詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

そろそろ激怒すべきではないのか。いつまでこんなでたらめな年金運用を許しておくのか!

2010年08月31日 | 政治
詳しくは今日の東京新聞や中日新聞を読んで欲しいがー
なんと4~6月期だけでも、厚生年金・国民年金の積立金(約127兆円)を市場で運用してきた・・経済には全くのド素人の官僚天下り数人の法人「年金積立金管理運用独立行政法人」の運用結果が三兆六千億円の赤字と発表を。
これは、本格的な市場運用を始めた2001年度以降、六番目の赤字額だという。
ということは、過去にどれだけの赤字額なのかと空恐ろしくなる。(昨年は約5兆円の赤字と発表あったのを記憶している)
その最大の原因は、官僚・公務員・政治家の年金は別立てになっていて、他人事の年金という意識のせいだろう。

さらに最悪なことには、7~9期はさらに、急速な円高や株安のために、同法人は「より厳しい運用環境にある」と恥知らずな事を堂々と発表している。

以前の日記でも書いたように、なんでもありのアメリカでさえも、年金は神聖な国民共有財産という考えが徹底していて、決して株運用という博打での運用は禁止されている。100兆円につき1兆数百億円の利子がつく堅実で運用損などありえない日本国債で運用すべきではないのか。

日本の政治家が早急になすべき事はー
①現在までにいったいトータルでどれほどの運用損が累積していて、百数十兆円といわれている年金積立金がどれほど残っているのかを明らかにさせる事(半分以上が消滅している恐れがある)
②ド素人の天下官僚が株で儲けることができるほど世の中はあまくないので、年金の株運用は即座に禁止すべき(ハゲタカ国際金融機関に運用を任せた分は相当の損になっているはず)
③神聖な国民の未来のための年金積立金を消滅させた官僚・天下り官僚たちには、その損害を官僚・天下り官僚の給料や官庁・法人予算から弁償させるべき

さらにもうひとつ頭にくる「保険料9000億円消えた」という記事も載っていた。
これは、転売を繰り返して数十倍の値段になった郵政土地疑獄にも匹敵するすさまじい国民共有財産の強奪にも匹敵する大問題である。以下に見出しと一部分だけアップをー

《公的年金と健康保険の保険料を使い、健康増進や福祉向上の名の下に全国各地に造られた年金福祉施設(その一種で2005年までに破綻してただ同然で叩き売られた「グリンピア」の損失額は約2000億円)。
政府は今月、5年をかけて進めてきた全国301施設の売却を終えた。建設と維持に約1兆一千三百億円を充てながら、売却総額は2221億円と、回収分は二割にとどまった。「消えた保険料」が9000億円を超えた無駄遣い総決算と、怒りの声を》

《「基金・財団を作れば厚生省の連中がOBになった時の勤め口に困らない」「年金を使うのは先のことだから、今のうちに、どんどん使ってしまっても構わない」ー。
まるでドラマの悪代官を彷彿させる、このセリフ。実は、旧厚生省の初代年金課長、花沢武夫の口から出た証言だ。1988年に旧厚生省の外郭団体が発刊した「厚生年金保険制度回顧録」に載っている。

初めての物語(4)ー出世コースから一番の窓際族へと

2010年08月30日 | 日記
日本のたいがいの大企業はトヨタグ・日産グループを見習って、組合が一番の出世コースになっている。ぼくが入社した時も多くの上司・同僚から「ここで出世したいなら組合幹部を目指した方がいい」とか、「この会社で出世するのは八方美人型で、敵を作ったら絶対に出世は無理」と忠告された。

途中入社にしては、研究開発部門に配属されたり(ぼくが首切りされた時、長期病欠の一人を除いて他の約十人は課長前後へと昇進だった)、組合の下っ端に指名されたりとまずまず順調な会社生活だった。

ただ入社して数年たってから、母がアルツハイマー病や脳梗塞で倒れてしまった。それで組合の役職を辞退して、さらに最悪なことには、組合が本人に断り無くかけていた満期生命保険金数百万円の受け取りを拒否してしまったのだった。まったく要領が悪すぎたなと思う。あれを受け取っていたら、多くの組合役員上がりのように最低でも課長や市会議員くらいにはなっていたに違いない。
どうも決定的に組合や会社の上層部を怒らせてしまったらしいと後悔した時はすでに手遅れだった。

