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賭博師シェルにより爆殺されるバロット、瀕死の彼女を救ったのはネズミ型万能兵器のウフコックだった。電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追う。
日本SF大賞受賞作。全三巻。
SFという以外、ほとんど予備知識無しで読んだので、中盤から後半にかけてページの多くがカジノシーンに費やされていることに若干戸惑った。当然のことだけど、カジノシーンを描くのにSFという設定を使う必然性はあまり無い。
しかしそのカジノシーンがはっきり言って本作の中でもっともエキサイティングであった。SFだからどうこうという、ジャンルにこだわるのが愚かしく思えるほどだ。
特にブラックジャックのシーンが格別だ。相手との心理戦、駆け引き、心の読み合い、ぴりぴりした空気が前面に漂っていて引き込まれるように読んでしまう。最高のシーンだ。
もちろん本作はカジノシーンだけがすばらしいのではない。一人の少女の成長物語としてもきっちり仕上がっている。
虐げられたバロットの怒りには極めて説得力があった。それだけに傷ついた彼女の心を救う存在になる金色の鼠、ウフコックとの交流が極めて暖かく感じられ、印象に残る。
彼女にとっては過酷さも伴う世界かもしれないが、その中で信じあえる存在と巡りあい、彼女自身の命を生きていくラストの姿が極めて鮮やかであった。
何かまとまりがなくなってしまったけれど、本作はエンターテイメントとして優れた一品であることは間違いないだろう。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
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