私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「セッション」

2015-06-13 09:40:27 | 映画(さ行)
 
2014年度作品。アメリカ映画。
名門音楽学校に入学したドラマーと伝説の鬼教師が繰り広げる狂気のレッスンとその行方を描き、第30回サンダンス映画祭でグランプリと観客賞に輝いた人間ドラマ。
監督はデイミアン・チャゼル。
出演はマイルズ・テラー、J・K・シモンズら。




内容的にはほとんどスポ魂ものである。

ジャズバンドの教師と、ドラムマンを目指す青年の物語なのだが、ノリはスパルタの体育会系で少年マンガ的な魂のぶつかり合いが展開される。
その内容の熱さが忘れがたい作品だ。


とは言え、フィレッチャーのスパルタ教育には問題が多い。

たとえばバンドの練習中、フレッチャーはニーマンのリズムがおかしいと言っては、何度も何度も彼に演奏のやり直しを命じる。
そして演奏をさせるたびに、速いとか遅いとか指摘して罵りもするのだ。

仮にそれが意味のある行為に見えるのなら許せよう。
だがリズムの違いなんて、見ていても何が違うのかわからないのである。
実際、ニーマンもなぜダメなのかわからず、フレッチャーのびんたを浴びて困惑している。
見ていて、正直悲しくなってしまうほどだった。

またドラムマンを誰にするのか決めるため、深夜になるまで、三人にドラムをたたかせるシーンも悲しく痛ましい。
それは本当に狂気じみて見える。

だがそんなフレッチャーの特訓に、ニーマンは必死になって食らいついていく。
そして正規のドラムマンになるため、交通事故にあってでも、演奏会に参加するほどの執念を見せている。
本当に痛ましい、としか言いようのない関係である。


しかしフレッチャーがスパルタ教育をほどこすのは、彼なりに考えがあってのことなのだ。

フレッチャーは才能ある者が一流になるのは、ぬるい環境で満足するのではなく、苛酷な環境を覆すほどのハングリー精神を示したときだ、と考えている節がある。
そんないずれ現れるだろう天才のために、あくまで鬼教師の役割を担い続けている。

それが良いことか悪いことかはともかく、信念があることはまちがいなかろう。


そして一旦挫折しかけたニーマンは、フレッチャーの挑発に乗って、渾身のドラム演奏を行なうこととなる。
このシーンはなかなか迫力があった。
ニーマンとフレッチャーの双方の執念がぶつかり、見事なセッションが生まれる瞬間の爆発力は見事そのもの。

そのすさまじさが忘れがたく、心に残る一品となりえているのだ。

評価:★★★★★(満点は★★★★★)
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「6才のボクが、大人になるまで。」

2015-02-06 21:14:22 | 映画(さ行)

2014年度作品。アメリカ映画。
第64回ベルリン国際映画祭で監督賞にあたる銀熊賞に輝いた、『ビフォア・ミッドナイト』のリチャード・リンクレイター監督によるヒューマンドラマ。
監督はリチャード・リンクレイター。
出演はパトリシア・アークエット、エラー・コルトレーンら。




同じキャストを、12年の長きにわたり、撮り続けたということで話題になった作品である。
ストーリー的には、少年と家族の変遷を描いたものといったところだろう。
明確なストーリーラインというものは、正直あまり感じられない作品だった。

そのためストーリー重視派の僕としては、物足りなさを感じたのは否めない。
しかし主人公の少年の成長をリアルに追いかけることができて、臨場感に富んでおり、強い印象を残す作品にもなりえていた。


主人公のメイソン一家は基本的に母子三人の家庭である。実父は彼らとは別居中だ。
とは言え、子どもたちとリベラルな父との仲は決して悪くなく、見ていて好ましい。

母との関係も悪くはない。
だが彼女の場合、アル中の男に引っかかってしまうことが多く、結婚を幾度か失敗してしまう。その分、幾分かのトラブルを引き受けることになっている。

そういうそれなりに問題のある家庭だが、メイソンも姉もぐれることなく、ボチボチ標準的な大人に育っていると言えよう。


撮影は、一年ごとに行なったと聞くが、成長期の年齢に差し掛かると、メイソンが急に大きくなっていて、興味深い。
リアルに成長の様子が見て取れるのがおもしろい。

親と子の会話にしても、最初はいかにも子どものおしゃべりって感じだったのが、大人同士の会話という内容に変化していって、それもまた興味深く見れた。
気分的には、親戚の叔父さんの感情で、彼らの成長を眺められたって感じだ。甥も姪もいないけど。


