湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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アイヴズ:ハロウィン

2019年03月12日 | アメリカ
グルーサー(Vn)他、コンティニュアム(naxos)CD

一晩で書いたという本人曰く冗談音楽だが佳作の一つとして演奏機会も多く私も譜面を持っている。ドラムとピアノを伴う弦楽四重奏による小品となるが、たしかドラムは省略可能でなかったか。カルテット編成でただのスケール(何かの引用だったかもしれない)による変則的なフーガが、弱音からひたすら繰り返される。律動がはげしくなるとピアノの硬質な不協和音が重なり、ついにドラムが爆発音を発するようになる。頂点で強引な大団円が打たれるが、この単純な構造を前衛的な方法で構築していくのはアイヴズ得意のやり方だ。始めのカルテット部は各弦楽器の入りが不規則で、非クラシック的な感興を呼ぶアタックの応酬がそのままリズム旋律のように働き、これは始めからフーガを装った打楽器音楽なのだということがわかる。ある意味、祭りの夜の情景描写音楽かもしれない。アイヴズの常で演奏は少し手を入れられテンポ設定ひとつとっても団体によって違ったりする。これは原曲に忠実な室内楽編成だが(拡大されて演奏されることが多い)注意深く遅いテンポで始まる。ただ弛緩しないようにか音はスピッカートでピチピチ切られるのでさほど違和感はない。遅いまま進むかと思いきや音が多くなり音量とともにどんどん早くなっていき、計算と気合の上手いこと調和したところで乱痴気騒ぎの演出は完了。これはなかなか聴ける演奏だったが、アイヴズの発想力をアピールするだけという感じも無くはない。聴かせる音楽として異化するバーンスタインは上手い人だったのだなあ。
 
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