端午のお飾りにだって、欠かせないのは…やっぱりあの方!

2022-04-17 10:39:05 | 紹介
甲府の空模様、なんとなく不安定ですが、過ごしやすい日が続いています。
当館は戦国武将・武田信玄公をご祭神とする武田神社のお向かいに位置する、
武田氏の館跡をご紹介する施設です。
が、施設内には、昭和初期の料亭旅館・旧堀田古城園も。
その室内では、甲府市民俗資料館所蔵のものや、ご寄付いただいたものを中心に、
季節に合わせたものを、外からもご覧いただけるように展示しております。

つい先日からは、端午の節句のお飾りがずらり。
左上のお飾りは「かなかんぶつ」。
甲州独自、端午の節句用の武者人形で、江戸時代後半から明治時代中頃に流行。
紙製の張子面と前立てでできた節句のお祝い品で、
親戚、知人などが、男の子の成長とその家の繁栄を願って贈ったそうです。
張子面は源頼朝、上杉謙信などの名将ぞろい。でも、やっぱり一番人気は信玄公!


カラフルでかわいい、昭和な五月人形です。
鎧に兜に、五月人形はご寄付いただきました。ご協力に感謝申し上げます✨


こちらは「本染甲州武者のぼり」、生地の長さだけでも約8メートル、
上に家紋などが入れば10メートル近く(!)になるのぼり旗、ということで、
とにかく大きい。
甲府市内でかつて染物屋を営んでいらした方から
手染めで貴重なので、ぜひ展示してください。
と、いうことで喜んでいただいたのですが、
施設内で一番天井が高いところから下げても、下が地に着いてしまうほど。
それでもこの季節に何とかご覧いただこうと、
苦肉の策で当館ではこのようにご覧頂いております。

「本染甲州武者のぼり」は、現在は南アルプス市で製作されている、いわば郷土の伝統工芸品。
かなかんぶつ同様、端午の節句をお祝いする品。
その始まりは江戸時代後半で、製法は手描き染。下絵の上に白い綿布を置いて糊で写しとり、色付けし、
釜無川の清流で水洗いするなど、全て手作業の伝統技法で作られています。

のぼり旗の発想の源は、武士の旗差物にあったと言われています。
信玄公のように立派に育ってほしいという願いがこめられ、
勇猛な武者絵巻を描いたのぼり旗が、鯉のぼりと一緒に飾られるそうです。
下絵のテーマは、信玄公と上杉謙信が激戦を繰り広げた川中島の戦いや、
源頼朝が家臣を連れて富士山麓で行った大規模な巻狩りなどなど。

そして最後に・・・

信玄公は甲斐源氏。
広間の床の間には、源氏つながりで源義家(左の掛け軸)のお軸が飾られました。
掛け軸のテーマは、前九年の役(※)。

※)前九年の役は、平安時代後期に、陸奥国(東北地方)で起きた、
朝廷と土着の有力豪族・安倍氏(右の掛け軸)との戦い。
追討を命じられたのは、義家の父、頼義で、
この戦いの勝利により、頼義・義家の河内源氏は武門の中でも最高の格式、とされました。
後に幕府を開いた源頼朝、足利尊氏も河内源氏。

そして、義家の弟、義光は甲斐源氏の祖。信玄公のルーツです。

・・・
山梨ならでは~となると、やっぱり信玄公は欠かせないお方。
どんなことも見抜いてしまうように見開いた目、
ヤクの毛をあしらった諏訪法性兜(すわほっしょうのかぶと)や北斗七星の軍配、武田菱・・・
これを身につけていたら信玄公(!)とみんながピンとくるお姿で、
いつのころからか、甲斐国の人たちと一緒に歩んでこられたのかもしれません。

元気に大きく育ってほしい!
そんな願いが込められたお飾りを、ぜひご覧にいらしてください!
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