そういった映画の雰囲気はともあれ好ましい。
この雰囲気にしっかりはまることができたら、存分に映画を楽しめるにちがいない。

とにかくも作り手のチャレンジ精神に満ちた作品である。
その姿勢だけでも一見の価値があるのではないだろうか。

評価:★★★(満点は★★★★★)
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「ジェネラル・ルージュの凱旋」

2014-10-10 20:48:48 | 映画(さ行)

2009年度作品。日本映画。
「チーム・バチスタの栄光」に続く、竹内結子&阿部寛共演によるミステリー第2弾。大学病院内で渦巻く収賄疑惑に、窓際医師と切れ者厚労省役人の凸凹コンビが挑む!
監督は中村義洋。
出演は阿部寛、武内結子




前作を見ない中での観賞だが、それでも充分に内容を追える展開となっている。
一応ミステリというくくりになろう。
実際ミステリ的な盛り上がりもあるし、エンタテイメントらしく、盛り上がりに富んでいる。

だが本作はどちらかと言うと、救命救急にスポットを当てることに焦点は絞られているように見えた。


救命救急についての知識は詳しくないのだが、現実はなかなか大変だなということを見せつけられ、大変勉強になる。

急患が重なれば断らねばならないし、場合によっては、救命すべきか、それとも救命をやめてほかの患者に集中すべきか、などの選択が迫られる。
しかも経済効果が薄いから、予算も配分されない。
それを抜きにしても仕事はハード。

よっぽどの意志がなければこれは続くものではないだろう。


その中でジェネラルと称される医師を演じる堺雅人の存在感が光っていた。
救命救急のために情熱を注ぎ、しきりに現場で戦い続ける彼の存在はあまりに輝いていた。
つうか、格好良すぎだろ、って叫びたくなる。
これぞ男が惚れる男ってやつだ。

それだけにドクターヘリが病院に飛んでくる最後の場面は、彼の思いが報われただけに感動することができた。


そのほかの俳優たちも光っている。
武内結子や阿部寛、羽田美智子も雰囲気良く演じていた。



ともあれ、いろいろなことを考えさせられるし、エンタテイメントとしても楽しめるし、人物も良い。
いろいろなことを思うことができる一級の娯楽作品だった。

評価:★★★★★(満点は★★★★★)
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「ジャージー・ボーイズ」

2014-10-09 22:47:09 | 映画(さ行)

2014年度作品。アメリカ映画。
60年代に数々のヒットを生んだ4人組グループ、ザ・フォー・シーズンズの栄光と挫折を描きトニー賞に輝く大ヒットミュージカルを、クリント・イーストウッド監督が映画化した人間ドラマ。
監督はクリント・イーストウッド。
出演はジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーガンら。




監督がイーストウッドでなければたぶん見なかった題材の映画だ。
そもそもフォー・シーズンズを知らないし、知っている曲と言えば「Can’t Take My Eyes Off You」くらいで、それだって他のシンガーのカバーで知った程度のものだ。

その程度の知識で観賞したが、存外おもしろかったので、満足している。
歌も良かったし、物語も楽しめる。

往年のイーストウッドの名作に比べると物足りなさはあるが、それなりの作品と言ったところだろう。



床屋見習いのフランキーは、悪友たちと盗みなどをくり返す中、マフィアのボスに声を認められ、仲間と共に音楽の世界に飛び込んでいく。
そういう内容である。
良くも悪くも、シンガーの来歴をたどる形となっており、大きな驚きはない。

しかしたとえば羽目をはずして窃盗をしていた頃や、歌手として徐々に成功していく過程、そして多くのバンドがそうであるように解散の危機が訪れる場面などはそれなりにおもしろい。
物語の起伏に富んでいるのがおもしろさの要因だろう。


そしてもちろんフォー・シーズンズの楽曲もすばらしかった。

知らない曲ばかりだが、レトロな曲調はなかなかノリが良くて、物語を見ながら、じっくり聴き入ることができる。
こういう点は音楽映画の良さだ。



イーストウッドもいまや優に80を超えている。
それでもなお衰えぬ創作意欲と、それなりの作品に仕上げてしまう才能には感服するばかりだ。
これからも元気な限り、作品を作り続けてほしいし、彼のつくった映画を追い続けたい。
そう素直に思う作品だと感じた。

評価:★★★(満点は★★★★★)
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「猿の惑星 新世紀」

2014-09-24 21:06:21 | 映画(さ行)

2014年度作品。アメリカ映画。
傑作SFシリーズ『猿の惑星』のエピソード0的ストーリーを描いた『猿の惑星 創世記(ジェネシス)』から10年後の世界を舞台にしたSFドラマ。
監督はマット・リーヴス。
出演はアンディ・サーキス、ジェイソン・クラークら。