まもなくして、転々と所属部署が変えられるようになった。ひどい時には、本人にも連絡なしで、それまでの上司に聞いてみても「どこかへ転属になったと言ってたぞ」というので、その転属先を聞きに総務へ何度も足を運ばなければならなかったし、所属する部署がないという事も珍しくなかった。

「俺のところへ来ないか?」という中間管理職も幾人かいたのだったが、彼らがその行為で会社・組合の上層部に目をつけられる事は望むところではないかった。他の社員との会話もそうだった。
そんぼうちに、会社で話しをするのは、同じような窓際族か掃除のおばさんたちくらいになってしまった。

窓際族の中で忘れられないは、元上司だった元係長(完全な精神異常へと)と、元課長(最も汚い・危険・きつい3K塗装職場で汗まみれだった)と元工場長(ある中になってポックリ死で団体割引生命保険数千万円が会社幹部の懐に)だった。その誰もが役職を剥奪されて平社員へと落とされて、それで精神科で悩みを打ち明けたら・・総務部長や重役に、「なんで会社の秘密をばらすんだ」と怒鳴りつけられたという。
ぼくの場合も、「腰が痛いというとより腰痛がひどくなるような仕事ばかりさせられる」・・と腰痛と会社の対応を整形外科で相談したら、会社へと連絡されて怒鳴りつけられたので、それ以来病院は一切信用していない。

他のグループ会社の3k職場へと出向させられた社員は星の数ほどだったし、他のグループ企業で引き取り手の無い女子社員・高齢社員などは、会社を辞めるまで、芝生に一列に並ばされてゴミ拾いだった。(法務官僚が重役に天下ってからなので、そいつの猿知恵ではと思う)
到底信じられないような人権を無視した首切りが横行していたが、たぶん現在ではもっとすさまじくて、なんでもありの手この手を考えつき、実行しているのではないかと思う。

ぼくが驚いたは、暴力団や新興宗教を使っての首切りだった。
ぼくの実体験のその恐るべき内容については、まだ生きのびていたら次回また。

ゴキブリ以下

2010年08月30日 | 
申し訳ないないが
ゴキブリを見かけると
ついつい頭に血が昇って
殺すことしか考えられなくなる
まるでヒットラーのナチスドイツ以下だ

いつも
こそこそだけど
生きるのには懸命で
人間よりもはるかに
この地上の大先輩だったゴキブリ

ついさっきも
ぼくの殺意の気配を感じて
食器棚の陰へと見事に
トンズラしてしまったゴキブリ

決して 誰かを
陥れようとなどとは思わないゴキブリの控えめな態度

それに比べると
なんという
人間の傲慢さであることか

僕自身もこいつらだけは
殺さずにはいられないと思ったことが何度もある
人間のなんという凶暴さであることか

崩壊間近のアメリカの次の覇権国家は、日本かそれとも中国か?

2010年08月29日 | 歴史
17世紀のオランダ以来、18・19世紀のイギリス、20世紀のアメリカと覇権国家が地球をぐるっと移動してきた。

オランダについて言えば、その少し前までは、「海の乞食」と他のヨーロッパ諸国から罵倒され、産業も漁業くらいしかなかったのが、缶詰製造技術を開発し、それの輸出で稼いだお金で舟を建造(水車を動力にしての最先端の木材加工技術での)して、インドネシアを植民地とし、東インド会社という世界で最初といわれる会社組織を作って以来、世界の覇権国となったと言われている。江戸時代を通じての日本との独占的交易も利益が大だったに違いない。

イギリスの覇権国家化は、石炭を利用しての蒸気機関による産業革命と、海賊として年季を積んだ情報収集力と組織化された海上交易・海軍力ありで、アメリカのそれはなんといってもイギリスから譲渡された情報収集力・軍事力と金融システム・生産力と石油資源支配力だった。
ただそれらのうちの、金融システム・生産力と石油資源支配力は崩壊寸前だ。
日本がこの抱きつきお化けのようなアメリカと心中しないためには、石油に代わる永遠に持続可能なエネルギー開発(地熱発電では世界トップの優位性あり)と、打撃を最小にするためのアジアとの関係強化と、地域通貨(「減価し最後には貨幣価値ゼロになる通貨」)等のもうひとつのより庶民の味方の金融システムの創造が急務だろう。

