京都大と理化学研究所(理研)は26日、マウスの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を、研究者向けに分配する事業を始めたと発表した。国内外を問わず、希望する公的研究機関の研究者に実費負担のみで郵送する。ヒトのiPS細胞も分配の準備を進めている。再生医療や新薬の開発、病気の原因解明などさまざまな分野での応用に向け、研究が世界中で加速しそうだ。
いろいろな種類の細胞に分化できるiPS細胞は、京都大の山中伸弥教授が、マウスとヒトで開発した。すでにマウスの細胞は国内7大学の12研究室に、ヒトの細胞は国内3大学の5研究室に配って共同研究している。山中教授との共同でなくても研究を可能にし、研究全体を発展、加速させるため、さらに広く配ることにした。
論文発表済みのマウスiPS細胞は、理研バイオリソースセンター(茨城県つくば市)を通じて配布。学術目的以外に使わないことなどを京大に文書で誓約し、認められれば細胞約100万個を受け取れる。実費負担は2万4000円という。【根本毅】
毎日新聞 2008年3月26日 20時36分