ぞな通信

四国・松山生まれ、在米25年、Zonaの日常生活。

へんな日本人

2008-01-24 21:32:06 | Weblog
在米30年になるSさんと話していた。
彼はビジネスコンサルタントとして過去5年間日米を行き来し、年の300日近くを日本で過ごしている。
ご家族はアメリカに住んでいる。
私も今年在米20年になった。

するとタイミングよく、姉がこんな情報を書いていた。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

今年のお正月に東京から帰省した知人が、飼い犬をゲージに入れて飛行機に乗せて連れて帰った。ラブラドールリトリバー、大型犬だ。運賃も別料金を払ったとのこと。

ところが、珍しく暴れて鼻から血が出ていたらしい。

到着した空港で引渡しのとき、職員が平身低頭で謝った。

「大切な お犬様 をけがさせてしまい申し訳ありません。」

がはは、「お犬様」って、生類憐れみの令か。
。。。。。。。。。。。。。。。。

かなり笑ったじょ~

でも、絶対200%アメリカではありえない対応である。
相手に謝るということはほとんどない。
暴れた犬が悪い、となる。
いくらお客がお金を払っていてもだ。

この話をSさんと話していたら、彼が言った。

「俺たちがアメリカに来た頃は、在米20年30年の日本人を変な日本人だな~と思ったもんだけれど、今,自分たちがそう思われてるんだよ。絶対思われてるよ。」

と、言った。

私は、

「Sさんはそうかもしれないけど、私はまともな(より日本人に近い)日本人だと思いますよ」

と、言ったが、

「いや、自分がそう思ってるだけで、絶対他人からはそうは思われてない。おれは過去5年間で日本社会に随分戻った。」

と、言い切られた。

実は今年になって不安に思う事がある。
今日本に帰国して仮りに働けるようになったとしても、自分は日本社会では使い物にならないのではないか、ということだ。
いや、全然使い物にならないだろう。

確かちょっと前までは、ぐずぐずした対応やサービスのなさ、雨が降ればすぐ信号が壊れたり停電したり雨漏りしたり、洪水になったり地滑りがあったり、空港では係員の盗難が相次いだり、誠実じゃなかったり、平気で嘘をついたり、てなことに、いら立った。
でもあまりに日常的になりすぎて、またか、と安易に受け入れるようにもなった。
逆に、日本では雨漏りもないし、お風呂も沸くし、ゴミの分別もするし、一斉にみんなが出来るということがすごい。
住んでいた時には当たり前だったことが、今では、
「すごいな~」
と心底感心するようになった。

最近心配なのが、自分が軽蔑していたアメリカ人的態度を気がつかないうちに自分も相手に対してしているのではないか、ということだ。

自分が悪くなくても昔は謝ってたよな~。

これがアメリカでは誤解を招くために、徐々に「悪くない事は謝らない」という態度がすっかり身に付いてしまった。

やたら「すいません」を連発する日本人だった私が、だ。

仕事も、自分の会社だから必死になって時間に関係なく働くけれど、雇われだたらきっちり時間内に帰ってるだろうし、サービス残業なんて絶対いや。
アメリカだと不当労働で一発で訴訟だ。
まあ、これはアメリカだろうが日本だろうが、自分の会社を持ったらだれでも死ぬ気で働くのは一緒だろうが。

Sさんは、

「日本人は総じて勤勉であるということを改めて認識した。そういう国民性なんだと思う。時間過ぎても仕事をし終える、ということを当たり前にやる。お金を貰う貰わないは別にして、責任を全うしてやり終える。そういうのはアメリカにはない。自分が彼らの立場だったらやらないと思うもん。」

はい、そう思います。

そういうちっちゃなことが積み重なって、ずっと住んでれば身につけていた事をたくさん失ってしまった。
同時にアメリカ社会に同化しているとも言えるのだが。

でも、魂まではアメリカ人になっていないので、これまた中途半端なんだな。
まあ、これは外国人には皆共通していることかもしれないけれど。

現役で働ける間、生活基盤はここになるけれど、たくさん働こ。
帰ったとこで年齢制限で働ける所なんてないし。

それにしても、「お犬様」はないよな~