ところで話題を変えよう。いったい覇権国の条件とはなんだろうか。
それはー
①最先端の生産技術→日本は◎
②経済的な豊かさ→日本は○(海外債権は世界一、ただ米軍思いやり予算等の支援や米国債等の米国に貢ぐ分が膨大)
③エネルギー効率の優位性→◎(世界一の省エネ技術、半永久的な地熱発電利用)
④軍事的な優位性→○(地続きの国境がないので陸軍不用で空海に重点的に)(陸上自衛隊は上記の地熱発電や、下記の食料自給率アップの休耕田・耕作放棄地や森・川・海再生に使うべきだ)
⑤食料の自給→×(本来の日本は海産物と米等で世界一食糧自給が可能な国だった)(政治と官僚組織が劣悪すぎた結果だ!)
⑥私利私欲・汚職等の少ない政治や社会組織や共生意識→△(戦後米国化のために世界一清廉だった政治家・官僚の腐敗が激増中だが・・まだまだ元に戻すことは可能だ)(私利私欲売国奴官僚・政治家たちの追放!)

中国は、日本からの支援や協力なしには、覇権国家になるのは到底無理ではと思う。
特に絶望的なのは、①と②と③と⑥だろう。⑤も近い将来には深刻な問題化だろう。

民主党のマニュフェストの具体化を急ぐべきだ

2010年08月29日 | 政治
やっと小沢氏が重い腰をあげたのでほっとしている。是非薩摩的な指導者であって欲しいなと思う。(有能な現場責任者にすべてを任せる)。そのためには、官僚・米国・財界・マスコミと対等にやり合える閣僚に変えるべきだ。それは、亀井氏、鈴木宗男氏、田中真紀子氏、田中康夫氏、保坂氏、植草氏、郷原氏等・・それと官房長官を二人制にしてはどうか。従来の仕事と、もう一人は国家戦略局担当に。官房長官と法務大臣に官僚人事権があるらしいので。

どうにも理解し難いのが、政治家と官僚(国家・地方・企業)とマスコミという人種である。
衆議選での民主党大勝の理由は、社民・国民新党と締結したマニュフェストが支持されたせいであり、つい先日の民主党大敗の原因は、唐突で独裁的な管総理の消費税増税やその七奉行たちのマニュフェスト軽視・変更だった。

今個々の民主党議員に必要なのは、衆院選で大多数の国民に支持されたマニュフェストを守るのか、それともそんなマニュフェストなど破って平気という新自由主義派支持なのか・・という二者択一に答えることだろう。

参議選大敗の責任をとるのがまともな人間としての常識であり、総理とすべての閣僚の一新や・・以前のマニュフェストの一歩一歩の実現が、参院選挙で示された民意ではと思う。

具体的に、以前の民主党マニュフェストをどう実現するのかという筋道を示すのが筋であり、それが不可能だというのなら役職を辞す等のなんらかの責任をとるべきである。

参院選で国民に支持されたマニュフェストの具体案(どのような従来の弊害を除去するのか)とはー
(1)国民の生活第一(小泉売国奴政治以降収入が半減)→①可処分所得倍増 ②税的負担減(消費税廃止や贅沢品&物品税創設まで食料品への消費税をゼロに) ③貧富差を拡大した不正な消費税(輸出大企業への数兆円の払い戻し税等)で過去に支払った分をすべての国民に、「減価する通貨」の政府発行紙幣・地域通貨、プラスボランティア時間記帳の通帳配布して、共生的共同体や地方再生の核に(官僚・公務員・政治家の給料も上記の「減価する通貨」で払って人件費削減を!)

(2)官僚支配から政治主導&地域主権(諸悪の根源は高給官僚天下りとあらゆる官庁・法人での裏金作りや特別会計という税金ネコババの埋蔵金)→①従来のひも付き地方補助金は使い道を限定しない一括補助金として、失業対策事業については他に予算をつける ②天下り監視や高給官僚査定のために、「国家戦略局」(第二○○省・第二日銀のようにチェック・査定や幹部を呼び出しての事業仕分けや各省庁法人への指示機能を)での最低一年間の勤務を義務付ける(無能で私利私欲な高給官僚は天下り禁止) ③毎年予算一割削減案や改革案をすべての省庁・法人や官僚・公務員に提出させ、あまりにふざけた案提出官庁・法人はさらに一割削減したり降格させ、素晴らしい案をだした所・人には若干のアップや昇進を

