湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆スクリアビン:交響曲第3番「神聖な詩」

2017年03月13日 | スクリアビン
○シノーポリ指揮NYP(DG)CD

スワロフスキの弟子らしい分析的な演奏で、ドイツ的な構築性を前面に出し透明感と客観性を失わない。音色による音楽の実現を志向することはないが、どこかしらマーラーを意識したような(スクリアビンは交響曲作曲にさいし「復活」実演からの強い影響を受けていると言われる)柔らかい膨らみのある音響によって無味乾燥になり過ぎることを避けている。但しここにおいてマーラーオケであるNYPからの逆影響は無いだろう。

シノーポリも早世してのち急速に忘れられていっている指揮者だが実演向きの現代指揮者(師匠マデルナも早世した)だっただけに、真価のよりはっきりとした痕跡が残せなかったのは悼まれる。

この曲は元来厚ぼったく後期ロマン派のうちにあり、ロマンティックにやるところに意義があるとかんがえればこの演奏に価値はないが、旋律とハーモニーだけ見れば長大で繰言ばかりの音楽の、内声部に秘められた細かい音符が装飾音ではなくきちんと機能的に働くように出来ていること、一見単純なスコアリングを、実演で整理整頓していく事によりいかにもピアニスト作曲家らしい精緻な立体構造が立ち現れる、そういう真価を見出すには唯一無比なところがある。スクリアビンが苦手な人や、中期までのピアノ曲は聴けるが、管弦楽曲は長くて臭い・・・という向きは一回試してみるといい。

ま、印象には残りにくいけど。○。

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