劇場彷徨人・高橋彩子の備忘録

演劇、ダンスなどパフォーミングアーツを中心にフリーランスでライター、編集者をしている高橋彩子の備忘録的ブログです。

浅草を歩く

2011-01-31 20:35:32 | 観劇
今月は、浅草寺を詣でた後、少し足を伸ばして浅草の町をしばし逍遙した。

といっても、もともとの目当ては毎年恒例の、新春浅草歌舞伎だ。



第一部冒頭の年始挨拶は、中村亀鶴だった。最初&最後の凛々しい挨拶と、合間のくだけたトークの落差を味わう。
『三人吉三』は、三人の吉三のいずれも好演ながら、気持ちの通い合いがやや薄いような印象を受けた。
愛之助の和尚吉三は悪くないがもっと深みが、
亀治郎のお坊吉三と七之助のお嬢吉三の間にさらに色気が漂うと、なお良かったと思う。
続く『独楽』は趣向たっぷりの内容で、亀治郎生来の端正さと大胆さがあいまって絶妙だった。

第二部の挨拶は、坂東新悟。少し声が小さかったが、初々しい挨拶に聞いているこちらの顔もほころぶ。
『壺坂霊験記』は七之助のお里&愛之助の沢市が情愛たっぷりに夫婦を演じていた。
沢市が、自分の姿を知らないが実はいい男である点も、
お里の尽くしぶりを考えるだにリアルだった、などと言ったら浅薄かしら、すみません。
『黒手組曲輪達引』は、亀治郎の三役早替わりも楽しんだが、
何と言っても面白いのは『助六』のパロディーになっている「三浦屋格子先の場」。
通常、助六が意休に行う行為を助六がされ、その横暴さが改めて浮かび上がる趣向。
亀治郎は水入りも勤めて大熱演だった。



さて、観光地然として賑わっている浅草寺や仲見世から、
ちょっと足を伸ばすと、かつての栄華・衰退を思わせるさまざまな景色に出合う。

 河竹黙阿弥の住居跡を示す碑

 九代目市川団十郎の『暫』像

 現代舞踊のパイオニア、石井漠の記念碑

シャッターの下りた店なども多いのだが、浅草は実に味わいのある土地。

いずれ、じっくり探索したいものだ。

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