虹はポケットの中に

再スタート
何度でも生まれ変わる
自分の音を探す旅

世界はラヴとピースでできている34(最終回)パート2 今度はほんとに最終回

2011-12-26 20:34:32 | 世界はラヴとピースでできているエピローグ
ミカがうたっていた
いつものように、ミカはボクのすぐそばにいるようだった
相変わらずのでたらめなオリジナルソングだったけれど
ミカの体温が伝わってきた 
愛と平和をとてもシンプルな言葉で伝えようとしている
「ねえ、なこぉ、これってどのボタン押すの?」
「REC」ってかいてあるだろ?それで録音できるよ
「ロクオン」「ロクオン」楽しそうにミカが言っている
ボクは思い出した
そうか、あの時に録音した歌なんだな
繰り返し聴いているうちに、何かがボクの琴線に触れた
そこから涙は溢れ出して止まらなかった
ミカに逢いたい・・・また、あの幸福で平和な日々へ、
ヴェスパで走り回って、毎日が虹を探すような日々へ、
帰ろう
ボクは子供のように泣き疲れて眠ってしまったらしい
夢の中でも、ミカのテープに入っていたうたがずっと流れていた
その歌で、ボクはミカに世界の成り立ち、つまり、
「世界はラヴとピースでできている」っていうことを
教えられたんだ「ようやくわかったよ、ミカ・・・」
きみはいなくなったけれど、きみの「うた」は
ボクの胸の奥で、鳴りやむことはないんだ
涙って枯れないものだとボクは知った
泣いては眠り、それを繰り返していたんだ
その中で思った
ボクは碧い月の夜に歩いていくよ
きっときみは、道のずっと向こうから独りで、
とぼとぼ歩いてくるだろう
ボクたちが出会えたら、月明りで、踊ろう
二人だけのステップで、誰も知らないステップ
ボクはまた、眠ってしまった
遠くで声がする・・・懐かしい声
ミカが最後につくったうた・・・
「世界はラヴとピースでできている」
うん、わかったよボクはもうわかったよ
声がした「なこっ!!」「なこっ!!!」「なんで探しに来なかったのよっ」
「ん?」「あれ?」「ミカ?」
「なこ、寝ぼけてるの?」「ミカっ」「ミカだぁぁぁぁぁぁぁっ」
眼をあけたボクにミカが言う
「なこ、あのね、・・・・・」「うん?何?」

「なこのパスタが食べたいの」



               
               FIN.




稚拙な駄文を読んでいただいた皆様、ありがとうございましたご意見、ご感想等いただければ有難く存じます   なみ著
この物語はフィクションです実在の人物等に全く関係ありません

世界はラヴとピースでできている33(最終回)パート1

2011-12-25 14:33:45 | 世界はラヴとピースでできているエピローグ
ミカがいなくなってから、心に空いてしまった穴
その空白をもてあましながら
ただぼんやりと、ボクは日々を過ごしていた
ひきこもるように家からは出なかった
いくつかの季節が巡っていった
それは、そろそろバイクに乗るには寒い季節だった
ちらちらと、雪も舞い降りる季節だ
バイクに乗れないので必然的に
家にいることが多く、ミカが出て行った日、なんであんな喧嘩を
したんだっけ? 些細な、ほんの些細なことだったはずだ
あの時にボクたちの諍いは最高潮に達していたんだね

そうだ・・・・

 もう、だめだと思うくらいの喧嘩もして、
仲直りの時はいつもきみは
左眼から涙一粒こぼして、
そのあとは、世界中の誰よりもお互いを
思いやって
小さな小さなトラブルが積み重なっていった
その末に・・・・・
・・・ほんとうに会えなくなるなんて思わなかったね
人は失くさないとわからないなんて ばかだよね

ボクのギターも、もう、ミカは弾いてくれないし、
あの、でたらめな愛の歌もいまは聴こえない
ボクはたまらなくなってギターケースを開けた
そこには、ギターと一緒にカセットテープが一本あった
そういえば、ボクのMTRをいたずらしてたよなって思って
恐る恐るデッキに入れて再生してみた
また、ミカのうたが聴けるかも?って思ったからね

そこから流れてきたのは・・・・・・・・・
・・・・絶対に忘れるはずの無い声だった