外国語学習の意味、そして母国語について考えましょう

社内公用語の英語化、小学校での英語の義務化など最近「英語」に振り回され気味ですが、何故、どの程度英語を学ぶか考えます。

英語deクッキングは、語学学習に有効か?

2015年06月25日 | 言葉について:英語から国語へ

英語deクッキングは、語学学習に有効か?

 

自分で使っていながら、こういうのはナンですが、いったい、この"de"何を意味するのでしょう。が、まあ、日本語の「で」の意味と理解しておきましょう。

英語学習とクッキング。この二つを並行させるのは、よく行われていますが、なぜ行われているか、というと、たぶん、次の2つの意味で、人々が関心を持つからでしょう。

① 楽しそう。

② 一挙両得。

英語でお菓子私の印象では、習う側も、教える側も、これ以上のことは考えていないようです。じつは、その点については、私はそんなに関心を持っていませんでした。そんなものかなという印象しかありません。

しかし、ここ数年、小学生の英語学習の一環として、お菓子の作成も導入する過程で、いろいろ考えることがありました。何を作ったか?。各種クッキーを初めとして、カスタード・プリン、ガトー・オ・ショコラ、ティラミス、シュークリーム、マドレーヌ、などなど。材料を計り、原価計算も行い、お店を出すとしたらいくらで売りますか、いうところまで考えた場合もありました。途中、倍量にして対応できるかどうかも試練でした。

なにより、大切なのは、「片付ける」ことです。

お菓子作りの英語レッスンでは、3つの段階があるとその子に言いました。

①は、食べながら英語のレッスン→楽しい。②作りながら英語のレッスン→楽ししい。 しかし、片付けるのは→楽しい...かな、と。

作る過程では、出来上がったお菓子の味や食べる人を思い浮かべてがんばることができますが、片付 ける時、どのような目的を思い浮かべればよいのか、イメージが湧きません。ですから、誰でも片付けが嫌いなのは納得のいくことです。しかし、片付けないとどうなるか。あとの人が台所を使うことができません。私たちがケーキ作りができるのも、誰 かが片付けておいてくれたからです。ほかの誰が使うか分からなくても、キッチンを綺麗しておいてはじめてケーキ作りが「完成」するのです...、と言い聞かせたわけではないのですが、いつかそれに気がついてもらいたいと思います。 つまり「社会」というものの理解の入り口として「片付ける」という過程を考えたわけです。

料理 失敗

最近になって、初めて大人一人を対象にマドレーヌを試みました。仕事のストレスでその方は大変な時期でしたが、仕事のことはすっかり忘れて、英語はともかく楽しく2時間を過ごされたようです。

その過程で、英語deクッキングは、案外、大人の英語学習にとって意味があるのではないかと思うようになりました。なぜか?。世間の「英語deクッキング」を試みている方はどう考えているか知りませんが、①楽しそう、②一挙両得だけでもナイゾと思っています。

理由は3つあります。一つめは、目の前に目的がはっきりしているということ。概して英語教育がうまくいかないのは何のために英語を勉強するか分からないからです。だからといってゲームであれ試験であれ人工的な目的を設定してもそれがウソっぽかったらいずれは飽きられます。しかし、2時間後にはケーキが食べられるのですから、これには現実味があります。

二つ目には、体を使うということ。教室で座って学習していてはいくら「双方向」とか「発信」とか標語をかかげても、掛け声だけに終わるのではないでしょうか。新式のインタネットを使った学習法でも変わりがありません。じつはその背景には、言語活動の「深い真実」が隠されているのではないかと考えています。それは何か。面と向かった対話とインタネットによる「対話」はどこが違うのでしょう。それは、インタネットや、電話などの会話においては、相手に肉体的に攻撃される可能性がないということ、もっと根本的に言えば相手に殺される可能性がない、ということです。「何をそんな極端な...」と思われるかもしれません。たしかに、殺し合いと、ケーキ作りに間には大きな距離があります。しかし、距離があっても「連続」していることだと思います。 和気藹々とケーキ作りを愉しんでいるときも、人は相手にけっこう気遣っているものです。それが、言葉の習得にも深いところで関係があると思います。

料理 軽量三つ目は、ケーキ作りには、失敗は許されないということです。そのために、分量や、焼く時間を間違えなく伝えなければなりません。米国や英国のレシピーをインタネットから参照するので、温度も華氏(Fahrenheit)から摂氏(Selcius)に変換する必要が生じることもあります。華氏から32を引いて5/9を掛けるのです。大人も、子供も、最初は、「ええ~!」と声を上げますが、ほっておけば、皆さんスマホを取り出し計算しはじめます。人間、だれも、目のまえに問題があれば解決しようという本能を持っているものです。逃げるようになるのは、その問題が、ウソっぽい場合です。試験がそうですね...。

