私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「ブルー・ジャスミン」

2014-05-15 20:32:17 | 映画(は行)

2013年度作品。アメリカ映画。
『ミッドナイト・イン・パリ』など、ロマンティック・コメディ作品が続いていた名匠ウディ・アレンが、ニューヨークで暮らすひとりの女性の転落人生を描くシリアスなドラマ。
監督はウディ・アレン。
出演:ケイト・ブランシェット、アレック・ボールドウィンら。




本作の主人公のジャスミンはろくでもない女だ。

彼女は元々セレブだったが、今は財産を差し押さえられて、お金もない。
であるにもかかわらず、いつまでもセレブ気取りで平気でお金を浪費する。
加えて人を見下した言葉が多いし、心を病んでいる上に、アル中気味という始末。
少なくとも友達になりたいタイプではない。


基本的に彼女は虚栄心と自尊心と自己愛の強い女性なのだと思う。
だから亡くなった夫の浮気にも気づこうとはしなかったのではないだろうか。
彼女は自分のことを中心に考えすぎていて、夫ですらちゃんと見ようとしていなかったのかもしれない。

だからそんな自分のあり方が崩れた時、突発的な行動に出たのかもしれないな、と少しだけ思った。


さてそんな彼女ゆえか、セレブから転落した後も何かとトラブルを引き起こしている。
妹ともうまくやれないし、妹の彼氏との折り合いも悪い。
彼女はいつまでも失われた過去の栄光の記憶にすがっているのだ。

そう考えるとなかなか悲しい女性だと思う。


でもそこはさすがウディ・アレンだけあって、こんな暗くなりかねない題材なのに、悲壮感はあまりない。
それは全体を通して漂っている軽やかなタッチによるところが大きい。
おかげでジャスミンの状況も、もう笑うしかない、っていう雰囲気で捉えられるのである。

ウディ・アレンのセンスあふれる一品であった。

評価:★★★(満点は★★★★★)

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