ストーリーの展開自体はオーソドックスなのだが、なかなかおもしろい作品だった。
見せ場も多く見ごたえ抜群の作品と言ってよかろう。


前作の後、地球には猿インフルが蔓延し、人類の多くが死滅する。しかしわずかなコミュニティを築いていた人類は電気を得ようと水力発電所に近づき、猿のコミュニティと遭遇してしまう。そこから人類と猿の間で衝突が起こることとなる。
そういう話だ。


そこから想定されるストーリーは、以下のようになろう。

猿と人類が警戒し合い、ときには敵意を見せる
⇒人類と猿とで共生の予感が訪れる
⇒しかしそれもやがて崩壊してしまう。

そして映画もその予想の範疇の通りに進んでいった。
そういう意味、驚きのない作品かもしれない。


だがそれを飽きさせずに見せているのはすばらしい。
個人的に、それはキャラクターの存在が大きいように思った。

賢い猿のボスのシーザーと、シーザーに屈服しながらも人類への憎しみを抱えているコバなど、猿たちのキャラクターが実に立っている。

そんな猿たちの対立を緊迫感をまじえながら丁寧に描いており、食い入るように見ることができた。


CGもすばらしく、戦闘シーンも見ごたえがある。
猿たちと人間は、結局相容れないままで終わる点も潔くてすばらしい。

ともあれエンタテイメントとして非常にまとまった作品である。
娯楽作品として納得の出来栄えだった。

評価:★★★★(満点は★★★★★)



前作の感想
 「猿の惑星 創世記」
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「それでも夜は明ける」

2014-04-29 21:03:49 | 映画(さ行)

2013年度作品。アメリカ=イギリス映画。
セックス依存症の男とその妹の姿を描き、話題を呼んだ『SHAME シェイム』のスティーブ・マックイーン監督による、実話を基にしたヒューマンドラマ。奴隷制度廃止前の19世紀半ばのアメリカ南部を舞台に、“奴隷”と身分を偽られすべてを失った黒人音楽家が、再び妻子と会うために希望を捨てずに生きた壮絶な12年の月日を描く。
監督はスティーヴ・マックイーン。
出演はキウェテル・イジョフォー、マイケル・ファスベンダーら。




世の中にはいくつも理不尽があるが、差別はその典型だ。
この映画はそんな差別をじっくりと描いている。
黒人が奴隷として酷使されていた時代のむごさを伝える良作だ。


19世紀アメリカ、北部に暮らしていた自由黒人のソロモンは誘拐され、黒人奴隷として売られてしまう。それから12年間の苛酷な奴隷生活を送ることとなる。そういう内容だ。

正直奴隷制はくわしくないので、自由黒人というものがあったことに素直に驚く。
北部ということもあるかもしれないが、彼らは白人と同様に、自由を保障されていて、差別も少ないようだ。そんな事実を知れて勉強になる。


しかしそこから黒人差別の激しい南部に売られたことで状況は一変する。

仕事ができないと鞭で打たれるのは当たり前、黒人という理由だけで低く見られることも往々にして起きる。女性であれば、性の相手をさせられることもある。

ひどい話だな、と思うが、こういうことはあったのだろうし、それが常態化してたのだろう。

そういう状況だと黒人の側もマヒするらしい。
一番印象に残っているのは、主人公が白人から首を吊られるところである。
周りの黒人たちは、主人公が命の危険にさらされているというのに、大半は(例外はある)何もしない。
子供たちなどは平気で遊びまわったりもしているくらいだ。

その情景はシュールだが、理不尽さに誰もが慣らされてしまった証拠でもあるのだろう。
その事実に幾分慄然とせざるをえない。


そういう周囲の状況だから、人も容易には頼れない。
自分を救い出すための手紙を書くだけでも、一大事で、下手をしたら自分の身を危険にさらすことにもなりかねない。
それはずいぶんひどいことである。

幸いにも主人公はその後、救われることになる。
だがそれはたまたまでしかない。
そして多くの仲間はそこから救われることなく、農園に残ることとなる。


そういう意味、本作は救いがありながら、救いのない作品でもあるのだ。
しかしこの重たさこそがまさに現実なのかもしれない。

そんな過去に起きたむごい事実を丁寧に描いており、心に残る作品であった。

評価:★★★★(満点は★★★★★)
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「そこのみにて光輝く」

2014-04-23 21:18:52 | 映画(さ行)

