虹はポケットの中に

再スタート
何度でも生まれ変わる
自分の音を探す旅

世界はラヴとピースでできている18

2011-11-29 18:31:45 | 世界はラヴとピースでできている
真っ暗なはずなのになぜか見えるその、
白い線と天使(?)から目が離せずにいると、
ボクの身体がその白い線に向かって、
まるで磁石で吸い寄せられているみたいな
強い力で引っ張られているのを感じた
必死に抵抗してみたが、どうにも抗えない
「な、なんだこれ」と、ボクは暗闇の中で掴まるところを
探してみたがやみくもに手足をばたばたするだけで
掴まるものは、無い
そうしているうちにもボクはゆっくり・・とは言えないスピードで
白い線にどんどん近づいて行った
どうにでもなれって思ったところで、ふと思い出した
ミカのうたは?さっきまで聴こえていたはずだった
うたを探したが、静かだ、静かすぎる・・・・
あきらめずに耳を澄ませていると、遠くで、微かに
聴こえた
見つけた、ミカだ 大丈夫、これでボクは大丈夫だ
でも、大丈夫じゃなかった
ボクの足は、もう、白い線を越えようとしていた
そこでボクは自分の眼を疑う光景を見た
白い線を越えた分だけ、足が消えていた
パニックになったボクはまた、ミカの声を探した
まだうたっている  「ミカ」「ミカ」呼んでみた
すると、ミカの声がボクに言った
「なこ、そっちじゃないよ」「そっちじゃない」
その声が聴こえた途端、不思議なことに
ボクを引っ張っていた力が無くなった

かなしくて zelda

2011-11-28 15:53:24 | 日記
かなしくて zelda



ミカとなこのストーリーはこの先どこへ向かうのか?
作者も悩んでおります(笑)
それにしても今日は寒い函館です、空気の冷たさがハンパない
でも、ボクは、元「ゼルダ」のサヨコのライヴに
足を運ぼうと思っています
きっと、心地よいグルーヴに包まれるでしょう
今から楽しみです

世界はラヴとピースでできている17

2011-11-26 19:14:35 | 世界はラヴとピースでできている
ボクは耳を澄まし、声のする方向に近づいて行った
少しづつ、確かめながらゆっくりと・・・
次第に、初めは微かだった声が
大きく、はっきりと聴こえ出したので、
その声の方向に這うようにして近づいていった
相変わらず周りは真っ暗であった
ミカの声がはっきり聞こえる、「急ごう」、
ミカ、ミカ、 聴こえるよ
ボクはここにいるよ
ねえ、ボクは大丈夫だろ?
「大丈夫」って言ってよ
いつもみたいにさ、
すると、小さく、小さく「なこ、大丈夫よ」
って聴こえた
神経を集中しないと聞き逃しそうな小さな声
うん、大丈夫なんだね
ミカがそう言うなら大丈夫だね
ちょっと待ってて、すぐにそっちに行くから
声を頼りにゆっくりと進んで行った
もう、すぐそばにいるように声が聴こえるところまで来た
と、思ったその時、目の前にあの時と同じ・・・・
・・・白い線・・・しかもその両端には・・やっぱり、あれは
「天使だったんだ」

世界はラヴとピースでできている16

2011-11-24 18:47:17 | 世界はラヴとピースでできている
真っ暗だった、あの時と同じだ
あの、白い線と天使がいた暗闇と
ボクは何も見えないから眼を閉じて、
その場にうずくまってみた
どこかから、微かに、ほんの微かだけれど、
忘れるはずのない、間違えるはずのない、声
ミカだ、ミカがうたっている
ボクは必死でその声の方向を探した
全ての神経を耳に集中させる、
声のほうに耳を向けゆっくりと
這うように近づいて行ったんだ

世界はラヴとピースでできている15

2011-11-23 21:25:10 | 世界はラヴとピースでできている
「ねえ」ボクはベッドに横になったまま言った
だって、起き上がろうにもボクの身体には点滴だの栄養だの
透明なチューブの先の針が何本も刺さっていたので身動きが
とれなかった
「ん?なあに?」ベッドの脇のパイプ椅子に腰かけている
ミカが言った
ボクは続けた 「あのさ・・・」「ん?」「ヴェスパ
どうなった?」「うん・・・・あのね・・・・」
「どうなったの?」「ぐちゃぐちゃ」
そうか、ぐちゃぐちゃかぁ・・・
「でもね、なこの代わりに潰れてくれたんだよ」
だからなこ、助かったんだよ
「身代わりか・・・ごめんな」
「何が?」「ヴェスパに」
「ああ、そうね お礼言わなくちゃね」
おれってさ、どうしてここにいるの?
全然憶えてないんだけど・・・
「・・・・うん・・・それが・・・・・
ミカが話し始めたところでボクは薬が効いてきて
眠りに引き込まれてしまった
「ね、え、ミ、カ」
闇になった

