湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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マニャール:交響曲第3番

2009年04月23日 | フランス
○アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団(CASCAVELLE)CD

非常にアカデミックな作風で踏み外しの無い曲。ずっと洗練されてはいるけれど、1楽章と2楽章の大半はしょうじき凡庸な亜流ロシア国民楽派(しかも中欧ロマン派交響曲+ワグナー派の影響を受けた)。民謡主題の扱いや和声展開のごく一部に師匠ダンディからの影響が新風を吹き込んではいるものの、個性的な新しさ・・・大して新しくは無いが・・・といったら終楽章の旋法的で謎めいたフレーズの交錯まで待たなければならない。フランク的な3楽章制で形式主義的ではあるが、厳密ではなく曲内容的にはアーチ構造の効果はさほど感じられない。2楽章で楽天的に派手に盛り上がるのは奇異でもある。書法は緻密で対位法の見事さといったら100点の答案のようであり、さすが「センセイ」である。アンセルメは国民楽派音楽もよくやっていて、ボロディンが有名だが、案外理知性が際立たない気を煽るような録音も残している。もっともロシア人がやるたぐいの気の煽り方はせずリズムを引き締め響きを整え、風通しのいい演奏に仕立てていく。この曲も国民楽派交響曲的に普通に楽しめる出来となっている。2楽章などなかなかのボロディン風味である。曲的にはまったく興味を惹かれないが、演奏の出来含め初心者向きではあろう。○。DECCA録音とは別との説があるが個人的に確かめる手段も気もない。


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