2013年度作品。日本映画。
41歳で自ら命を絶った不遇の作家・佐藤泰志が遺した唯一の長編小説を綾野剛、池脇千鶴らの出演で映画化したヒューマンドラマ。佐藤の生まれ育った函館を舞台に、それぞれ事情を抱えた3人の男女が出会った事から起きる出来事が描かれる。
監督は呉美保。
出演は綾野剛、池脇千鶴ら。




原作の関係もあるが、純文学っぽい映画であった。
地味で暗く、重く、テンポはとってもゆったりしている。人によっては退屈と見えるだろう。

しかしそれゆえの味というものもある作品である。


男は工事現場の発破技師で、事故により後輩を亡くしている。それを引きずってずっと腑抜けのような毎日を送っているところだ。
池脇演じる女の方は、金を稼ぐために体を売っている。また犯罪を行ない仮釈放中の弟を働かせるため、すでに心が離れてしまった弟の会社の社長と愛人関係を結び続けている。
そんな二人が出会い恋に落ちる。

やっぱり状況をふり返ってみても、この作品はずいぶん暗い。

そんな中で一番明るいのは菅田将暉演じるヒロインの弟だろうか。
弟はずいぶんバカっぽく見えるし、少しウザさもある。
しかしそんな弟でも、姉のことを多少は心配しているようなのだ。


そんな三人はそれなりに幸せになろうとあがいているようなものだ。
だが現実がそうであるように、なかなか上手くはいかない。

そこには、ある種のいらだちや、鬱屈、相手への反発が見えてくる。

特に池脇たちの家族の状況は痛ましくて、見ていてつらくある。
父親に対する娘の行動などは、どうにもやるせない。
そして愛人から抜け出せず、暴力を受ける女の姿もどこか悲しい。

そしてそれが一つの悲劇を生んだのだろう。


ラストはまさに「そこのみにて光り輝く」というタイトルにふさわしいシーンとなっている。
何と言っても朝の太陽が美しく、それだけで見とれてしまう。
そしてそこにはある種の希望のようなものも見えてくるのだ。

もちろん状況的に、この先も希望だけがあるとは限るまい。
しかし前向きな予感は非常に心地よく、心を動かされたのである。

評価:★★★(満点は★★★★★)
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「白ゆき姫殺人事件」

2014-04-06 21:08:44 | 映画(さ行)

2014年度作品。日本映画。
湊かなえの長編作を『奇跡のリンゴ』の中村義洋監督が、井上真央を主演に迎えて映画化したサスペンス。とある美人OL殺人事件を巡り、その容疑者とされた女性にまつわる“噂”が、周囲の人々の悪意ある発言によって広まっていくさまがつづられる。
監督は中村義洋。
出演は井上真央、綾野剛ら。




「白ゆき姫殺人事件」はタイトルにある通り、ミステリである。
だが犯人当てとかそういう類のものではなく、人間関係の相克から生まれる異常性を描いた作品だと見ていて感じた。

物語のおもしろさと、現代的なテーマ性がうまくマッチした作品である。


山の中で一人の若い女の惨殺死体が発見される。番組製作の男は、被害者の同僚などから話を聞くうちに、被害者の同期の同僚が容疑者であると推定。その予断の下にワイドショーの番組映像をつくっていく。
そういう内容である。

犯人が容疑者でないだろうことは、お約束なので、大半の人にはわかるだろう。
では犯人は誰か、という展開には、この作品はならない。

ただ噂やあいまいな証言を元に、一般の女性が、容疑者としてネット上で糾弾されるという過程を描くことに焦点を置いているのだ。

一人の人間の嘘によって、それが思わぬ大きさになり広がっていく。
Twitter上でつぶやかれ、映像としてもつくられているため、デマや思い込みは多くの人間に共有されていく。
見ていると、どこかこわさを感じてしまう。


こわいと言えば、女性同士の心理的な衝突も見ていてなかなかこわかった。

相手よりも優位に立ちたいと思い、醜い方法で嫌がらせをする。
妬んだ相手の男を奪ったり、チケットをあげると期待させておいて、失望させたりしている。
そのねちっこさは、嫌な感じだ。

また親しいと思っていた友人から、実は下に見られていたことが判明して、友情がこわれてしまうところなどは、生々しくて目を引いた。
僕は男だが、こういう心理的な衝突はおもしろい。

それでいて、ろうそくの信号みたいな女の友情も描いているからすばらしい。


ともあれ、内容テーマ共に楽しめる作品だった。
中村義洋作品ではこの作品が一番好きである。

評価:★★★★★(満点は★★★★★)
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「セッションズ」

2014-02-27 20:35:04 | 映画(さ行)

