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2014年度作品。日本映画。
差別や貧困をものともせず、フェアプレーの精神で戦い、03年にカナダ野球殿堂入りした実在の野球チーム、バンクーバー朝日軍の知られざる姿を描く人間ドラマ。
監督は石井裕也
出演は妻夫木聡、亀梨和也ら。
単純にいい映画である。
ややテンポが悪い部分はあるし、感動というほどエモーショナルな作品ではないけれど、すなおにおもしろいと感じられる。
察するに、それは作品の作りが丁寧だからかもしれない。
まちがいなく及第点の作品であろう。
舞台は1930年代のバンクーバー。当時そこでは日系移民を中心にバンクーバー朝日というチームが結成されていた。
しかしこのチームはなかなか勝てないでいる。
カナダ人相手では体格差もあるし、どうしても日本人の体力では太刀打ちできない。いかにもありそうなことである。
当時の日系社会は、いろんな問題を抱えているし、いろんな人がいる。
英語を学ぼうとしない移民一世や、日本人であることを忘れないために、日本語の教育に力を入れる人もいる。カナダに来ても日本を忘れるなと訴える人もいる。
そして日系に対する差別も厳然と存在していたのだ。
だからこそ、日系を背負っている感のある、バンクーバー朝日をみんな応援したのだろう。
そしてそこは、日系なりの明確な矜持もあったのだ。
さてそんなバンクーバー朝日だが、自分たちの特性を生かし、機動力野球を展開していく。
具体的にはバントや盗塁を駆使した脚でひっかきまわすプレイだ。
これはなかなかクレバーな戦略だ。
実際地元では、Brain Ballという賞賛も受けているくらいだから、向こうからしても驚きだったのだろう。
そういったプレイを通じて、バンクーバー朝日は、白人たちからも受け入れてもらえるようになる。その過程はなかなか良い。
もちろん太平洋戦争がその後であるため、後日談は決して明るいものではない。
しかし彼らの活躍はその後、称揚され、名誉も回復している。
そういったことはすなおに喜ばしいことであり、すごくほっとさせられる。
ともあれ日系社会にこのようなチームがいたとは知らなかった。
そういった当時の歴史も知ることができた点でも、非常に価値ある作品であった。
評価:★★★(満点は★★★★★)
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