ちょっとピンぼけ/倉敷界隈

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今日の見もの(ケルン・コンサート)

2011年11月17日 22時15分01秒 | 見もの

ザ・ケルン・コンサート/キース・ジャレット
録音 1975年1月24日、ケルン(ライブ)
時間 66:07 県立図書館で借りた

久々に興奮している。これは素晴らしい。万人に勧める、、、と言ってはいけないかも知れないが(こういう即興音楽が嫌いな人もいるだろうから)、私としては全ての人に勧めたい気分だ。素晴らしいCDだと思っている。

実はキース・ジャレットとの出会いはあまりよいものではなかった。

大学、、多分2年生の時だと思うが、友人がキースのレコードを持っていて、寝る前に酒飲みながら聴きたいからテープに録音してくれと先輩に言われ、仕方なく録音した。今となってはタイトルなど覚えてない。そのレコードが即興で弾いたピアノみたいなやつで、曲と言うよりただの音だった。

「何でこんなものがいいのだろう」と思ったのだが、その先輩は『ジャズってこういうものだよ』と言い、こういうのがいいのだと教えてくれた。私は、ホントにこの人はジャズがわかっているのかなと疑問にも感じたが、まぁ好き好きだからいいや、自分には合わないけど…と思ったものだ。まだLPの時代だったが、それ以来キースのピアノは意識して聴こうとは思わなかった。

先日書いたが、チック・コリアのピアノソロが気に入って、他の人もと考えて、やはりキースしか浮かばなかったので、彼の人気作を検索した。どうやらケルン・コンサートがいいらしいとわかったのでそれを借りたわけだ。一曲目が始まって驚いた。

素晴らしい。本当に素晴らしい。借りるんじゃ無くて買いたい。とても気に入っている。これを見ている皆さんで興味のある方はとりあえず借りてみたらいいだろう。たぶんTSUTAYAやゲオにもあるんじゃないだろうか。

アマゾンのレビューで、こんなのを見つけた。

その日はスイス・チューリッヒからの長いドライブの後で、夕方にケルンに着いたキースはとても疲弊していた。何日間も睡眠不足が続き、背の痛みもピークに達して、矯正器具を外せないでいた。

ケルンのオペラ会場に用意されるはずのピアノ「Boesendorfer 290 Imperial」(鍵盤が97ある大きなピアノ)が何かの手違いで届かず、リハーサル用に常置してある、チューニングに膨大な時間がかかりそうな古いピアノしか残っていなかった。それは笑いたくなるほどの小さな幅の薄い簡素なピアノだった。おまけに低音部が上手く出ず、足のペダルはまともに機能していない故障品だった。

キースは当日のコンサートをキャンセルできないか、18歳のドイツで最年少のコンサート主催者 Vera Brandes に直前まで検討してもらったが、チケットは全て売り切れており、演奏を強行することにした。

このコンサートの開始時間は23時30分。「オペラ会場でJAZZ」という当時初めての試みにチャレンジするためには、その日行われるオペラが終わるまで会場の使用が許されなかった。画期的なイベントで観衆を呼び込むため入場料はたったの4ドイツ・マルクに抑えられたプロジェクトだった。ほぼ夜中なのに1400の席は満席になった…。

だそうだ。ますますこの演奏が気に入った。

このCDを聞いて、オスティナートを何度も使うので音楽的に違和感を感じる人が多いと思いますが、それはピアノの調子が悪すぎて低音部は正確に音が出ないため、キースがわざわざ左手オスティナートで低音の補強を常に行い、右手で弾ける鍵盤だけで最良のメロディーを考え出し演奏したのです。

キースの声が気になるので嫌いと言う人も多いようですが、全ては彼がその場でベストと考えた演出です。一番高価で完全にメインテナンスされた楽器を演奏するだけが音楽表現ではありません。少なくともJAZZの精神はそうではありません。

普通のプロのピアニストであれば、会場での設定に飽きれてコンサートはキャンセルされたでしょう。非常に劣悪の環境の中で、それでも観衆に感動させる「誰にも真似のできない演奏」をしたキースのプロ意識に拍手したいです。

このレビュー氏がどれだけこの音楽を、キースのピアノを、愛しているかわかる文だ。私にもそれだけ惹きつけられる気持ちがわかるというもの。そんなCDです。

これがジャケット。買いたい人はぜひ今すぐにどうぞ。

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