外国語学習の意味、そして母国語について考えましょう

社内公用語の英語化、小学校での英語の義務化など最近「英語」に振り回され気味ですが、何故、どの程度英語を学ぶか考えます。

続の(2/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

2018年09月12日 | 英語学習、教授法 新...

続の(2/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア

今回、長いです。2/3です。ことがらの性質上、この長さ、お許しいただきたいです。

続の後半、関係詞です。一回目と同様、対話形式で進めます。一回目を忘れた方はここをクリックして復習してください。

先生:関係詞から始まる文の部分は関係詞節(relative clause =形容詞節とも呼ぶ)と呼びます。a flower which is redの、which is redの部分ですね。

この部分の役割はなんでしたっけ。

生徒:名詞の限定ですね。a flower which is redは、a red flowerと同じ意味ですが、a red flowerと違うのは、isをwasやmay beに変えて複雑な表現ができるのが関係詞節なんですね。

ベン図先生:そう、限定=defineがキーワードです。日本語では「修飾」と言いますから何か着せるみたいですネ。伝統的な英語の文法用語ではmodify。「様子を変える」というところでしょうか。

生徒:which is redの役割は、単なるa flowerより指す花に種類が限定されるので「限定」と言った方が実態を反映しているという意味でしょうか。

ベン図 2項先生:which is red and smells goodだと?。

生徒:もっと限定する範囲が狭くなります。つまり、花の数はより少ないでしょうね。

(左の図の「猫が好き」を赤い花、「犬が好き」をいい香りがする、にすれば、「両方好き」と「両方嫌い」をどう変えたらいいでしょう。)

■限定する要素と文を前へ進める要素

先生:では、もう以下の二つの文字列の意味の違いは分かりますね。

- a flower which is red

- The flower is red.

徒:上は、「赤い花」。下は、「その花は赤い。」

先生:上は限定、下は判断を表わすちゃんとした文。「前に進んでいる文

」と言えます。上は、あとに--- is bloomingなどとつけないとちゃんとした文になりません、つまり前へ進めません。(The flower which is red is blooming)。

生徒:このぐらいならすぐ意味も分かるし、訳せます。けれども、いわゆる関係詞の省略とか、分かりにくいのもたくさんあります。

赤い花 男の子先生:もっともです。a flower which is red の方がa red flowerより表現の幅が広いと言いましたが、もっと複雑な限定も関係詞で行うことができます。たとえば、「その女の子が好きな花」は英語で表わせますか。

生徒:the flower which (=that) the girl likes。またはthe flower the girl likes。この程度ならなんとかなりますが。二番目の文のように関係詞が省略されるとどこが切れ目か分からなくなります。それに、the flower  the girl decoated her room withなどなんて訳したらいいのか...。

■前方移動ということ

先生:急に複雑になりましたね。分かりにくい理由は二つあるのですが、まず一つめから解決します。じつは、どんな関係詞の節(relative clause=形容詞節)もとても単純な<たった一つの規則>から成り立っているのです。「限定される単語の前方移動」(前方移動とは、先に言うということですな)です。

以下の二つの語列は片方がモトでもう一つはちょっと形を変えたものと言えます。

- a flower which is red

- The flower is red.

生徒:?

先生:では、次の二つの文、片方が肯定文で、片方が疑問文ですが。どちらがモトでもう一つがそれを変えて作ったと言ったとしたら変ですか。

- What flower is red?

- This flower is red.

生徒:前半は、見れば分かるじゃん、と言いたくなる内容の疑問文ですが、それはさておき、下の肯定文が先で、それを変化させて疑問文を作ったに決まっているでしょう。

■関係詞節(形容詞節)の作り方

先生:あ、これラジオのクイズ番組のつもり。それはさておき、

 - a flower which is red

 - The flower is red.

関係詞節(形容詞節とも言う)も、下の「ちゃんとした文」を変えて作ったと考えたらいいではないですか。規則は単純で単一。リンゴが落ちるのも飛行機が落ちるのもニュートンの万有引力の法則で説明できるのと同じように単一的、しかももっと簡単。

⓵ 限定される単語を最初にもって来る(先に言う)。 

the flower [The flower is red.]

