも「あずまたけし写真展 能楽写真事始」を
東京・銀座で開催(2013年3月)されており、当ブログでもご案内しております

*「あずまたけし写真展 能楽写真事始」の記事↓
http://blog.goo.ne.jp/rinpoonokai/e/ce5f19b39cf7d5dde7be126d3d36e74c

この4年間で更にあずまさんの作品世界は深化されているようで
これまで撮りためて来られた能楽写真作品の集大成として
文字通り満を持しての今回の写真展開催

非常に見応えのある能楽写真展としておすすめです

また、会場には奥様が製作されたステンドグラス作品も何点か
飾られる予定とのこと
あわせて楽しみです




会場は池袋駅西口から徒歩2分 便利な立地の東京芸術劇場 http://www.geigeki.jp/ のギャラリーです
皆様のご来場を心よりお待ちしております



◆あずまたけし写真展 「能楽写真事始 II」

会期:平成29年3月27日(月曜日)~4月2日(日曜日)
開館時間:10:00~18:00 ※初日は12時から 最終日は16時まで
会場:東京芸術劇場 アトリエイースト(地下1F)
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-8-1
電話 03-5391-2111(代) 
JR・東京メトロ・東武東上線・西武池袋線 池袋駅西口より徒歩2分
駅地下通路2b出口と直結




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2017年2/4(土)出雲康雅の会 能『砧』の舞台写真

2017年02月26日 | 会員写真ギャラリー

大変遅くなってしまったのですが先日2/4(土)に東京・目黒の
喜多能楽堂で開催されました「出雲康雅の会」の舞台写真を
本日はご紹介させていただきます。

能『砧』より
撮影はTAKESHI AZUMAさん(能楽写真クラブAZ)です。

世阿弥の作ったお能の中でも特に傑作として名高いのが
この『砧』という曲ですが、
訴訟事を抱えて長らく都から戻らぬ夫を待ち侘びて、
ついには主人公である妻が絶望して病に臥せり
亡くなってしまうという哀しいストーリーになっています。

冒頭写真は作中のハイライト 妻が砧を打って未だ帰らぬ夫を偲んでいるシーン。

ちなみに「砧」とは昔、布打ちに使用された台のことで
ネットで調べたところ語源は「キヌイタ=衣板」だそうです。
布を叩いて皺を伸ばしたり、布に光沢や柔らかさを加えるために用いられ
明治以前には一般に広く普及していたとのこと。

砧を打ちながら妻は何を思ったのか
その心情を察すると胸が痛みます。





こちらは後シテ(=舞台後半部分の主役)。
夫が都からようやく戻ったものの時すでに遅く妻は病死して他界。
後悔に駆られた夫の前に亡霊となった妻が登場します。

夫への恨み・悲しみの表情が画面からストレートに伝わって来るようです。

TAKESHI AZUMAさんが撮影された舞台写真からは、
戻らぬ夫を思う余り命を落としてしまう、はかない女性としての妻のイメージではなく
一途さゆえに激情から自らの命の炎を燃やし尽くしてしまった芯の強い女性のように
感じられますが、いかがでしょうか。


少し先の予定になりますが出雲先生は
9/24(日)の喜多流自主公演で『阿漕(あこぎ)』を
11/26(日)には『六浦(むつら)』
を舞われます。

詳細は喜多能楽堂のホームページhttp://kita-noh.com/をご覧下さい。



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