2011年度作品。アメリカ映画。
詩人でジャーナリストのマーク・オブライエンの実話を基にした人間ドラマ。重度の障害を患った主人公が38歳で一大決心を下し、童貞喪失に挑む姿をユーモアを交えて描く。
監督はベン・リューイン。
出演はジョン・ホークス、ヘレン・ハントら。




障害者の性を描いた作品だ。
それを取り扱うボランティアがあることを知っているが、知識としてはないに等しい。
それだけにいろいろ考えさせられるものがあった。

だがこの作品の良さは、そうやって観客に障害者の性について考えさせつつも、問題意識を声高に主張しているわけでない点にある。
本作の主眼は、登場人物を描くことにある。そう見えた。
それこそが僕の感じた本作の美点だ。


主人公はポリオが原因で体を動かせなくなった、作家のマークだ。
彼も人である以上、性欲はある。しかし首以外の体が動かせないため自慰もできず、介護の最中に射精することもある。
マークも言う通り、それは大層惨めなことだろう。

恋をしてもフられるなど、マークの姿はどこか悲しい。


だが彼は思い立って、障害者の性を扱う団体と連絡を取り、童貞を捨てることにする。
そんなマークを見守る周囲の人たちがみんな優しくて、見ているだけで心が温かくなる。

神父は教義的には、彼の考えに抵抗はあるものの、マークの考えを尊重するし、ヘルパーの二人も、マークの意思に協力してくれる。
見ていると胸に沁みてならない。

セックスセラピストの女性も、マークのために非常に気を配っている。
マークの怯えや、生い立ちから来る性嗜好の考察などは卓見で、賢い女性であることが、それだけでもよく伝わってくる。


そうした積み重ねから見えるのは、マークやほかの人の心であり、互いの人間関係だ。
それを繊細に観察し、きっちり描いているあたりは見事である。

マークにとって見ればどれも大変で、惨めで、つらいこともあったのだろう。
しかしそれもどこか優しく明るい雰囲気で包み込まれていて、心に訴えるものがある。

その雰囲気が心地よく、いつまでも心に残る作品であった。

評価:★★★★★(満点は★★★★★)
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「少女は自転車にのって」

2014-01-14 20:04:14 | 映画(さ行)

2012年度作品。サウジアラビア=ドイツ映画。
サウジアラビア初の女性監督ハイファ・アル=マンスールのデビュー作。女性のひとり歩きや車の運転を禁じる同国で、女性として生きることの厳しさを直視しながら、それでも前向きに生きる少女の日常をストレートに映し出す。
監督はハイファ・アル=マンスール。
出演はワアド・ムハンマド、リーム・アブドゥラら。




サウジアラビアの女性監督による映画だ。
そのためかイスラム女性の視点がよく表われた作品となっている。


イスラム女性と言うと宗教的な抑圧が強いというイメージがある。

実際本作でも、女性は男性の前では肌や髪を隠さねばならないし、自転車に乗ることは誉められたものでないらしい。もちろん男女交際などもってのほかだ。
大人の女性の社会進出はそれなりに進んでいる。しかし男性が多かったり、肌の露出が多い職場で働くことに抵抗を覚える人は多いらしい。

加えて主人公が子供だから、学校の校則も厳しい。
ペディキュアを塗ったり、人目を盗んで男と逢引(古い言葉だがまさにぴったり)する女生徒がいる点は、この世代の女の子らしくて微笑ましい。
しかし、それらすべては一般的にダメなことと見なされている。

多少の自由はあっても、イスラム圏ならではの不合理があり、抑圧がある。
その自由と不合理が知らない世界なだけに興味深かった。


そんな中、少女は自転車がほしいと願い、コーランの暗唱大会の賞金で自転車購入を目指すのだが。。。

少女を襲うのは、最後までイスラム社会の抑圧である。
そして母親に訪れたできごともイスラム社会ならではの悲劇だろう。


それだけに最後の母の行動が胸に響くのだ。
それはイスラム社会に対するイスラム女性の抵抗とも見えてすばらしい。人間の尊厳をさえ感じさせるところが特に良い。

この世界には理不尽がある。しかしその中でも人は闘えるのかもしれない。
そんなことを思った次第だ。

評価:★★★★(満点は★★★★★)
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「ゼロ・グラビティ」

2013-12-19 20:03:29 | 映画(さ行)

2013年度作品。アメリカ映画。
サンドラ・ブロック&ジョージ・クルーニー主演のSFサスペンス。スペースシャトルでの船外活動中に事故に見舞われ、宇宙に放り出されてしまったベテラン飛行士と医師。2人が暗闇の恐怖と戦い、生きて帰還すべく壮絶なサバイバルに挑む姿が描かれる。
監督はアルフォンソ・キュアロン。
出演はサンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニーら。




