私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

『できそこないの男たち』 福岡伸一

2010-04-26 20:23:21 | 本(理数系)

「生命の基本仕様」―それは女である。本来、すべての生物はまずメスとして発生する。メスは太くて強い縦糸であり、オスはそのメスの系譜を時々橋渡しし、細い横糸の役割を果たす“使い走り”に過ぎない―。分子生物学が明らかにした、男を男たらしめる「秘密の鍵」。SRY遺伝子の発見をめぐる、研究者たちの白熱したレースと駆け引きの息吹を伝えながら「女と男」の「本当の関係」に迫る、あざやかな考察。
出版社:光文社(光文社新書)



『生物と無生物のあいだ』を読んで以来、福岡伸一の著作を読んでいるが、それは単純に彼の本がおもしろいからにほかならない。
読みやすいし、素人レベルの知識しかなくても、内容についていける。最新号の『ゴーマニズム宣言』でも取り上げられるくらいだから、文系の人でも理解は可能なのだろう。
何より語っている内容が非常に楽しい点が良い。


いままで読んできた作品もそうだったが、科学者のエピソードはこの作品でもおもしろかった。

第三章から五章で語られる、性決定遺伝子をめぐる争いがおもしろい。
デイビッド・ペイジの発見したジンクフィンガーYの業績が、グッドフェローたちによる、ジンクフィンガーYの近くにあったSRY遺伝子の発見によって覆される部分ところなどは、読んでいてゾクゾクしてしまう。
そこには運命の皮肉さえ感じられる。

こういったエピソードを探し出して、おもしろく語り、本のテーマと上手くからめるあたりはさすがだな、と感心してしまう。


もちろん男性を男性として決定付けるものは何か、という本書の内容自体も非常におもしろい。

生物の基本仕様が女性であることは知っていたけど、その過程をくわしく知るのは今回が初めてだった。
最初女だったものがSRYによって、男性にカスタマイズされる過程は、読んでいて感動的ですらあった。

ミュラー管が消失し、ウォルフ管が成長して、男性器の形状へとつくりかえられていく流れは、芸術的と言いたくなるほど美しい。「蟻の門渡り」なんかは読んでいてそうだったのか、と驚いてしまう。
そんな、イブからアダムがつくられていく様を読んでいると、生命っていうのはふしぎなものなんだな、と当たり前のことを思ってしまう。

また男性が女性に比べると弱く、早死にしてしまう理由についての、著者なりの考えにも惹きこまれた。
男性化を促すテストテロンが、人体の免疫系を傷つけてしまうという説は非常におもしろい。
その刺激的な内容に、僕は胸を躍らせながら読み進めていた。

ほかにもY染色体から人類の起源を探る試みや、ナダル‐ジナールとヴィジャクのエピソードも楽しく読むことができる。


専門分野の話でありながら、楽しく読むことができ、知らなかった世界について教えてくれる。
語り手としての福岡伸一の上手さを再認識させられる、実に楽しい一冊だ。

評価:★★★★★(満点は★★★★★)



そのほかの福岡伸一作品感想
 『生物と無生物のあいだ』
 『世界は分けてもわからない』

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7 コメント

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科学ニュース (ニュース速報)
2018-07-10 17:33:33
〈科学〉女性の努力が報われないワケ〈発見〉

