ほぼ日刊、土と炎、猫と煙突

白く燃え尽きた灰の奥深く、ダイアモンドは横たわる。

香具師列伝Ⅱ(★★)

2005年12月19日 22時09分15秒 | 香具師列伝
「香具師の過ぎ去る跡、廃墟あり。」で、ぺんぺん草も生えない。

ある日(と言っても十年以上も前だ)例の知人(先輩香具師とする)
が、おかしなダンボール箱を持ってきた。

「何ですの?」
「ムスコロンだよ。」
(また、ヘンなモン持ってきて)
と俺は思った。

「灯油ファンヒーターって、消火時に、灯油臭い臭いがするだろ?」
「はぁ。」
「ところがだ。これを灯油に入れておけば消火時にムスクの香りがする。」
「...。」
(売れる訳、ねーだろ?)その気持ちを素直にぶつけると、
「この会社、潰れた。」
との事だった。

在庫が沢山あるらしいが、
何も俺の所に持ってくる事ねーだろう?

「どこの香具師ですかね?こんなの作ったの。」
「某大学の教授だ。今年で3社、潰している。」
「はぁ?」

何でもその教授先生、「おかしな発明」をしては、
事業者をたぶらかし、商品化させるのがお好きらしい。

その気になった事業者は、大枚をはたいて
そのプロジェクトに社運をかけてしまったりする。

挙句、成功した事は無いので、
業界では「ブラックリスト」に載っている。(ようだ。)

「全く、困った先生だよな。」
と先輩香具師は言った。

(ああ。アンタもな。)
と俺は思ったが、口には出さなかった。

さて...。
この「香具師列伝」を執筆中、時々、こんな思いに駆られた。

「こんな荒唐無稽な話を信じてもらえるだろうか?」
「俺の頭に何か間違いがあって、夢でも見ていたんだろうか?」と。

何しろ、古い記憶だからな。

でも、それは夢でも幻でも無い現実だった、
という、決定的な「証拠」が今になって出てきた。

その発見で、
「加速器売り」も「スリッパ売り」も「ムスコロン」も、
全てが「ある一点」で繋がった。

その「ある一点」とは、俺も知らなかったが...
やはり香具師は実在する。

焦らすようで悪いが...明日にする。

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