パニック映画をおもしろくする要因の一つに、ハラハラできるか否かという点がある。

そういう観点から見るなら、本作は紛れもなく及第点の作品だった。
最初から最後まで緊張感の連続で、ぐいと心を持って行かれる、すばらしい作品だ。


宇宙空間で働くクルーに、爆破した人工衛星の破片が飛来。それによって宇宙船に被害を受けた飛行士たちが地球に帰還すべく奮闘する、というのが主筋だろうか。

その宇宙空間での映像が見事だった。

当然宇宙は無重力なわけで、何らかの力でふっ飛ばされてしまえば、永遠に宇宙を漂うこととなる。自分の体を制御することもできず、体勢を安定させるのですら一苦労。
地球ではありえない動きなだけに、非常にこわかった。

こんな事態になったら、どうすればいいのだろう、と思うことの連続で、それだけに映画の世界に心をつかまれてしまう。


実際サンドラ・ブロック演じる宇宙飛行士には次々と危難が襲いかかる。
人工衛星の破片の飛来で宇宙空間に投げ出されてしまうし、やっと宇宙船に辿り着けても、飛行船は飛べる状況ではない。地球に戻るため、近くの宇宙ステーションを目指すも、そこでもまた危機が訪れる。
彼女の不安は相当なものだろう。

もちろん訪れる結末は容易に予想がつく。
だが、そこに至るまでの展開と心情や苦痛は、見ているだけでもきつい分、こちらにも訴えかけるものがあった。


シンプルな設定がよく生かされており、短い時間でテンポよく盛り上げる様はすばらしい。
「ゼロ・グラビティ」は今年を代表するパニック映画の一本である。

評価:★★★★★(満点は★★★★★)
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「地獄でなぜ悪い」

2013-10-03 05:24:36 | 映画(さ行)

2012年度作品。日本映画。
鬼才・園子温監督が15年以上も前に執筆していたという脚本に加筆し、映画化したコミカルなアクション。服役していた妻の出所祝いにと、彼女の夢だった、娘を主演にした映画の製作に挑む男と、その言動に巻き込まれていく人々の姿を描く。
監督は園子温。
出演は國村隼、堤真一ら。




世間的な評価は知らないが、「地獄でなぜ悪い」は、クセの強いコメディ映画と感じた。

設定もキャラクターも物語のノリもつっこみどころに満ちていて、良くも悪くもバカバカしい。
しかしそういったバカバカしさをくそまじめにつっこむのは野暮なのだろう。

ただ何も考えず、そのノリにつきあう。
そのスタンスで見ていれば、おおむね楽しめる作品であるようだ。


物語はヤクザの抗争と、学生映画のノリで映画作りを続ける四人組のエピソードが並列して語られる。
基本的にどちらのエピソードもアホくさい。
ヤクザの抗争なのに、ヤクザらしからぬとぼけた味があるし、学生映画のノリで映画作りを続ける男たちも、むちゃくちゃウザくて、それが見ていて笑えてしまう。

俳優たちもそんなバカバカしい演技を楽しんで演じているのがわかる。
堤真一は顔芸を駆使して遊び心満点だし、長谷川博己は見ていてイラってするようなウザい男を、ノリノリで演じている。
そんな俳優陣の演技に引っ張られて、強引に納得させられるあたりは良かった。


ラストは、園子温らしくスプラッタなチャンバラ&銃撃戦へと突き進む。
血は過剰に流れるのだが、グロテスクさはあまりなく、つっこみどころが多すぎるせいか、ヤクザ映画をカリカチュアライズした雰囲気がある。
そのアホらしい雰囲気に、ちょっと笑ってしまった。
もちろんチャンバラ自体も見ていて楽しい。

方向性はともあれ、これが園子温なりの渾身のエンタテイメントなのだろう。


アクが強いので、嫌いな人は嫌いな作品かもしれない。
しかしこのくだらない雰囲気は、僕は結構好きである。

ともあれ園子温らしさが存分に出た作品であった。

評価:★★★★(満点は★★★★★)
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「そして父になる」

2013-10-02 05:19:18 | 映画(さ行)

2013年度作品。日本映画。
6年間愛情を注ぎ、育ててきたわが子が、もし他人の子だったら? 突然、過酷な現実にさらされた2組の夫婦の姿を映し出すヒューマンドラマ。
監督は是枝裕和。
出演は福山雅治、尾野真知子ら。




