ほぼ日刊、土と炎、猫と煙突

白く燃え尽きた灰の奥深く、ダイアモンドは横たわる。

抽象文学

2006年06月11日 22時10分03秒 | フィクション
特に何の才能にも、財産にも恵まれず...。
親から授かったのは、極普通の教育でしかない。
それでも、チマチマと受験勉強にいそしんだ御蔭で、
俺は大学を出た後、以下の様な業界に就職できた。

1:対社外的に競争らしい競争はない。

 規制、談合に守られ、新規参入者がない。

2:中高年の高給取りが多い。

 年功序列・終身雇用なので。

3:企業経営、戦略が無い。

 社内で飼っている「天下りのコネ」で仕事が入るので、最初から必要ない。

ところが...。
入社して10年もたった頃だろうか?
突然、新社長が就任する事になり、体制は急変した。

何でも、新しい社長は「社内、引いては世の中に革命を起こす。」と言う。

それによると。

1:対社外的に競争らしい競争はいらない。

 あまりにも革新的な物を作るので、追従できる新規参入者は存在しない。

2:中高年の高給取りは消える。

 社長を頂点とした管理職不在の体制なので、不必要。

3:企業経営、戦略が無なくても良い。

 他所ではできない物を提供するので、顧客は向こうからやってくる。

どうだ?俺にはまるで現実味の無い...夢のような話だ。

一体、何を始めるのか?は知らないが...。

「他の追随を許さない、商品やサービスを提供する。」って、

そんな事、もし、できるなら誰だってやってるだろう?

挙句、これから管理職になろう、って俺達が貧乏クジを引かされるのか?

俺は「不信感」と言うより「怒り」がこみ上げてきた。

李参堂著:「革命舞踏会」より。