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真の愛を得ることができないと定められた女を巡り、三人の男たちが翻弄される。アジア発のエンターテイメント。
監督は「さらば、わが愛/覇王別姫」のチェン・カイコー。
出演は日本から真田広之、韓国からチャン・ドンゴン。香港からセシリア・チャン、ニコラス・ツェーとアジアの名優が集う。
真っ先に印象に残ったのは、色鮮やかなその映像だ。
真田広之の引き連れる軍団の赤、ニコラス・ツェーが引き連れる軍団の白、雪国の男がまとう黒、王宮の黄色など印象に残る色が多い。
しかしその映像美には同時に既視感も覚える。その色に対する演出は、チャン・イーモウの「HERO」を思い出させるのだ。
そしてその既視感は色に対する演出ばかりではなく、そのほかの面でもいくつかかぶっていることによる。
チェン・カイコーがどのような意図でこの作品をつくったかは知らないけれど、本作はチャン・イーモウの「HERO」と「LOVERS」を想起するものが多い。CGを駆使したアクションシーンや映像美、ワイヤーアクションなんかはまさに似ているというものであろう。
その映像自体は完全にギャグの世界になっている。冒頭のチャン・ドンゴンの疾走シーンを始め何度か苦笑してしまう場面があった。そんなギャグばかりのアクションシーンの中でニコラス・ツェーの扇子さばきや艶やかな表情が光っていたと思う。
プロット的には整合性がない。
例えば、チャン・ドンゴンが去ったり、都合いい場面で現れたりする部分や、黒い服の男も何の前触れもなく、チャン・ドンゴンの前に現れたりする部分等、どうもシーンの繋がりに説得力がない様な気がしてならなかった。その他にも登場人物が都合よく動かされていて、納得のいかない面が多々あった。
本作は物語としての骨格にガチッとしたものが欠けていたのではないだろうか。そのため、僕としてはいま一つ物語に入り込むことができなかった。
映像やCGに凝る前にもっと追及すべき問題があるのでは無いだろうか、とえらそうに思う。とてもじゃないが、過去のチェン・カイコー作品には及びもしない出来であった。
評価:★★(満点は★★★★★)