私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「her/世界でひとつの彼女」

2014-09-09 20:53:46 | 映画(は行)

2013年度作品。アメリカ映画。
鬼才スパイク・ジョーンズ監督の『かいじゅうたちのいるところ』以来4年ぶりの長編作は、ホアキン・フェニックスを主演に迎え、人工知能の女性にひかれていく男の姿を描くラブストーリー。
監督はスパイク・ジョーンズ。
出演はホアキン・フェニックス、エイミー・アダムスら。




奇抜な発想の話である。
正直な話、ストーリーはまあまあというレベルだったが、恋愛劇をこのように見せる方法もあるのだな、と素直に感心させられた。


人工知能のように人間と自然な会話ができるOSと、離婚したばかりの中年男のラブストーリーである。

まずはOSに恋に落ちるという発想がおもしろい。
離婚して傷ついている彼は、恋愛に対してどこか尻込みしている部分はある。
そのようなメンタルに、OSのサマンサの対応はしっくりきたのだろう。

中身だけを抜き出せば、人間に置き換えても成立しそうだが、それをこのような設定で見せていくあたりはすばらしい。
これは発想の勝利としか言いようがない。


ストーリー自体はそういうわけで恋愛映画のオーソドックスな展開をなぞっている。
セックスができないので、テレフォンセックスを使うという辺りとか、代替の女を使うとかいう辺りは、少し引いてしまったが、そういった齟齬も含めて、奇抜な設定を生かしていると言える。

そして最後に明かされるサマンサの真実にはドキリとさせられた。
OSがNot Foundになるくらいは想像がついたが、そこからひとひねりを加えてくるあたりは見事。
そしてこれもまた、設定をうまく生かした展開だ。


そういうわけでストーリー的にはともかく、アイデアをフルに生かした内容は関心しきりであった。
ただ一言ユニーク。それにすべては尽きる一作である。

評価:★★★(満点は★★★★★)

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