信玄ミュージアムでは、新型コロナウイルス感染症予防対策により、
常設展示室のみの開館となっています。
しかし、昨今の規制緩和を受け、閉館中の特別展示室再開に
向けた準備を着々と進めています。
まずは、展示替えです。
開館中は、展示品をリニューアルすることが難しいのですが、
春からの長い閉館期間中から少しずつ展示内容を補強するための工夫を
考えてきました。
まずは、見どころの多い金加工に関わるコーナーから始めました。
山梨県で金というと「甲州金」が頭に浮かびます。
歴史に詳しくなくても一度は耳にしたことがあるかもしれません。
戦国時代、甲斐国では金山の開発が盛んに行われていました。
信虎の時代から信玄・勝頼の時代にかけて
武田家の経済を支えていたとも言われる金。
その金について、特別展示室では鉱山から採掘され、
加工されるまでに使用された出土品を展示していました。
が、出土品だけでは、金の生産・加工、そして貨幣化していくという
イメージが伝わり難かったこともあり、
来館される方にわかりやすく見学して頂けるよう、
特別展示室の「金」関係の展示をリニューアルしました!
まず、鉱山臼について。
甲斐国有数の金山だった
黒川金山出土の磨り石臼を展示しています。
500年前の人が来る日も来る日も鉱石を磨り潰して、
穴が開くほどまでに使いこんだ臼の表面は、
驚くほどなめらかですべすべです。
新型コロナウイルス感染防止のため、
当面の間は触らないで見るだけの展示となりますが、
いずれは手で触って感触を確かめていただけたらと思います。
また、寺社への贈答や信玄が褒美として家臣に与えたと言われる
碁石金(複製品)も展示しました。
碁石のような形態の甲州金は、
江戸時代の初めまで作られていたようで、
江戸時代に発行された『金銀図録』という書物にも載っています。
リニューアル後は、この『金銀図録』も展示しています。
江戸幕府の書物奉行によって公刊された『金銀図録』に
甲州金が多数掲載されているのです。
甲州金は江戸時代に入って、
甲斐国三郡で通用する特有の地方通貨となります。
信玄の功績は、
江戸時代になっても脈々と受け継がれていったのです。
500年前、金を採掘し、加工していた人々、
自分の国や家を守るため、戦いに出て、
褒美として金をもらい沸き立った人々、
江戸時代なっても甲州金を受け継いだ人々の思いを、
ぜひご覧になって感じて頂きたいと思います!!