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2014年度作品。日本映画。
第146回直木賞に輝いた葉室麟の時代小説を、『明日への遺言』の小泉堯史監督が役所広司、岡田准一らを迎えて映画化。前藩主の側室との不義密通の罪で幽閉され、家譜編纂と10年後の切腹を命じられた元郡奉行の秋谷。その監視役が、山間の村で秋谷の家族との交流を通して、事件の真相に迫っていく姿が描かれる。
監督は小泉堯史。
出演は役所広司、岡田准一ら。
地味であり、滋味深い作品と言えるだろう。
派手なストーリーではないため、退屈に感じる向きもある。
だが情緒に富んでいて、味の作品だというのがトータルの印象だ。
家老の甥と些細なことから刃傷沙汰となった右筆の庄三郎。彼は罪を許される代わりに、藩主の側室と不義密通し十年後に切腹することとなっている秋谷を監視することとなる。庄三郎は秋谷と接するうちに、誠意溢れる秋谷に共感を覚えるようになる。そういう話だ。
切腹に至る流れはまさに武士社会らしい縮図と言える。
藩主の命のため、お家のために、切腹することを秋谷は決意するというのが事の真相のようだが、それは理不尽と言うほかない。
けれども、当の秋谷がその運命を納得しているところが、いかにも武士らしい。
だがその運命を甘受する姿には、秋谷の誠意のようなものもほの見える。
そんな秋谷の誠意に打たれたのか、監視をしているはずの庄三郎も彼に感化されることとなる。
庄三郎も命を賭したと言うほかない、かなり危険なことを行なっているが、それもこれも庄三郎の人間力の影響ではないかと思うのだ。
それが何とも良い。
メイン二人以外では、家老が結構心に残っている。
ある意味、彼は悪役なのだが、悪意ばかりで描いていないところが好ましい。
確かに時として保身も、彼は考えている。
だけど、彼なりに相手の心情も慮っているし、領民の年貢のことも減らすことを考えている辺りは人間臭くて好ましい。
トータルで見れば、確かにガツンと来るものはない。
だがそれなりにきれいにまとまっていて、心に届く作品だった。
悪くはない作品と、断言できる映画である。
評価:★★★(満点は★★★★★)
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