○カヤヌス指揮LSO(FINLANDIA)1932/6・CD
この時代の録音とは思えない生々しいクリアな音で、雑音はつねに入るしバランス調整やリマスタで改造された結果かもしれないが、それでも迫力ある演奏ぶりには驚かされる。力感にあふれ一糸乱れぬアンサンブルは直入型と言ってもクーセヴィツキーのような直線的なものではなく適度に機微を表現しながら速めのテンポでかっこいい流れを作っていく。まとまりのよさと胸のすくような展開には思い切り引き込まれる。オケも上手いし、強い!ヴァイオリンの総体としてのあまりの力感がほつれを呼ぶ部分も若干あるが、実演では聞こえないレベルであり録音のせいだろう。モノラル録音はそれだけで実際以上の凝縮力を感じさせるものだが、これは元々の極めて練れた解釈とテクニックによるところも大きいと推察される。やはり両端楽章がききものだが静かな場面での特に木管の自然だが巧緻な表現も捨て難い。やや即物的なきらいがありファンタジーに欠ける(三楽章の勇壮な主題が最初にさりげなくたち現れるところなどそれとわからぬようにサブリミナル的にそくっと入って次第にそれまでの主題を凌駕していくスムーズな松葉が欲しい)ところもあるが、無垢のまま聞いても十分堪能できるだろう。一楽章の弦の特徴的な下降音形の四回繰り返しに田舎ふうの牧歌的な旋律がかぶさるところなど昔はマーラーのタイタン1楽章を想起したものだが(たんに途中の音形と重厚なハーモニーにほとんど同じ部分があるだけのせいという気もするが)そういうイマジネーションは湧かない。純粋に古典的なサクサク進む演奏なので印象派的なシベリウス好きには物足りないかもしれないが、シベリウス盟友の演奏としても聞く価値はあり。○。
この時代の録音とは思えない生々しいクリアな音で、雑音はつねに入るしバランス調整やリマスタで改造された結果かもしれないが、それでも迫力ある演奏ぶりには驚かされる。力感にあふれ一糸乱れぬアンサンブルは直入型と言ってもクーセヴィツキーのような直線的なものではなく適度に機微を表現しながら速めのテンポでかっこいい流れを作っていく。まとまりのよさと胸のすくような展開には思い切り引き込まれる。オケも上手いし、強い!ヴァイオリンの総体としてのあまりの力感がほつれを呼ぶ部分も若干あるが、実演では聞こえないレベルであり録音のせいだろう。モノラル録音はそれだけで実際以上の凝縮力を感じさせるものだが、これは元々の極めて練れた解釈とテクニックによるところも大きいと推察される。やはり両端楽章がききものだが静かな場面での特に木管の自然だが巧緻な表現も捨て難い。やや即物的なきらいがありファンタジーに欠ける(三楽章の勇壮な主題が最初にさりげなくたち現れるところなどそれとわからぬようにサブリミナル的にそくっと入って次第にそれまでの主題を凌駕していくスムーズな松葉が欲しい)ところもあるが、無垢のまま聞いても十分堪能できるだろう。一楽章の弦の特徴的な下降音形の四回繰り返しに田舎ふうの牧歌的な旋律がかぶさるところなど昔はマーラーのタイタン1楽章を想起したものだが(たんに途中の音形と重厚なハーモニーにほとんど同じ部分があるだけのせいという気もするが)そういうイマジネーションは湧かない。純粋に古典的なサクサク進む演奏なので印象派的なシベリウス好きには物足りないかもしれないが、シベリウス盟友の演奏としても聞く価値はあり。○。