昭和三丁目の真空管ラジオ カフェ

昭和30年代の真空管ラジオを紹介。
アンティークなラジオを中心とした、自由でお洒落な、なんちゃってワールド♪

GE (General Electric) Model 518F

2007-10-09 | アメリカ製真空管ラジオ
 アメリカの繁栄を象徴する1950年代初頭、すでにACモーターを使ったアラーム・クロックとmt管トランスレス真空管ラジオを融合したベークライト製キャビネットの小型クロック・ラジオが普及していたことには驚かされる。今回ご紹介するGE(General Electric)社のModel 518Fは、1951年製造のmt管クロック・ラジオです。
        
 あのトーマス・エジソンを創業者の一人とする、今では世界最大のコングロマリット(複合企業)となったGE(General Electric)は、1920年代初頭にアメリカでラジオ放送が始まっていらい、多くの民生用ラジオを世に送り出したメーカーの一つである。
 それにしても日本ではまだ、一家に1台、大きな木箱に組み込まれたST管ラジオが主流だった'50年代はじめ、すでにアメリカではACモーターを使ったアラーム・クロックとmt管トランスレス真空管ラジオを組合わせたベークライト製キャビネットのベッドサイド用小型クロック・ラジオが普及していたことには驚きです!
               
 アメリカでは、1940~50年代にかけて、魅力的な造形美を持つミッドセンチュリーを代表する斬新で優れたデザインの真空管ラジオが発表され、’50年代後半から日本に導入されたプラスチック製キャビネットmt管ラジオのデザインにも影響を及ぼした。
        
 Model 518Fのキャビネットの前面左半分にレイアウトされた時計には、3つのノブがあり、時計正面上のノブはアラームのON/OFF、右側のノブはスリープスイッチ、正面下はラジオのON/OFF及びラジオのアラーム設定スイッチとなっている。
またキャビネット中央上部に円盤状の選局ダイヤルを配置するスタイルは、後年、日本の東芝5LA-28や かなりやEなどに採用されている。
        
 キャビネット背面には、時刻あわせノブとタイマー機能と連動するAC出力コンセントがあり、タイマーと同期して卓上ランプ等をON/OFFする機能も備えたクロックラジオは、主にベッドサイドラジオとして使われていた。ちなみに時計は60Hzの交流モーターで駆動されているため、50Hzの東日本では遅れてしまい実用になりません。
        
 オークションに出品されているアメリカ製真空管ラジオは、日本国内には流通していないGT管やメタル管が使用されていることも多く、 また50年代のアメリカ製真空管ラジオは外観はキレイでもIFTに問題がある場合もあり、修復・レストアを行なうには難易度が高いため注意が必要です。。
 今回、出品者のコメントには
『時計動作、 ラジオ部分ボリュームガリ無し。 受信状態大変良好ですが建物、地域条件に拠り変化しますのでご了承の上、入札ください。天板右側に9cm程にヒビ補修跡あり。(2枚目写真) スリープ機能つまみ割れ 修理要』
と実直なコメントが書かれており、他に入札者もなかったため、いつもの予算内で落札できました♪

  メーカー:General Electric Co. (N.Y) ALARM CLOCK Model 518F

  サイズ : 高さ(約16cm)×幅(約29cm)×奥行き(約15cm)

  受信周波数 : 中波 530KC~1650KC

  使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、50C5(電力増幅)、35W4(整流)

  電 源 : AC 115V/60Hz

 オークションで落札後、届いた段ボールを開梱しまず外観からチェックを開始した。キャビネットの塗装はオリジナルのままであり、艶もある。キャビネット上部の傷の補修後は目立たず、ツマミの欠損は接着剤で補修可能だ。小傷はあるものの50数年前のラジオとしてはかなりキレイな部類だろう。
         
 キャビネット内部は年代相応の汚れはあるものの、シャーシの錆や手を加えられた様子はない。シャーシ上の真空管ソケットをとりまく凸状の構造物が気になる。