虹はポケットの中に

再スタート
何度でも生まれ変わる
自分の音を探す旅

ライク・ア・サブタレイニアンズ3

2012-01-12 21:52:59 | ライク・ア・サブタレイニアンズはじまり
ゆきね、というらしいその子はフロアでエイトビートに身体を揺らして踊っている
さっきの「出会い」からボクは、ゆきねをずっと眼で追っていた
頭を揺らし、身体をくねらせてまるで音楽に溶けるように踊り続けるゆきねが
ボクは気になってしかたなかったのでミチオに訊いてみた
「なぁ、あの子、よくくるの?」「遅い時間はけっこういますよ、ミノルさん、紹介しましょうか?」
「そのうち、たのむよ」
それからボクたちはまた、怪しげなロック談義にもどっていき、その日は明け方まで遊んだ
ゆきねとは、その後も色々な場所で顔をあわせるようになり、
ボクとゆきねはなんとなく知り合いになり、ほんの少し言葉も交わすようになっていった

新連載  ライク・ア・サブタレイニアンズ2

2012-01-10 15:43:03 | ライク・ア・サブタレイニアンズはじまり
調子よくボクは次々と曲をかけていった
アンダートーンズのティーンエイジキックス、フィールグッドの切れまくるウィルコジョンソンのギター
ヴェルヴェットアンダーグラウンドの退廃的な響き・・・・・
最上のロックミュージックに身体を揺らしながらボクたちは音に酔いしれていた
さっきのキュートな女の子がこっちへ走ってきた
ボクたちはみんな、カウンターを背にして、足を投げ出してだらしなく腰掛けていたんだ
その女の子は、カウンターのボクらの前を横切ろうとして走ってきたみたい
危ないなって思っていたらやっぱり、ボクか、ミチオか、ノブ、ユースケ、誰かの足につまづいてよろけた
ボクはラム酒でかなりいい気分だったので反応が遅かったので助けようと思った時には
バランスを崩した女の子がボクの膝の上にぺたんっと座るようになっていた
あわてた女の子は、顔を真っ赤にして「ごめんなさい」って急いでフロアのほうへ走って行った
これがボクとゆきねの出会いだった

まさかの新連載?書けるのか?タイトルは、「ライク・ア・サブタレイニアン」 1

2012-01-09 20:56:00 | ライク・ア・サブタレイニアンズはじまり
ボクはカウンターを背にしてスツールに腰かけてラムを飲んでいた
・・・あれは確か、1985年のJ・バリーだったと思う
マルティニーク産の上品なラムだ
雑居ビルの地下にある、薄暗いクラブでボクたちは怪しげなロック談義を交わしていた
「上手いとか下手だとかはカンケーないの!ただ好きだから演ってんだよ、
バンドやってねーと死んじゃうもん」
話が盛り上がってつい、口にしたその言葉は
あの頃のボクの口癖だった
DJブースからはラウドなヒップホップが流れている
フロアで踊りまくっている見知らぬ女のコが何人かいた
「平日の夜なんてこんなもんっすよ」
スカジャンを羽織った店主のヤムがボソッとつぶやいていた
でも、エントランスのドアがギーギーと音を立てて開き、
女のコがひとり入ってきた
オーヴァーサイズのスタジャン、古着の501、コンバースのオールスターをつっかけていた
眼がきれいで、キュートな女のコ
DJブースにいたボクは、ダムドのニート・ニート・ニートをすぐにかけた
彼女はその速いパンクのビートに身体を揺らしていた、ミチオと交替して一曲目だ
調子に乗ったボクのDJタイムが始まった