⓶ The flowerを取る。(=限定の対象となった単語を取る)

the flower [The flower is red.]

⓷ The flowerの位置に関係代名詞(which / that)を入れる。

the flower which is red.

赤い花 帽子次回、あらゆる言語の要素のつながりは、限定か、前へ進むか、というごくごく一般的な話に触れますが(これは大学受験の英文和訳において問われる重要な点)、まあ、たとえば、日本でも⓵のような「前へ進む」文があって、それを変えて、⓶の限定修飾の文字列が生まれるのも同じです。


⓵ 花が赤い。

⓶ 赤い花。

 では、さっきの少し複雑な関係詞節(形容詞節とも言う)も上の単純な語順移動でできているということを確認してください。

最初の文字列のモトの形は:The girl likes the flower.

次の文字列のモトの形は: The girl decorated her room with the flowers.

To be continued





 

 



 

 

 

 



言葉の格闘、夏休み子供科学相談室は9月まで聴けます!2/2

2018年09月12日 | 教育諭:言語から、数学、理科、歴史へ

言葉の格闘、夏休み子供科学相談室は9月まで聴けます!2/2

以下、9月11日記載

今回、このように「あら」を指摘しましたが、8月後半の番組にも興味深い解答がありました。8月23日(木)、夏後半の最初の日です。「なぜよい空気と悪い空気があるのか」という質問につづいて、「鳥人間がいれば学校に遅刻しませんか」という質問がありました。

前者の質問に対しての答えはいまいち。「いい空気は人間にとって心地よいからです」が答えでした!。これに対し「分かりましたか?」と訊いて「はい」と答えさせるのはちょっと酷ではないでしょうか。もっといえば、思考停止に誘うことにならないでしょうか。そのかわり、たとえば、以下のように説明すればどうでしょう。宇宙には悪い空気と私たちが思う空気がたくさんあり、そのなかで、ただ一つ、よい空気だと今私たちが思う種類の空気が人間の祖先の生物を育てたから、とうぜん私たちは育ててくれた空気をよいと思い、それ以外の空気は悪い、毒だと思う...、こういう言い方が悪ければ、「合わない」わけです。海で育った魚は海水が好きで淡水は苦手だし、淡水で育った魚は海水が苦手なのと同じですネ。こう説明すれば、たとえば、人間には毒かもしれない別の種類の空気で育った生物がいるかもしれないと考えが広がり、思考停止は免れるのではないでしょうか。

ズグロモリモズさて、「鳥人間がいれば学校に遅刻しませんか」という質問への答えはよく考えられていたので、ここで答えの構成をご紹介しましょう。

「鳥人間がいれば学校に遅刻しませんか」

何故遅刻するのか。

質問者:怠けるから。

飛ぶのにはたいへん労力が必要。(歩く→走る→飛ぶ、の順序で労が多く必要)

怠けたい場合、鳥も歩くからやはり遅刻する。

and

労力を要するから学校へついてもまたご飯が食べたくなりやはり遅刻する。

ところで、鳥はエサ取りのためがんばって早起きなので遅刻しないかもしれない。

早起きの理由は早寝だから。

もし鳥人間が人間同様に夜更かしをするなら、やはり遅刻するだろう。

and

人間同様お母さんが食事を用意してくれたら頑張る必要がなく、やはり遅刻するだろう。

まとめとして、鳥はたいへん努力をして飛び、エサ取りや天敵から身を守るために必死になって早起きをしているのに対し、人間はまわりに世話をしてくれる人がいるのでなまけてしまいがちだ。

結論は、鳥になるより、怠けないで早起きをしましょう。

こうした、心理的、道徳的な答えを導くのは考えをそらしてしまう可能性があるのですが、ここでの答えは、科学の本質からずれず、witとhumourがあり、うまくまとめています。名解答と言えます。回答者のK先生はなかなか人気者のようです。

*写真の鳥はズグロモリモズ。つぎの鳥関連の質問に登場しました。