「女性には天才がほとんどいない!」と思うことは誰でもありますよね。
実は、最新の脳科学的には女性はあまり賢くなれないことが明らかになりました!
脳は、大脳皮質の神経細胞(ニューロン)を増やして高等な働きをするために、シワで表面積を増やしたり、体積を増やしたりするんです!
体積は男性の方が大きいのですが、表面積は女性も頑張って男性と同じくらいになっています!
では、大脳皮質ニューロン増大競争の勝者は?
男性230億個!女性190億個!
男性の勝ちです!女は男にボロ負け!女性は思考を司る部分が男性の80%くらいしか発達していませんでした、、、
しかし、女性に嬉しいニュースもあります!脳の量は男性に負けますが、質は最初からそこそこ良いんです!だから、女性に極端な大バカ者はあまりいないんです。「犯罪者は男ばかりだな」と思うのも正しいんです!
ただ、量が少なくて質がそこそこ良いというのは、「努力しても伸びしろが少ない」ということでもあるんです。
アメリカの大農場は粗放的ですが、労働を増やすほど収穫を増やせますよね!日本の農場は小さくて、最初から効率はそこそこいいんですが、収穫増大は限界があります。男性は大農園、女性は小農園と言えます。
そもそも脳の能力は、ニューロンを結ぶシナプスをどれだけ増やしていけるかにかかっているんです!女性はニューロンが少なく、あまり増やしていけないんですね。
男性は量が多い代わりに、勉強してシナプスを増やして質を高める必要があります!そうして行くことで、上限が低い生き物である女性が頑張っても及ばないような大天才になれるんです!
そういえば、高IQ集団メンサ会員やノーベル賞受賞者、偉大な学者、聖人など、賢者は男性だらけですね。
東大の女性優遇措置や欧米の大学の女性枠などからわかる文化的、環境的な女性優遇、男性差別のおかげも有って平均レベルではどっこいどっこいですが、女性は大して賢くなれず、男性は天才になれることが分かりました!
ちなみに、男性の脳は休憩中は休んでいますが、女性の脳は何も考えていない休憩中でも90%が無駄に活動しており、エネルギーがゴリゴリ減っていくんです!男性の方が「エコ脳」なんですね(笑)女性は男性以上の睡眠をとらなければなりません。
さらに、専門医の佐藤明男先生によると「AGAは男性ホルモンの作用が増強されている方に比較的多く見られます。男性ホルモンは知能の発達や身体・骨格の発達に関係していますから、わりと知能の高い方が多いです。“若ハゲ”には頭のよい人が多いですね」とのこと。男性ホルモンは知能を高めるんですね!
そういえば90%以上の国々で男性の方が知能指数が3〜5ポイント高いし、今のトップはエヴァンゲロス・カツイオウリス(IQ258)という男性だ、、、
とはいえ、ギネス記録にIQの枠は消えてしまったそうです。メンサのランキングなどから1位が分かりますがね!
また、精神を安定させて頭を冴えさせるセロトニンが女性は男性の52%も少なく、月経周期でホルモンバランスが崩れ続け、コルチゾールを減らす働きも弱く、そもそも男性より8倍もストレスを感じやすいため、女性はストレスに弱くなります!
うつ病、PTSD、パニック障害、不安障害、恐怖症、ヒステリー症候群など、ストレス性の精神病は女性の方がずっと多いんです。自殺率だけは低いんですが、自殺未遂や自殺演技が多く、行動に移せないのも女性の弱さなんです。自殺は止めましょうね!
また、女性は喫煙率など生活習慣が良く、危険な仕事もしないため、平均寿命は長いんですが、近年は生活習慣が悪化してきており、男性の生活習慣が改善されてきているため、最近のイギリスの研究では将来男女の寿命が逆転する可能性が言及されています!
脳の話に戻りますと、大脳が少ない代わりに感情を司る間脳が優位な女性は、考え事にどうしても独断的な感情が入ってしまい、客観的な真実に辿り着けないんです!
こうして、体格、攻撃力、防御力、素早さ、スタミナなどの身体能力はもちろん、精神力でも男性に敵わない女性は、努力が報われないようになってしまったんです!
女性にとってはトホホな結果に終わってしまいました、、、
努力すればするほど大賢者になれる男性方は、ぜひ粛々と勉強や運動に励んでください!
夏目漱石のような文章力、カントのような緻密な思想、ダヴィンチのような芸術的才能、フェルマーのような数学力、アインシュタインのような物理的思考力、ソクラテスのような哲学的思考力、エジソンのような創造力、ブッダのような高尚な精神を身につけましょう!
女性は努力してもしなくても平均付近であまり変わりませんので、好きにしたらいいんでしょうね!
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Unknown (Unknown)
2018-07-30 16:27:13
上みたいなコピペ荒らししちゃう点が、この著書のタイトルのよい例になってますね。
ちなみに男性ホルモンが増えすぎると認知機能の低下=iqの低下につながるという研究はいくつもあるようです。