氏より育ち、とはよく言ったもので、血筋が良くても、その人の人格を決定するのはおおむね血ではなく、環境であったりする。

「そして父になる」は、氏より育ち、を具現化したドラマなのだろう。
そして人と人との関係は、血ではなく、時間によって醸成されることにも気づかされる。


福山雅治演じる主人公、野々宮良多はいわゆるエリートだ。
一流企業に勤め、大きなプロジェクトも任されており、高級マンションに住んでいる上、専業主婦の美人の妻もいる。そして息子を私立の小学校に入れようとしている。いわゆる勝ち組だ。

ちょっと湯川先生とかぶる部分があって、見ていて引っかかるが、それは御愛嬌と思っておこう。


そんな彼は子どもの取り違え事件に巻き込まれる。
自分の息子は別の家庭で育てられ、六年育ててきた子どもは、別の家庭の子であったと判明する。

相手の家族は、エリート意識を持っている主人公から見ると軽蔑の対象でしかない。
決して裕福とは言えず、言動にも品性は感じられないからだ。

だが少なくとも、主人公よりも子どもと向き合っている時間は多い。
実際見ていて子どもたちに多くの愛情をかけているのは、リリー・フランキーと真木よう子たち夫婦の方だということはよくわかる。
そしてそちらの子どもたちの方が笑顔が明るい。

だがことがことだけに、互いの家族は、本当の子どもを交換し引き取ることとなる。
そういうことをする辺り、主人公の男は頭が固く、理を通し過ぎるきらいがあるように思う。

そしてそれは、自身の父との関係と、義母との折り合いも影響しているらしいことが見えてくる。


だがそのように実の子を、自分の家庭に引き取っても、上手く子どもと向き合うことができると限らない。
もともと家庭と向き合うことの少なかった人だ。
そのせいで、息子と接するときも、上からの押し付けとなってしまう。

基本的に彼は不器用な人なのだろう。
それでも彼なりに、愛情をこめて、実の子と触れ合うようになるが、子どもからすれば、たとえ本当の親であっても、育ての親の方が恋しい。

それは結局血ではなく、親子と思って過ごしてきた時間が大きいからだ。
たとえ自分と血がつながっていても、大事なのは一緒に過ごした記憶なのだ。
そしてそれは子の方ばかりでなく、親の方も同じだったりする。


最後の父と子の会話は感動的である。
彼は相手の妻が看破した通り、血がつながっていなければ、父親としてやっていけないのでは、という不安があったのかもしれない。

それは自分の父や義母との関係も影響していよう。
だがそれと向き合い、克服できたとき、初めて一緒に過ごしてきた子を息子として受け入れることができたのだと思う。
そしてそのとき彼は初めて父としてやっていけると思ったのかもしれない。

そして、血とは関係なく、息子として愛してきたという時間を元にして、最後は息子に向かって語りかけている。
そこに愛情があるだけに深く胸を打って止まない。

その最後のシーンの印象がすばらしく、観賞後はすがすがしい気持ちになることができた。

評価:★★★★★(満点は★★★★★)
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「さよなら渓谷」

2013-08-20 05:17:06 | 映画(さ行)

2013年度作品。日本映画。
芥川賞作家・吉田修一の同名長編小説を、『まほろ駅前多田便利軒』の大森立嗣監督が映画化した人間ドラマ。とある団地で起きた幼児殺害事件をきっかけに浮かび上がる、容疑者の隣人夫婦の意外な関係を官能的に描く。
監督は大森立嗣。
出演は真木よう子、大西信満ら。




愛情と憎悪は異なるようでいて似通っている。
それは相手に対して強い思いを抱くという点で共通しているからだ。

「さよなら渓谷」はそんな人間の愛憎を描いた優れた作品だった。
設定こそ奇抜だが、人間の心を丹念に描いており心に響く、僕好みの作品である。


主人公の夫婦は傍目には大変仲睦まじく見える。
執拗とも見える性描写もそうだが、賞味期限切れの豆腐について語るところ、一緒に並んで歩いているときの自然な姿など、その思いを強くする。

そんな仲睦まじい夫婦の隣の家で、子どもが死に、その母親が逮捕される。
妻はその事件に際し、夫が子どもを殺害した隣家の女と不倫関係にあったと、夫にとって不利となるような嘘の供述を行なう。

仲の良い夫婦であるのに、妻は夫に対してなぜそのような行為を取るのか。その理由は物語が進むにつれて見えてくる。
それは、二人は過去に起きたレイプ事件の被害者と加害者の関係にあることが原因なのだ。

