詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

やかん (推敲形)

2009年01月19日 | Weblog
とんでもない大酒飲みで
大の子供好きだった父は
やかんみたいな人だったのかもしれない

酔っ払って雪道で寝ていた父を
雪の中から掘り起こしたことも
まるで昨日のことのよう

「落日燃ゆ」の城山三郎氏と同じような経歴の父
戦争末期に十代で海軍に志願した父
「志願する馬鹿野郎もいるんだな!」と
古参兵からさんざんビンタをくらって
左耳が聞こえなくなった父
特攻隊の試験に不合格だったという父
(椅子をぐるぐる回した後ちゃんと歩けるかだったとか)

戦争後は何度も再婚して
最後の再婚の相手が母だった父
思い出すといっつも
アルコールが入った姿しか
思い出せない父

父もぼくも
どうしてだかやかんが大好きで
ずっと家のなかは
大小様々なやかんだらけ

やかんみたいに
どっちが口なんだか
お尻なんだかわからんような人間が
大好きだった父や
ぼくなのかもしれない

お湯が沸くたびに
ピューとけたたましいやかん
登山用の平べったいひしゃげたやかん
いざという時のために
2リットルの水と共にじっと耐えてるやかん
母が愛用してた琺瑯製のカラフルなやかん

やかんのように生きていこう
誰に理解もされずとも
地球誕生以来
いのちを育んできてくれたやかんの類い

遠い風の音のあとには
水面を過ぎてく風の足跡ばかり

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