湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆フローラン・シュミット:サロメの悲劇

2017年01月28日 | フランス
○作曲家指揮ストララム管弦楽団(EMI他)1930・CD

この時代にしては驚異的な音質でかつ演奏様式もまるでトスカニーニを思わせるものがある。オケ自体は悪い意味でフランス的なのだがフローランは厳しく各声部を引き締めて的確に構造を表現させてゆく。リヒャルト的な、もしくは前時代のフランス的な構築性と、ドビュッシーやルーセルといった同時代の作曲家と歩調をあわせたような幻想的リリシズムが不可分に絡み合い、独特の先進的でも後進的でもある作風にあらわれているのがまた如実にわかる。とくにルーセルとの近似性は、ルーセルが一種マンネリズムの穴(作風の確立ともいう)に落ちているのに対して開放された作風として、たとえばタンスマンのようなコスモポリタンの感覚の存在を感じさせるところもあり、そこが掴みづらく折衷的と思われる部分かもしれないが、逆に論客で知られたフローランはアンテナが高く前衛にも敏感だったのであり、よく聴けばこの古い録音からその萌芽くらいは感じ取ることはできるだろう。◎にしてもいいくらいだが、まあSP復刻CDでは○か(SPのままなら違うかも)。

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