ではなぜ二人は、そのような関係にあるにも関わらず、夫婦として暮らし、あそこまで仲睦まじくいられるのか。
それが映画全体を貫くなぞとなっている。


レイプ事件の被害者である妻は、事件後ずいぶん不幸な人生を送っている。
レイプのことを相手に知られ、結婚には失敗しているし、DVの被害も受けていた。小林美佳の『性犯罪被害にあうということ』とか思い返しても、たぶんここで描かれる以上の苦しみはあったのだと思う。
そのため加害者の男と再会したときは、相手に激しい憎しみの言葉をぶつけている。
それに対して加害者の男は、謝罪をくり返し、女のために尽くすような態度を取る。

そのときの両者の微妙な距離の取りかたがおもしろい。

二人はその後、成り行きで一緒に旅をすることとなる。
そのとき女は、徐々に加害者の男に対して態度を軟化させているのだが、当然いつまで経っても心を完全には開かない。

だから激しい言葉で男を突き放すようなことを言ったりもする。
しかしそう言葉にしながらも、女は男についてきてほしいと思ったりもする。
また男の方も、贖罪を行なうように女に尽くしながらも、女が死んでくれたら楽になるとも考えたりしているのだ。

そこからは一筋縄ではいかない人間の心がほの見える。
その繊細な描写は見事と言うほかない。


そんな二人の夫婦関係は屈折したものと見えなくはない。
実際、女は取材する記者に対し、「私たちは幸せになるために一緒にいるのではない」と言っている。
だから女の最後の選択は必然とも言えるだろう。

だが始まりはどうであれ、二人の間にはまちがいなく愛情が生まれていたのだ。
それだけにその選択はあまりに悲しいものでもある。
だが男は、失踪した女を捜し出す、とも言っている。そこからは被害者と加害者を越えた、愛情が生まれていたことを裏打ちしていよう。

二人の関係が、幸福かはわからない。
二人が出会ったことは不幸でもあり、得たものは幸福ではあるが、そこに至る過程は地獄のようだ。
だが二人の絆は疑うべくもなく強いものとなっている。それだけが事実であるようだ。


ともあれ幸と不幸では簡単に割り切れない人間の関係を丁寧に描いており、僕の心に突き刺さった。
「さよなら渓谷」はまぎれもなく僕好みの作品である。

評価:★★★★★(満点は★★★★★)
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「最愛の大地」

2013-08-19 20:38:01 | 映画(さ行)

2011年度作品。アメリカ映画。
アンジェリーナ・ジョリーの初長編監督作となるヒューマンドラマ。92〜95年にかけてヨーロッパで起きたボスニア・ヘルツェゴビナ紛争により、運命を大きく狂わせていく2人の男女の姿を映し出す。ヒロイン、アイラ役のザーナ・マリアノヴィッチ、相手役のゴラン・コスティックなど紛争を経験した同地の俳優たちが多数起用されている。
監督はアンジェリーナ・ジョリー。
出演はレード・セルベッジア、ザーナ・マリアノヴィッチら。




物語として見るなら、本作は微妙である。
しかし社会正義に対する強い意識が存分に伝わる作品でもある。
「最愛の大地」に関して、率直に語るなら、そうなるだろう。


舞台はユーゴ内戦時のボスニア・ヘルツェコビナ。
そこで民族浄化を進めるセルビアの兵士は、むかし恋したムスリムの女性を見つける。彼は彼女を虐待から守ろうとし、逃亡の手引きもする。しかし彼女は再びセルビアの兵舎に戻されてしまう。彼は彼女を自分の女として囲うようになるが。。。ってのが流れだろうか。

そういった題材は、一見おもしろそうである。
だがテンポが悪くて、いまひとつ乗り切れない。
それもこれも、淡々と事実を羅列しているだけに見えるからだ。
どうせなら緊迫感を煽るなどしてもいいのに、演出はどこか中途半端に感じる。要は退屈なのだ。

僕の趣味もあることは否定しない。それでも見応えのある映像と、ショッキングな内容なだけに、もったいない気もする。


しかし描かれている内容そのものはすばらしい。
ムスリムという理由で男だけ射殺されるなど、冒頭からいきなり衝撃的である。
男性だけでなく女性も、敵の兵士からレイプされたり、辱めを受けたりと実にエグい。
そのせいで精神的に追い詰められている女性もいるけれど、さもありなんとも思う。

個人的に一番ひどいと思ったのは、そうやっていたぶっている女性を人間の盾にして敵のアジトに乗り込むところだろうか。
その非人間的な行為はむごいとしか言いようがない。


物語運びなど、僕の趣味からははずれる面はある。
しかしそこで描かれる内容そのものは、まちがいなく見るだけの価値がある。
この世界で現実に起きた無残な出来事を、切々と訴えるアンジェリーナ・ジョリーの姿勢に感服するばかりであった。

評価:★★(満点は★★★★★)
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