最後に、英語deクッキングの進める段取りを紹介しましょう。

3段階に分かれます。

①レシピーの検討と段取りの確認。

② キッチンにおいて命令と実行。

③焼いている間に総復習。

マドレーヌ 円形①では、口頭で、全てのレシピーを段取りを言えるようにします。この過程では、早い速度で、質問と答えを繰り返します。何度も繰り返してだんだんスムーズに言えることを実感します。

②では、誰かが命令者、後の者どもは、兵隊です。そのとき、命令者は、分量を突然変えることがあります。そこで、参加者は即座に計算、英語で確認します。これは子供のクラスで実際試みたことがありますが、じっさいに、足し算と引き算を間違えたり、掛け算と割り算を間違えたりすることがありました。あまりの粉の多さに私が気がついて、そのときは大過なく済んだのですが。

③では、もう一度、レシピーと段取りを復習。ここでは、すでに習った単語と文の形を繰り返すのですから、スムーズです。しかし、30分前に習ったことでもすぐ口からでないということも経験します。語学学習ではいかに繰り返すかが大事ですが、ふつうならたいくつになる繰り返し学習を意識しないでできるというメリットがあります。

もいろん④つめの過程もありますが、それは言うまでもないでしょう。達成感を体で味わうのですから、きっと覚えることもふつうの教室よりずっと多いことでしょう。

 

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前回の試み:マドレーヌのレシピー:

マドレーヌ レシピーIngredients.
Original recipe makes 1 dozen.
Change Servings.

2 eggs.
Three fourth of a teaspoon vanilla extract.
Half of a teaspoon salt.
One third of one cup white sugar.
Half of one cup all-purpose flour.
One tablespoon of lemon zest.
One fourth of a cup butter.
One third of one cup granulated sugar for decoration.

dozenダース servingsテーブルに出す量  extract抽出物   all-purpose flour全目的小麦粉
zest(果物の)皮   granulated sugarグラニュー糖 ingredient材料


Directions 9 processes
1. Preheat oven to 375 degrees F (190 degrees C). Butter and flour 12 (3 inch) madeleine molds; set aside.

2. Melt butter and let cool to room temperature.

3. In a small mixing bowl, beat eggs, vanilla and salt at high speed until light.
150602マドレーヌ学習 2 in 7.

Directions. 9 processes.
Today, we are going to send the first 3 processes.

4. Preheat the oven to 375 degrees Fahrenheit, or 190 degrees Celsius. Butter and flour 12 madeleine molds; set aside.

5. Melt butter and let it cool to room temperature.

6. In a small mixing bowl, beat eggs, vanilla and salt at high speed until light.

単語です。Directionは、指図。processは、過程。Preheat、あらかじめ熱する。 Mold、型。melt、溶かす。 1では、butterとflourが、バターを塗り、小麦粉をまぶすという動詞として使われています。 Beatは、あわ立てる。
Set asideは、The molds are set asideの短縮形です。「型は横に置いておかれる。」
Until lightは、「軽くなるまで」です。
Fahrenheit、つまり華氏をCelsius、つまり摂氏に変える式は以下のとおり。
まず、華氏から32を引いてください。それに9分の5をかけます。
度C=(5÷9)×(華氏-32)

7. Beating constantly, gradually add sugar; and continue beating at high speed until mixture is thick and pale and ribbons form in bowl when beaters are lifted, 5 to 10 minutes.

● 冒頭、Beating constantly, gradually add---:beatingとaddの形に注意。Beatingは、while you are beatingの省略。「絶えずかき混ぜながら」。addは命令形です。
pale:色が薄くなること He is pale.は「顔が青ざめる」という意味。
Constantly絶えず  gradually徐々に   continueを続ける  thick濃い、厚い、ribbons form:へらから垂れるくらいの形  lift取り上げる、上げる  beater泡だて器    
8. Sift flour into egg mixture 1/3 at a time, gently folding after each addition.
sift flour into---:小麦粉をふるって~に入れる  at a timeいちどきに  gentlyやさしく fold折る、織り込むように混ぜる  after each addition加えるごとに

9. Add lemon zest and pour melted butter around edge of batter. Quickly but gently fold butter into batter. Spoon batter into molds; it will mound slightly above tops.


lemon zestレモンの皮  pour注ぐ  melted溶けた  around edge of batter:生地の端の周りに  fold折る、(料理用語)混ぜ合わせる  spoon A into B:AをスプーンでBに入れる  mold型   mound盛り上がる  slightlyかすかに
★ butterとbatter(生地)の発音に気をつけよう。

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