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2006年度作品。イギリス映画。
モーツァルトの代表作を、第一次大戦前夜に舞台を移し映画化。
戦場で傷付いた兵士タミーノは夜の女王に仕える三人の侍女に命を救われる。夜の女王から、ザラストロにさらわれた娘のパミーナを助け出してほしい、と頼まれたタミーノはザラストロの神殿に忍び込む。そこで待ち受けるのは数々の試練だった。
監督は「ヘンリー五世」のケネス・ブラナー。
出演は若手テノール歌手のジョセフ・カイザー。エイミー・カーソン ら。
有名オペラの映画化である。
僕はオペラを見たことはなく、「魔笛」についても、まともに聴いたことがあるのは、「夜の女王のアリア」と序曲くらいでしかない。そのためストーリーはまったく知らなかったのだが、僕が思っていた以上に、古典的な構造の話であった。しかもプロットにはつっこみどころも多い。いちいちは上げないが、矛盾する面は多々ある。
映画の良し悪しを決定するのはプロットだ、と僕は思っている。そういうわけで、本作を映画として評価するなら、落第点レベルの作品だ。
だがそういったストーリー上の細かい部分をつっこむのも野暮なのかもしれない。
この作品はモーツァルトの音楽を2時間強楽しむ。それがメインであり、それだけのためにあるような作品だからだ。
実際、本編の2時間強の間、その美しい音楽世界に浸ることができた。
二つ目の「夜の女王のアリア」もあのような場面で歌われるものだったのか、と知ることもできたし、パパゲーノとパパゲーナの二重唱がこの「魔笛」の曲だということも初めて知った。それに村上春樹の小説にも登場する鳥刺し男の歌を聴けたことも個人的には楽しい体験であった。
この作品を通して、より「魔笛」の中の音楽が身近になったような気がする。
確かに本作のストーリーは気に入らない。しかしストーリーではなく、クラシックを2時間楽しむ。そういう観点から見るなら、充分すぎるくらいに及第点の作品である。
評価:★★★(満点は★★★★★)
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