(3)景気雇用(デフレの原因は国民大多数の収入減)→①日銀(日銀がやらないなら政府)で紙幣を増刷させ市場・銀行の国債を買い戻させる。国債は100兆円につき一兆数千億の利子のつく財産だし、需給アンバランス50兆円の市場にもいくらかは回ることだろう ②税的負担減 ③将来のベーシックインカムをにらんだばら撒き(最初は不当・不正な消費税分払い戻しから) ④特に地方自治体が発案する失業対策事業 ⑤敗者復活の道を閉ざされ・・企業の非正規社員化の餌食となり、貧困化しつつある大多数の国民の誰もが技能アップできる「技能アップ訓練施設」をすべての自治体に国の失業対策事業として作りここを地方再生の核にする

(4)対等な日米関係(売国奴官僚・政治屋・マスゴミの卑屈さが原因)→①大マスゴミの特権(記者クラブ、新聞テレビのオーナーシップ制、独占的な電波利権、検察の公務員守秘義務違反報道等)の改革をNHKから ②米国にも最初の原点に立ち戻るように要求し、普天間基地の即時返還と、それさえもやる気がないならすべての米軍への援助を一時停止保留する(思いやり予算、海兵隊移転費用、日米地位協定等) ③世界中に向けて平和憲法について説明し、列島国に必要ない陸軍は自然再生へと振り向ける。残りの軍隊は国境警備活動を任務とする海上保安庁をより充実させたものへと自衛隊を変えてゆく ④日米安保は廃棄し、中国・ロシアと同様の友好不可侵条約へと変更したり、アジアでの外交・経済をEU的なものにしてゆく

詩 死

2010年08月28日 | 
墓までも
ごてごてと飾り立てることはないだろう
そうでもしないと
誰も思い出してくれない人生というのか
丘をごっそりと抉ぐりとっては

死んでしまった男の墓は
落ち葉に埋もれ
死んでしまった女の墓は
獣道の下でいい

死んでゆきつつあるぼくらは
なにかの肥やしになってゆくのがいい

死んでゆく定めは
誰にも平等な唯一のことで
到底拒絶できないことだから

8月には

2010年08月28日 | 
決して忘れはしない
この世が終わるときにも
戦争の犠牲者の君たちを
いまも刻々と
虫けらのように殺されつつあるいのちを

原爆は
数十万の人々のいのちと
あらゆる生命を焼きつくした

それ以後もアメリカは
朝鮮でもベトナムでも
地形の変わるほどのじゅうたん爆撃と
枯葉剤をばら撒いては
数十年後の今でも奇形児だらけのベトナム

(除草剤として使おうとした林野庁が
山林に枯葉剤を放置した日本でもそうだったが・・)

それらを反省するどころか
中東戦争でも
コソボ紛争でも
イランやアフガン侵略戦争でも
劣化ウラン弾を雨あられと投下して
奇形児の子供たちの大量生産

ぼくらは生きている限り
決して忘れないだろう
戦争立国アメリカの人類への冒涜を
平和憲法立国日本にしか
人類の未来がないのだということを

今日感動した詩(1)

2010年08月28日 | 
    序詩   尹東柱

死ぬ日まで天を仰ぎ
一点の恥じ入ることもないことを
葉あいに起きる風にすら
私は思いわずらった。

星を歌う心で
すべての絶え入るものをいとおしまねば
そして私に与えられた道を
歩いていかねば。

今夜も星が 風にかすれて泣いている。 (金時鐘訳)


尹東柱は、日本の植民地とされて奪われた韓国語で詩作していたために、敗戦の数ヶ月前に獄中で殺された詩人。

訳者の金時鐘は、”アカの島”と言われて、島民の半分以上が米軍や韓国軍隊・右翼に虐殺された済州島からかろうじてに日本へと脱出した詩人。
愛する女性が射殺されるのをただただ見つめるしかなかったのだという。

これほど美しい挽歌、そして頌歌を目にしたことはかってなかった。


子供の頃からの悩み

2010年08月26日 | 日記
家族の話しでは、子供の頃からぼくは夢遊病者だったらしい。全然覚えてないので、ずっと嘘だろうと思っていたけど・・

最近はとりわけそれが増えつつある。
毎朝目が覚めると、手や足や身体のあちこちが傷だらけ、血だらけだだ。

今日は、足が傷だらけ血だらけで歩くことも、風呂に入ることもできない。



ちゃんと洗濯しようよ!