男性ホルモンは胎内でも脳の発達を抑制する方向で働くそうなので、個人的には納得でした。
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Unknown (3)
2019-04-04 16:44:43
コメント1は、色々なところに投稿している荒らしのようです・・。
2chコピペを切り貼りしたような内容です・・。

自分は認知機能に関する研究に興味があってよく調べますが、多くの調査を見る限り、以下の傾向があるようです。

iqでは男がやや上回る研究と同じくらい女がやや上回る研究も複数あり、他の多くの研究では男女で有意差が出ていない。
体格で大きさを補正しない場合でも、女の脳は男の脳より皮質が厚くなることが複数の研究で確認されています。この質の違いが認知機能に男女で有意差が生じない理由の可能性を指摘する研究者もいます。
現状、平均学力に関しては世界的に七割以上の国で女子のほうが高いようです。
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Unknown (Unknown)
2021-07-06 20:05:32
IQの研究のほとんどは男性が上回るか
全く性差が無いかです
真逆の結果はほとんどありません
皮質厚の性差は脳のサイズの違いより小さいです
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Unknown (Unknown)
2021-08-11 20:40:09
<<女の脳は劣等脳>>
皆さん!よく「男性は右脳型で、女性は左脳型」ということを聞きませんか?これは、男性ホルモンが右脳を大きく発達させる作用があるから、そう言われているんですね。しかし、これは、「男女の脳が同じ大きさだったら」と換算したもので、女の女による女のための比べ方に過ぎないんです。実は、言語野が広がっている左脳だけに限っても、男性の方が女性よりも大きく発達しているんです!知ってましたか?
女性はすぐに成長が止まる早熟タイプであるため、話し始める時期は少し早いんですが、成人する頃には総合的な言語性IQに男女差はなくなっているんです。実際に、成人以上で測定するpiaacでは9割の先進国で成人男性は成人女性よりも読解力、数学的思考力、IT問題解決能力の全てで優れていることが判明している。
これは、左脳の言語中枢が、男性の方が大きく発達している(女性の大脳皮質ニューロン数は男性の80%程度しか無い)というだけではないんです。実は、言語処理には言語野だけでなく、イメージ能力など右脳の処置も関わります。哲学や理論などは、概念を空間的・構造的に位置付ける高度な言語操作が必要になります。だから、数学的思考力や理論理解力が男性の方が高いので、言語能力の上限が男性の方が女性よりも高くなっているんです。実際に、夏目漱石やアインシュタインなど、偉大な文豪や学者は男性だらけですね!
女の脳は井戸端会議レベルで終わってしまう劣等脳だというお話でした!
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Unknown (k)
2022-01-22 23:38:12
>男性ホルモンは胎内でも脳の発達を抑制する方向で働くそうなので、個人的には納得でした。

君が聞いた話はフェミが垂れ流すバカ話だから信じ込まない方がいいよ。というか「〇〇らしいよ」という噂レベルの知識を口にして自分で勉強しない奴は男女問わず精神麻痺です。
女性ホルモンが脳の発達に働くことは事実だけど、男性ホルモンも脳の発達、脳神経の結合の増強などに働くことが明らかになっている。実際、ニューロンの量も脳内神経の結合の強さも男性の方が上だということが分かっている。ただ、更年期障害を治療するために元々女性ホルモンの研究の方が早く進められていたこともあるから、その時点での古い情報を聞かされたのかもしれない。知能の低いバカフェミからね。
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Unknown (Unknown)
2022-07-08 07:43:21
あと、あなたが言及してる研究の原典を読んでみたが
その研究では
以下の理由からはそのような主張は導けられない
研究が使用したCRTテストはIQテストではない
CRTテストでは一貫して男性の成績が高い傾向にある
男性ホルモンを投与しただけで男性ホルモンの多い男性の間では効果は不明
実際男性ホルモンが10倍多い男性の方が女性より成績が良い
それを根拠すると女性の知能が低いと結論づける事ができる
返信する

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