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2014年度作品。アメリカ映画。
『バットマン』シリーズで主人公を演じたマイケル・キートンが、かつてヒーロー映画で人気を博した俳優に扮し、再起をかけてブロードウェイの舞台に挑む姿を描くブラック・コメディ。
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演はマイケル・キートン、ザッツ・ガリフィアナキスら。
「バードマン」は映画界の裏面を描いた作品、と言っていいのかもしれない。
本作がアカデミー賞を取ったのはそういった内輪に受ける話だったからのように、見ていて感じたのだが、どうだろう。
と、いきなりケチをつけるような言い方ではあるが、内容自体はそれなりに楽しめる。
それというのも、物語のけん引力にあふれているからだ。
主人公のリーガンは、バードマンというヒーローものの映画が当たって、有名になった俳優だ。しかしそれ以降の作品に恵まれず、伸び悩んでいる。
そんな状況を打破するため、ブロードウェイで、カーヴァーの短編の戯曲化に挑戦。脚本、演出、主演と力を入れて取り組んでいく。だが共演俳優に話題を持ってかれ、舞台も好き勝手に振り回されて、やられ放題になってしまい。。。
っていうのが筋だろうか。見ていても正直かわいそうになるくらいだった。
それでなくとも彼は報われない。
彼としては、落ちぶれて、顧みられることの少なくなった自分の起死回生の作品として、舞台を設定したはずだ。にもかかわらずその思惑通りにはいかない。
舞台のプレビューは酷評されるし、舞台という芸術の世界にやってきても無理だ、と批評家に小馬鹿にもされる。
だがそうは言っても、彼はそれなりに、周囲の人間からは人気の俳優なのだ。
もちろんバードマンの俳優、という以上ではないかもしれない。
けれど、舞台に身をささげねば忘れ去られるほど、無視されるようなレベルの存在ではない。
事故によりブリーフでブロードウェイを歩くシーン(ここは爆笑した)を見ても、彼の人気はなかなかのものだ。
だがそれは必ずしも、彼の望む自分の姿ではないというだけである。
その齟齬がちょっと痛ましい。
ラストに向けて、彼のその思いは妄想(もしくは幻覚)の方向へ、どんどん暴走をしていくことになる。もはや病んでいるというほかないくらいである。
そして舞台の上で、その暴走はピークに達する。その展開にはドキリとさせられた。
ラストシーンも個人的にはにやりとさせられて好きである。
ともあれ、売れなくなった俳優の悲喜劇をけん引力たっぷりに見せてくれる映画である。
アカデミー賞にふさわしいかは知らないが、そこそこ好きな映画であった。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
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