2010年08月26日 | 日記
病気や怪我で気が滅入ってくると読みたくなるのが米原万里さんの随筆。
ネットで読めるのは『日本ペンクラブ電子文藝館』の「物故会員」のページのー「ここ」


    「ちゃんと洗濯しようよ!」(『或る通訳的な日常』米原 万里より) 

「フランス男は不潔だよー。ほとんどお風呂入らないんだから」と言うのは、日本人と結婚しているロシア系フランス人のS。風呂嫌いのわたしには、耳の痛いこと、この上ない。ちょっぴり、フランス男の肩を持ってみる。 
「でも、日本と違って気候が乾燥しているから汚れにくいんじゃないかなあ」

ところが、この一言が、いたく彼女を刺激してしまった。明らかに語気を強めて憤慨している。
「気候が湿ってようと、乾いてようと、パンツは汚れるのよ。日本男は、毎日パンツ取り替えるでしょう!?」
「いや、そんなこと、知りませんよ。日本男全員のズボンの中、のぞく機会は無かったし……」
「あたしだって、無いわよ。でも、あたしの知ってるフランス男は、父や弟を含めて、毎日替えてなかったわ。だけど、わたしの夫は当然のように替えてる」
「でも、それで一般論を導き出すのは、ちと乱暴なんじゃないかな。厚生省の白書にも、そんな統計数字、無いような気がするし。新聞か雑誌で、そんな調査したところ、あったかなあ……」

 わたしが言い終わらないうちに、Sは嬉しそうに瞳を輝かせて声を弾ませた。
「そうそう、思い出した、思い出した。数年前に、『ル・モンド』紙が、『フランス人の清潔観』とか銘打ったアンケート調査をやって、その結果を誌面に掲載したことがあった。その中にね、『あなたは、毎日パンツを取り替えてますか?』という質問があったの。女は半分以上が『ウイ』って答えてたけど、『ウイ』って答えた男、何パーセントだったと思う?」
「三分の一?……四分の一?……」
「そんなもんじゃないの! 三.一四パーセント。どう、信じられないでしょ。ル・モンドの読者層にしてそうなんだから、あとは推して知るべしでしょ」

 Sが、あまりにも得意気なものだから、わたしとしてもムクムクとナショナリズムが頭をもたげてきて、つい日本男児の不潔度について自慢したくなってしまった。
「でもね、日本男が毎日はき替えるパンツが、必ずしも清潔とは限らないのよ。汚れたパンツをこまめに洗っているのは、圧倒的多数の場合、その母親とか奥さんなんだから」
「……」
「というわけで、独身男なんかは、パンツを次々とはき替えていくのはいいけれど、そのうち、清潔なパンツが無くなる。母親か彼女がまとめ洗いしてくれるまで、間に合わない。どうすると思う?」
「さあ ……」
「前にはき汚したパンツの山の中から比較的汚れの少ないのを選び出して、はくのよ、裏返したりしてね」
「おお、グットアイディア! なかなか頭いいね」

Sは感激して、ついでに、こんな卓抜な連想をしてくれた。
「でも、そのパターン、日本人がよく使う手だよ。たとえば、今度の自民党の総裁選出だってそうじゃないか」
「えっ!?」
と腰を抜かしつつも、ああ、そういえば、どの総裁候補も汚れていたな、選択肢は狭く限られていたし、と今さらながら気付いたのだった。。新総裁は、前総裁の派閥の会長だったわけで、まさに汚れたパンツの裏を返したようであるな、と。ちゃんと洗濯するのは、いつのことになるのだろうか、と。

   ─「ちゃんと洗濯しようよ!」『公研』誌2001年6月号に初出、『真夜中の太陽』(中央公論新社)に所収─

道産子について(1) ー最近読んだ道産子の本ー

2010年08月24日 | 日記
北海道は北米大陸に似てるなと思う。良い意味でも悪い意味でも・・
内地で食いっぱぐれた者や、敗残者や犯罪者たちが開拓した大地。
困窮時に助けられた先住民を破滅へと追いやり・・
同じような劣等感を持ちながら、普段はそれを意識しない能天気なアメリカ人と道産子。

最近読んで面白かった道産子の本はー
◆小泉英政(成田空港建設反対運動で三里塚へ、現在も成田空港第二期工事用地内で有機農業を)ー「ここ」

◆17 平田 剛士(故郷近くの岩内原発について。その時の知事は社会党横路なんとか)ー「ここ」

反骨者列伝(4)アーサー・ビナードと菅原克巳

2010年08月23日 | 
今まで取り上げてきた反骨者列伝は、ある程度その著作を読んだ日本人だったけども、いかんせんすでに亡くなられた人々ばかりだった。それで今回は、まだ一冊もその著書を読んでいないアメリカ人の詩人・物書きだけれども、同時代人ということで取り上げてみたい。
ネットで読むことができた唯一の彼の詩はー

