湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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シューベルト:交響曲第8番「未完成」

2006年07月21日 | ドイツ・オーストリア
○メリク・パシャーエフ指揮ボリショイ歌劇場管弦楽団(melodiya)LP

この楽曲について書くことはないと思っていたのだがメリク・パシャーエフが余りに復刻されないので思わずこんなものも挙げてみたりする。中古盤としては見ない盤じゃない。ムラヴィンスキーのギチギチな音楽に立つ瀬がないと感じるならばこのくらいの柔らかい表現のほうがいいだろう。歌謡旋律のさらっとした、暖かな表現には品のよさが漂う。2楽章では木管の清澄な響きやそこはかとない感情、穏やかなテンポやゆるやかな表情付けに癒される。ロシアならではのアバウトさというか、ちょっと甘さやバラケを感じる部分もありパシャーエフらしくないなあとも思うが、オケの特性もあるゆえしょうがない。弦楽器主導型のロマン派前期の楽曲で、プルトの多い旧来の編成だとなかなかねえ、まとまらないし。繊細な音楽を巧く紡ぎ出していて、過度に情に流されることはなく、ベートーヴェンよりはモーツァルト的な演奏に思うが、それでも警句的な表現になると厳しいアタックと豪快な弾きっぷりにロシアらしさが現れてダイナミズムに欠けることもない。中庸というと悪いイメージがついてしまうので、バランスの指揮者だと前も書いたおぼえがあるが、西欧に通用するくらいの技を持っていただけに国外で活躍できなかったのは惜しい。ゴロワノフもそうだが歌劇場を中心に活躍したソヴィエト指揮者の復権は(オペラや伴奏指揮を除けば)今もって不十分なままだ。パシャーエフはマジメで立派。プライヴェート盤でCD-R復刻する気持ちはわかります。豪快怪物指揮者好きには受けないでしょうけど。

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