続の(2/3):関係詞の学習の仕方、教え方のアイデア
今回、長いです。2/3です。ことがらの性質上、この長さ、お許しいただきたいです。
続の後半、関係詞です。一回目と同様、対話形式で進めます。一回目を忘れた方はここをクリックして復習してください。
先生:関係詞から始まる文の部分は関係詞節(relative clause =形容詞節とも呼ぶ)と呼びます。a flower which is redの、which is redの部分ですね。
この部分の役割はなんでしたっけ。
生徒:名詞の限定ですね。a flower which is redは、a red flowerと同じ意味ですが、a red flowerと違うのは、isをwasやmay beに変えて複雑な表現ができるのが関係詞節なんですね。
先生:そう、限定=defineがキーワードです。日本語では「修飾」と言いますから何か着せるみたいですネ。伝統的な英語の文法用語ではmodify。「様子を変える」というところでしょうか。
生徒:which is redの役割は、単なるa flowerより指す花に種類が限定されるので「限定」と言った方が実態を反映しているという意味でしょうか。
先生:which is red and smells goodだと?。
生徒:もっと限定する範囲が狭くなります。つまり、花の数はより少ないでしょうね。
(左の図の「猫が好き」を赤い花、「犬が好き」をいい香りがする、にすれば、「両方好き」と「両方嫌い」をどう変えたらいいでしょう。)
■限定する要素と文を前へ進める要素
先生:では、もう以下の二つの文字列の意味の違いは分かりますね。
- a flower which is red
- The flower is red.
生徒:上は、「赤い花」。下は、「その花は赤い。」
先生:上は限定、下は判断を表わすちゃんとした文。「前に進んでいる文
」と言えます。上は、あとに--- is bloomingなどとつけないとちゃんとした文になりません、つまり前へ進めません。(The flower which is red is blooming)。
生徒:このぐらいならすぐ意味も分かるし、訳せます。けれども、いわゆる関係詞の省略とか、分かりにくいのもたくさんあります。
先生:もっともです。a flower which is red の方がa red flowerより表現の幅が広いと言いましたが、もっと複雑な限定も関係詞で行うことができます。たとえば、「その女の子が好きな花」は英語で表わせますか。
生徒:the flower which (=that) the girl likes。またはthe flower the girl likes。この程度ならなんとかなりますが。二番目の文のように関係詞が省略されるとどこが切れ目か分からなくなります。それに、the flower the girl decoated her room withなどなんて訳したらいいのか...。
■前方移動ということ
先生:急に複雑になりましたね。分かりにくい理由は二つあるのですが、まず一つめから解決します。じつは、どんな関係詞の節(relative clause=形容詞節)もとても単純な<たった一つの規則>から成り立っているのです。「限定される単語の前方移動」(前方移動とは、先に言うということですな)です。
以下の二つの語列は片方がモトでもう一つはちょっと形を変えたものと言えます。
- a flower which is red
- The flower is red.
生徒:?
先生:では、次の二つの文、片方が肯定文で、片方が疑問文ですが。どちらがモトでもう一つがそれを変えて作ったと言ったとしたら変ですか。
- What flower is red?
- This flower is red.
生徒:前半は、見れば分かるじゃん、と言いたくなる内容の疑問文ですが、それはさておき、下の肯定文が先で、それを変化させて疑問文を作ったに決まっているでしょう。
■関係詞節(形容詞節)の作り方
先生:あ、これラジオのクイズ番組のつもり。それはさておき、
- a flower which is red
- The flower is red.
関係詞節(形容詞節とも言う)も、下の「ちゃんとした文」を変えて作ったと考えたらいいではないですか。規則は単純で単一。リンゴが落ちるのも飛行機が落ちるのもニュートンの万有引力の法則で説明できるのと同じように単一的、しかももっと簡単。
⓵ 限定される単語を最初にもって来る(先に言う)。
the flower [The flower is red.]
⓶ The flowerを取る。(=限定の対象となった単語を取る)
the flower [The flower is red.]
⓷ The flowerの位置に関係代名詞(which / that)を入れる。
the flower which is red.
次回、あらゆる言語の要素のつながりは、限定か、前へ進むか、というごくごく一般的な話に触れますが(これは大学受験の英文和訳において問われる重要な点)、まあ、たとえば、日本でも⓵のような「前へ進む」文があって、それを変えて、⓶の限定修飾の文字列が生まれるのも同じです。
⓵ 花が赤い。
↓
⓶ 赤い花。
では、さっきの少し複雑な関係詞節(形容詞節とも言う)も上の単純な語順移動でできているということを確認してください。
最初の文字列のモトの形は:The girl likes the flower.
次の文字列のモトの形は: The girl decorated her room with the flowers.