毎年この季節になると、道路工事とかがやたらと多くなる。いや公共工事だけじゃない。よく問題になる公務員のカラ出張がやけに増えるのもやっぱりこの時期。年度末をまえにお役所が予算をぜんぶ消化してしまおうと躍起になるためで、この「予算の使い切り」は、道路行政をになう国土交通省だけじゃなく、どの省庁でもだいたいやっている。
でもお役所はなぜ予算を使い切ろうとするのか。家庭でも会社でも、できるかぎり節約してムダを省き、それでもお金が余ったら貯蓄にまわすというのが一般的な考え方で、しかも日本は約800兆円の借金を抱える借金大国。予算が余ったからといって無理やり使い切る余裕なんてとてもないはずなのだ。なんで借金返済にまわしたり、翌年度の予算に繰り越したりしないのか。
その理由のひとつに予算の単年度主義というのがある。じつは、国の予算は会計年度ごとに作成し、国会で審議・議決することが憲法や財政法で定められていて、数年単位の予算は原則認められていない。予算が国民みんなから集めた税金である以上、その使途については厳重に監督する必要がある。そこで年度ごとに予算をつくり、国会でチェックすることになったのである。
もっとも理由はそれだけじゃない。各省庁は毎年5月ごろから翌年度予算の見積もりを始め、財務省にみてもらうのだが、予算を余らせると「こんなに余ってるのならいらないじゃん」と減らされてしまうのだ。お役所というのは、予算を拡大した役人が優秀という風潮が根強いところ。予算を減らされた役人はいわばダメな役人で、だから予算を使い切ろうと躍起になるわけだ。
財政の健全化を考えれば、単年度主義という使い切り型がいいか悪いかは微妙なところで、実際、複数年度予算の導入も国会では議論されてきた。しかしどちらにしても、予算で大切なのはぶんどって使い切ることではなく、その効率性と国民みんなの満足度。お役人も政治家も、そのへんをもっとよく考えてほしいのである。
(R25編集部)
2008年2月22日(金)14:00
※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです。
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