虹はポケットの中に

再スタート
何度でも生まれ変わる
自分の音を探す旅

ライク・ア・サブタレイニアンズ24

2012-02-17 19:30:08 | ライク・ア・サブタレイニアンズ1
ソファに座って、キャンディアップルレッドのテレキャスターを抱えている雪音はとても絵になっていた
ずっと見ていたくなるほどだった
「ミノルさん、あのね、話があるの・・・」「何?」
仕事なんだけど、他の店から〝来ないか″って言われてるの・・・・
ちょっと真剣な話みたいだった雪音は、実は、バリバリのフレンチのパテシエだった
それが他の店から引き抜きがあったっていうのだ
その店の名前は誰でも耳にしたことがある有名シェフの店だった
「正直、迷ってるの・・・」
ボクはそんな話は受けるべきだというような優等生な答えしか
返せなかった「わかった・・・ミノルさんが言うなら受けて、やってみる」
雪音は少し浮かない顔をしている「どしたの?雪音、なんかあった?」
「それがね、S市なの・・・・職場が・・・だからこの部屋も
引き払わなくちゃいけないの・・・・」
こんなときに、何を答えるべきか、ボクには語彙の持ち合わせがなかった
ずいぶん長い時間二人で黙り込んだ
ボクの携帯が鳴った「はい、ミノルでっす・・・・・」
電話を切った後、雪音がボクに「どしたの?顔、青いよ」
「家の事情で、帰らなくちゃいけない」「実家に?」「そう」
何があったのかは、雪音は訊かないでくれたけど、わかっているんだろうな
「いつ帰るの?」「5日後に高速バスに乗るよ」
「・・・・早いね・・・・」「ごめん」
「ミノルさんは、あやまることなんてない、ないから・・・」

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