湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ヴォーン・ウィリアムズ:歌曲「美しい人よ目覚めよ/ 疲れて/ 沈黙の正午/ リンデン・リー」

2019年02月20日 | ヴォーン・ウィリアムズ
ジャネット・ベイカー(Ms)ジョフリー・パーソンズ(P)(bbc)1983/7/4チェルトナム・タウンホールlive・CD

BBCレジェンズのJanet Baker English Recital (1983+1968)に収録。当代きっての歌い手ベイカーによるRVWの小品という希少な記録となる。正確で雄弁で大変にレンジ幅の広い声を持っており、時に男声かと思う声色も織り交ぜてくる。それが親密な雰囲気を持つRVWの曲にはどう出るか、といったところだが、やはり明確。ステレオの良い録音のせいもあって少し近寄りづらい格調の高さがある。「let beauty awake」は華美だが常套的なピアノをバックにやや民謡風の旋律が歌われるが、前期的というか無難な曲。「tired」は線的な伴奏をつなぐピアノにRVWらしい旋律を静かに歌うアルトが美しい。内省的だ。ただ、ここまで単純化された編成だとこう聞こえてしまうのだな、とも思う。要は地味だ。「silent noon」は変化のある曲で、4分半以上と長い。RVWらしさはあまり無いが、中間部が聞きもの。単純さへの志向、少ない音のピアノに平坦な歌唱というものが瞑想的な雰囲気をかもし「ウェンロック」を思い出させる。両端部はベイカーの腕が光る。最後に残るピアノの2連符が鐘の音を思い起こさせる。「linden lea」は言わずもがなの有名曲で、RVWとしては作風確立前の古い時代の名作になるが、教科書的な書法やそのムードは多分日本を含む、さまざまな国の唱歌に取り入れられている。ベイカーはオペラティックな歌唱というか、リンデン・リーには大袈裟すぎる感があり、単調な繰り返しに思い切った表現の変化を付けて、正直よけいなことをせんでほしい、と思った。
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