湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ヒンデミット:画家マチス交響曲

2019年04月14日 | ドイツ・オーストリア
オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団(NHK,king)1967/5/4大阪フェスティバルホールlive・CD

かつて実演で最も凄かったのは?と問うてオーマンディのフィラデルフィア管弦楽団と答えるパターンがあった。録音では絶対伝えられない分厚い金管、迫力ある弦楽アンサンブル、レコード評論家にはわからない世界があったという。私は実演に触れられたくらいの世代だが生憎趣味も金もなく、書籍などではストコフスキのフィラデルフィア管弦楽団という伝説しか語られなかった。オーマンディは秘曲といわれるあまり録音されない曲目も積極的に開発した。先達ストコフスキより世代的に良曲に恵まれなかったとはいえ、シベリウスの信頼厚く、出身地(ハンガリー)から東欧の曲に強いイメージもあった。ストコフスキが得意としなかったバルトークができたのはこの人がヴァイオリニスト出身だったことにも関係あるだろう。このライヴのメインにオケコンが取り上げられている。ストコフスキはヒンデミットもそれほど取り上げていなかったのではないか。緻密なアンサンブル、立体的な構造のしっかりした再現において、ストコフスキーの開放的な音作りはハッキリ向かない。求心力を厳しく保ってなおかつ、プラスアルファで迫力をしっかり加える、この演奏はまさにオーマンディ向きなのである。ヒンデミットは録音に恵まれているとも言えないところがある。いわゆる新古典主義的な構造がはみ出した解釈を許さず画一的で詰まらなくなってしまう。この演奏では通常のオケでは不可能なレベルで統制がとられており、個々がぶっ放しても全体の構成のなかにしっかり収まるように設計されているから、いつものせせこましさがない。音がぼやけることもなく、ただとにかく「デカい」。実演はさぞ凄まじかったろうし、冒頭の感想も伝えられることだろうもので、それはヒンデミットという特殊な演目だから想像が及んだところである。ラストがまんまあっさり終わったな、というところで少しマイナスにしておく。
ヒンデミット | バルトーク | ベルリオーズ / ユージン・オーマンディ | フィラデルフィア管弦楽団 (Hin...
ユージン・オーマンディ,フィラデルフィア管弦楽団,ヒンデミット,バルトーク,ベルリオーズ

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