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湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆バーバー:弦楽のためのアダージオ

2016年11月20日 | アメリカ
◎トスカニーニ指揮NBC交響楽団(DA:CD-R)1938/11/5初演live

日々湯水のように音楽を浴びる私でも心底感銘を受ける演奏に出会うのは半年に一度あればいいほうである。これは以前紹介した同じDAのライヴ音盤ではカットされていた曲目で、一緒に演奏されたエッセイ第1番のほうは既に書いた。だが、これが素晴らしい。初演というのは後世の演奏スタイルとの違和感を感じさせることが多くある。これも味付けが濃く分厚い音響に貫かれ、透明感の重視される後世の演奏とは違った、かなり「強い」調子の演奏ではあるのだが、トスカニーニの作り出す強靭な流れ、という他に特徴的な「ドライさ」が感じられない。まだせっかちな老年スタイルに至っていないせいもあるのかもしれないが(時期的には完全に即物スタイルだが)オケがひょっとすると「トスカニーニのカンタービレ」という枠を超えて、自国のこの上も無くロマンティックで悲痛な曲に対し濃厚なスタイルを指向した結果生まれた表現なのかもしれない。

クライマックスの叫びはこの曲本来の(原曲の)「祈り」、という生易しい形式を越えて訴えかける人間の苦しみ悶え、だがそこから這い上がろうとする強い意思への共感に満ちている。実にアメリカ的だ。時代的にも実に示唆的。余りの素晴らしさにあっという間に聴き終わるが、一つ残念なのは2曲目が間髪入れず演奏され拍手も入れないところ。余韻に浸る隙がない(構成的にもクライマックス構築後は余韻を持たせずきっちり打ち切る)。最終音と次のエッセイ1番冒頭の共通した雰囲気からの意図だろうが、聴衆は2曲の差がわからないために静かなのか。現行版とやや違う気もするが元が編曲作品なので詮索は意味無いか。◎にします。トスカニーニ最良の演奏記録の一つだと思う。

<同日の他曲目>

前プロ・・・まだ書いてないだけ、マイナー曲
中プロ・・・バーバー新作2曲;後半が管弦楽のためのエッセイ第1番
メインプログラム・・・新世界
アンコール・・・イベリア

(参考)正規盤としてはこちらが有名、曲目も揃ってますし値段的にもお手ごろです。
バーバーのアダージョ~アメリカ管弦楽曲集
NBC交響楽団
BMGメディアジャパン

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ここに収録された録音についてはこちらに書いた。

「弦楽のためのアダージョ」・・・「ョ」という表記が普通みたいですねえ。「スクリアビン」>「スクリャービン」などなど、このての表記方法は古い人と新しい人で違いますが、私は古いほうで書いてしまいます。原語の発音に拘る人もいますけど、そんなの関係ねえ。日本人が日本語で書いてるんだからわかればいい。原語の発音とまったく同じ日本語なんて殆ど無いでしょう。ロシアとか困るんだよなあ、原語派による表記混乱。ネット検索時に困る。シソーラスはいくらなんでもそこまで対応してないし(ググルはかなりやるけど)。

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