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自殺3万人 社会で「命」を支えねば

2008年06月22日 | スクラップ
(6月22日)



 昨年の全国の自殺者が約三万三千人で、二〇〇三年に次ぎ過去二番目に多かったことが、警察庁のまとめでわかった。十年続けて三万人台の異常事態だ。

 日本の自殺者は長年、二万人から二万五千人台に収まっていた。一九九八年に一気に八千人増え、三万人を超えたが、背景には不況やリストラ、貸し渋りなどがあった。だが、景気回復後も三万人台のままだ。

 政府が昨年、自殺総合対策大綱を閣議決定し、自殺率の二割削減を目標に掲げたが、効果がみえない。先進国でも日本の自殺率は高い。英国や米国の二倍以上である。対策を具体化する時だ。

 警察庁は今回から自殺の原因・動機をきめ細かく分類した。健康問題が約一万五千人で最も多く、このうち、うつ病など精神疾患が六割を占めた。うつ病については、患者が最初に受診することが多い内科医らが、適切に診断し精神科を紹介できるよう医師の研修を充実すべきだ。

 健康に次いで、経済生活問題が多く、多重債務が二千人に迫る。身近な相談窓口が必要だ。長崎県は来月から多重債務者の精神的ケアのため、相談機関に保健師を配置。専門家の支援が必要な人には精神科医への無料相談券を手渡す。多重債務者にはうつ病の可能性がある人が少なくないという調査研究もある。経済と精神的問題を一つの窓口で相談できるようにしたい。

 年代別では三十代と六十歳以上が過去最多となった。地域別では東京、大阪、神奈川など都市部で増えた。今回の統計では、自殺の原因・動機と、職業や年代との関連は詳しく分析されている。地域ごとの分析と課題を明確にする必要もあろう。

 自殺者数が減り、自殺率全国一を今回返上した秋田県は、住民アンケートでうつ状態を把握し、医師や保健師が面接して対策を練った。

 独自のアイデアを予算化した県もある。うつ病の早期発見を呼びかけるテレビCM(静岡県)や、医師ら専門職が深夜二十四時まで対応する自殺防止電話相談(福岡県)など、知恵を絞っている。

 道内では昨年、千六百四十人が自殺した。都道府県別では四番目に多かった。道や大学など関係する三十八機関が自殺予防対策連絡会議をつくり対策を考えている。全道一本の組織だが自殺率は地域でばらつきがある。道は地域ごとに対策会議を設置し、関係者のネットワークをつくりたいという。

 早急に実現し、地域の実情を踏まえた対策に取り組んでほしい。




北海道新聞
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