世界はラヴとピースでできている14

2011-11-21 18:22:11 | 世界はラヴとピースでできている
・・・・・でね、夜中に目を覚ましたらなこがいなかったの・・・・・
すごーくすごーく心配したんだよ・・・・それから電話が鳴ったの
そしたらね、なこ、ヴェスパと一緒に道路で倒れてたんだって・・・
死んじゃうとこだったんだよぉ ミカが眼を真っ赤にしてボクに言う
「生きてるよ」とボク「ばかっ」急に真顔になってミカが怒った
左眼からぽろぽろ涙こぼしながら「どれ・・・・だけ…心配したか
なこにはわかんないでしょう」・・・・・「ごめん」
「知らないっ」
そして、横になっているボクの胸に顔をうずめて声を殺して
ミカが泣いていた、この時のボクには情けない話だが、ミカの涙を
止めてあげることはできなかった
ひとしきり泣いた後でミカが言った「あたし、なこ、が、毎日、すきなの・・・・」
「わかる?ま・い・に・ちだよ」その言葉を聞いた途端、今度はボクの眼から
涙が一気にあふれてきた

世界はラヴとピースでできている13

2011-11-21 13:43:57 | 世界はラヴとピースでできている
目を覚ました時にはずいぶんと時間が経っていた
ボクはベッドの上にいた、病院だった、なんとなく何が起きたのかわかったような気がしたけれど
記憶が無い、思い出せない
半ばパニックになってベッドの上でじたばたしていると
ミカがボクを呼ぶ声がした。「なこ、気分はどう?」
不安そうな顔をしてミカが言った
ミカがボクにつけた名前は、なこ、なーこ、ナピ、なたん、・・・切りがない
意味は、どれも不明である
ミカにとってはいつもうたっている即興のうたと
大して変わらないらしい
一日に何度も名前が変わるのだ
それでもボクは何と呼ばれようが普通に返事をしていた

まあ、とにかく、ボクとミカはうまくやっていたんだ
お互いが、お互いの世界の全てであるかのようだった

世界はラヴとピースでできている12

2011-11-20 16:16:04 | 世界はラヴとピースでできている
いつのまにかすっかりとボクは
寝入ってしまったようだ
夢の中でもミカのうたはずっと聴こえていたけれど
ミカの姿が見えない
真っ暗闇にボクはいた、周りを見回すが、闇が、あるだけだった
「ミカ」「ミカ?」と今度はボクが不安になって
名前を呼んでみた、でも、うたは聴こえるんだけど
ミカがいない・・・
ヴェスパ、唸るエンジン、ボクは右手でアクセルを
何故か開け続けていたそのうち暗闇の中に一本の
細く白いラインが見えた、不思議と惹きつけられる・・白い線
何かの境界線だと直感した
ミカのうたがふいに、「行くな」って聴こえだした
気付くと、その白い線の両端には何かがうごいていた
暗い中でボクは目を凝らすと・・・「あれ?」
「あれって・・・・天使?」
幻覚でも見ていることにして、ボクは目を閉じた
そこまでだった
遠くでミカの声がする「なこ、大丈夫、大丈夫よ」
安堵の気持ちがボクを満たし、意識は遠くに出かけてしまったようだ
今は、ボクのことを「なこ」って呼んでいたが、それはミカがつけた
名前だ。ミカはボクにたくさんの名前をつけていた

世界はラヴとピースでできている11

2011-11-19 15:54:04 | 世界はラヴとピースでできている
スーパーから、ヴェスパを飛ばし、ボクたちは帰路についた
家の前で、バイクを降りてからは、まるで、勝利の凱旋のように
意気揚々としていた
戦利品は、もちろんあの、フルーツ牛乳であることは
言うまでもないが・・・
今日一日の激しさに疲れてしまったボクは、
ソファーに倒れ込むように横になった
さすがに、まぶたが自然と落ちて来そうになるのをこらえて
無理矢理眼を見開いたら、目の前にミカが、両手で大きめの
グラスを持って、ねぇ~飲もうよぉってほっぺたをふくらましていた
ボクは渋々起き上がり、自分のグラスを出した
パックの口を開けてミカに注いであげながら「ねえ、どのくらい?」
「たーくさん、たーくさん」ってミカが言う
たくさん注いであげた
ミカは相変わらず両手でグラスをもって「こくり、こくり」と飲んでいる
その様子は、まるで「この世にこれ以上美味しいものは無い」って顔をしているんだ
「おかわりぃ」「あんまり飲むとおなかこわすぞ」「え~っ」とミカは
急に不安になったらしく「じゃ、もういい、後でまた飲む」
「うん、後でね」ボクはパックを冷蔵庫にしまった
ソファに横になっていると眠くなってきた
「ミカ、うたってよ」・・・言い終わらないうちにミカは
ボクのギターを抱えていた

高音をアクセントにしたきれいなアルペジオ、優しい、優しいメロディ
その、愛のうたに包まれてボクはいつしか眠ってしまっていた