CAには勤務規定があって一日に飛ぶ時間・回数の制限がある。店員@ラジオカフェの元職場の友人がフライト後、こちらでスティ&オフとなったときに、近場の隠れ家へ案内する。乗務員たちの滞在するホテルから40分、瀬戸内海ののどかな海岸線を走った先に、その店はひっそりとたたずむ。
東京→広島(1レグ目・乗って来た便) 広島→沖縄(2レグ目)
沖縄→広島(3レグ目) 広島→東京(4レグ目)
これは社によって違うが、例えば一日/4回・フライト6時間まで、というように決まっている。今回のように、4レグ目はなく、翌日のDH(デッドヘッド:「便乗」のことを言い、機内で勤務を行わず、乗客と同じ席に座って移動する)の便が夕方になるため、そうなると彼女たちを近場の快適スポットへ案内するアテンド役を仰せつかることになるわけだ。
海岸沿いの国道を車で走ると、小高い場所に位置するカフェが見えてくる。
オープンテラスと高い天井、JAZZが流れる空間だ。全面ガラス張りの窓から見える瀬戸内海を眺めながら、ゆったりとくつろげて自然と会話も弾む。
店内には建築雑誌や洋雑誌が、白い回転式のマガジンラックにきちんと並べられている。
テーブル席には、カップルや女性友達らしき客が座り、海を見ながら、ピザやコーヒーを食してる。
カウンターでは、地元のおじさんが、まるで自分の定位置の席のごとく、座ってコーヒーを楽しんでいる。
自家焙煎コーヒーの香りと、海からの風がここちいい。
毎日が乗客の快適な旅と安全確保のために緊張と背中あわせのCAである彼女は、カモミールティーのカップを口に運びながら、目の前の景観と日常からかけ離れた時間の流れを堪能している。
「素敵なお店ですね・・・yu-さんとも、このお店にはよくいらっしゃるんですか?」
彼女は店員yu-が当然この店について知っていることを前提に、尋ねてきた。
「ここはボクの隠れ家だから、それは ひ・み・つ!」
その前提を覆すウイットで、切り返す。
彼女は笑って頷き、クラシックショコラをフォークで一口サイズに切り、
「美味しい~♪」 幸せそうな笑顔で、ボクにも食べてみるよう目で促した。
JBLのスピーカーと棚に並ぶアキュフェーズのオーディオシステムからは、ボクの好みからは少し異なる、しっとりした音でソニー・ロリンズのサックスが流れてくる。
CDは取扱いは楽なのだが、無味乾燥の音しかしない。それをアンプやスピーカーで調味料を加えた音づくりをしてしまうため、どうもしっくりこないのだ。先日から先輩&友人の事務所で、LPレコードからのピュアなオーディオ・サウンドを聴かせてもらっているため、余計にそう感じてしまう。
そんなつまらないであろう話を、潮風と窓から差し込む暖かい光が補い、彼女は興味深そうに聞き流してくれた。
「あ~・・・・気持ちいい~♪ こう感じる『感覚』って大切ですよね」
彼女の言葉に、目からウロコが落ちた。
最近は観念で捉えてしまい考え込むことが多く、五感で捉える『感覚』の大切さを忘れていたことに気付いた。
店を出て、海に向かって思いっきり背伸びをし、大きく深呼吸をした。
ボクの隣で、背の高い彼女もまた、同じ格好で背伸びをしていたことにお互いが同時に気付き、その姿に思わず二人で大笑いした。
東京→広島(1レグ目・乗って来た便) 広島→沖縄(2レグ目)
沖縄→広島(3レグ目) 広島→東京(4レグ目)
これは社によって違うが、例えば一日/4回・フライト6時間まで、というように決まっている。今回のように、4レグ目はなく、翌日のDH(デッドヘッド:「便乗」のことを言い、機内で勤務を行わず、乗客と同じ席に座って移動する)の便が夕方になるため、そうなると彼女たちを近場の快適スポットへ案内するアテンド役を仰せつかることになるわけだ。
海岸沿いの国道を車で走ると、小高い場所に位置するカフェが見えてくる。
オープンテラスと高い天井、JAZZが流れる空間だ。全面ガラス張りの窓から見える瀬戸内海を眺めながら、ゆったりとくつろげて自然と会話も弾む。
店内には建築雑誌や洋雑誌が、白い回転式のマガジンラックにきちんと並べられている。
テーブル席には、カップルや女性友達らしき客が座り、海を見ながら、ピザやコーヒーを食してる。
カウンターでは、地元のおじさんが、まるで自分の定位置の席のごとく、座ってコーヒーを楽しんでいる。
自家焙煎コーヒーの香りと、海からの風がここちいい。
毎日が乗客の快適な旅と安全確保のために緊張と背中あわせのCAである彼女は、カモミールティーのカップを口に運びながら、目の前の景観と日常からかけ離れた時間の流れを堪能している。
「素敵なお店ですね・・・yu-さんとも、このお店にはよくいらっしゃるんですか?」
彼女は店員yu-が当然この店について知っていることを前提に、尋ねてきた。
「ここはボクの隠れ家だから、それは ひ・み・つ!」
その前提を覆すウイットで、切り返す。
彼女は笑って頷き、クラシックショコラをフォークで一口サイズに切り、
「美味しい~♪」 幸せそうな笑顔で、ボクにも食べてみるよう目で促した。
JBLのスピーカーと棚に並ぶアキュフェーズのオーディオシステムからは、ボクの好みからは少し異なる、しっとりした音でソニー・ロリンズのサックスが流れてくる。
CDは取扱いは楽なのだが、無味乾燥の音しかしない。それをアンプやスピーカーで調味料を加えた音づくりをしてしまうため、どうもしっくりこないのだ。先日から先輩&友人の事務所で、LPレコードからのピュアなオーディオ・サウンドを聴かせてもらっているため、余計にそう感じてしまう。
そんなつまらないであろう話を、潮風と窓から差し込む暖かい光が補い、彼女は興味深そうに聞き流してくれた。
「あ~・・・・気持ちいい~♪ こう感じる『感覚』って大切ですよね」
彼女の言葉に、目からウロコが落ちた。
最近は観念で捉えてしまい考え込むことが多く、五感で捉える『感覚』の大切さを忘れていたことに気付いた。
店を出て、海に向かって思いっきり背伸びをし、大きく深呼吸をした。
ボクの隣で、背の高い彼女もまた、同じ格好で背伸びをしていたことにお互いが同時に気付き、その姿に思わず二人で大笑いした。