    ことば使い

「吠えろ」と怒鳴り
「芸になってない」
と鞭打つ。

一行の
輪抜け跳びを
何回もさせる。

いくらおとなしく
馴れているようでもやつらは
猛獣。       ――詩集『釣り上げては』から――



彼がもっと好きという詩人菅原克巳との出会いは、小熊秀雄を介してだった。
それが彼を、日本人の誰よりも、反骨に詩人へと変貌させたのではと思う。


    マクシム  菅原克己

誰かの詩にあったようだが誰だか思いだせない。
労働者かしら、
それとも芝居のせりふだったろうか。
だが、自分で自分の肩をたたくような
このことばが好きだ、

〈マクシム、どうだ、
 青空を見ようじゃねえか〉

むかし、ぼくは持っていた、
汚(よご)れたレインコートと、夢を。
ぼくの好きな娘は死んだ。
ぼくは馘(くび)になった。
馘になって公園のベンチで弁当を食べた。
ぼくは留置場に入った。
入ったら金網の前で
いやというほど殴(なぐ)られた

ある日、ぼくは河(かわ)っぷちで
自分で自分を元気づけた、

〈マクシム、どうだ、
 青空を見ようじゃねえか〉

のろまな時のひと打ちに、
いまでは笑ってなんでも話せる。
だが、馘も、ブタ箱も、死んだ娘も
みんなほんとうだった。
若い時分のことはみんなほんとうだった。
汚れたレインコートでくるんだ
夢も、未来も……。

言ってごらん、もしも、若い君が苦労したら、
何か落目で
自分がかわいそうになったら、
その時にはちょっと胸をはって、
むかしのぼくのように言ってごらん、

〈マクシム、どうだ、
 青空を見ようじゃねえか〉


ぼくの大好きな菅原克巳の詩「ソスン君のロープ」はー

 なぜ、ソスン君に/ロープをかけなかったのか。/女は青、男は白、/それぞれの囚人服の上に/青いロープがかけられてきたのに、/なぜ、ソスン君にだけかけなかったのか。

 ソスン君のお母さんは顔を伏せ、友だちは息をつめる。/ソスン君は眼鏡ごしに/こっちをさがして/ただ、チラと微笑んだきり。ソスン君の手は/瘤のようになってしまった。/ソスン君のまつ毛のない瞳は/夜も閉ざすことはできぬ。/ソスン君の肉の溶岩は/のどもとまで這い出し、/眼鏡は白ひもで/耳のない頭にくくりつけられてある。

 なぜ、ソスン君に/ロープをかけなかったのか。/なぜ、みんなと同じように/青いロープをかけなかったのか。/ソスン君の傷あとが/今はいたましい、とでもいうのか。/ソウルの第一審、/死刑の判決は二分で終る。/そして/ロープをかけなかった/ソスン君の背後に、/もう一つの/ロープの輪を垂らす

アーサー・ビナードが日本人以上に面白くて、首尾一貫してると思えるのはー
彼の憲法九条や、エコ・ダイエット・ファーストフード等についての「時代遅れ」(ほんとは時代最先端なんだけど・・)の考えや、ビキニ環礁での水爆実験で被爆した第五福竜丸についての本や発言をネットで読んで以来、目が離せない・・同時代でもっとも反骨の詩人・物書きではと感じる。
◆詳しくはー「ここ」
◆リンク集でリンクしてるぼくの日本語・日本文学の師匠の記事はー「ここ」
◆「ブラザー軒」菅原克己を歌う高田渡の映像はー「ここ」

明治末の「大逆事件」から百年目とかー

2010年08月22日 | 歴史
以前書いてアップした記事が見つからないので、思い出しながらー

「大逆事件」(天皇制に反対する事件)は、戦前では3・4つあったのではと記憶してる。
「朴烈事件」や、天皇に爆弾を投げつけた事件とかがその他にもあったのではと思う。

これらの事件に共通するのはー
①秘密裁判(傍聴人禁止)と②死刑か無期かという重罪判決。
それと、「大逆事件」というと連想する唯一の文学者石川啄木の怒りと絶望の歌や文章がどうも見つからないので、見つかり次第付け加えたい。

明治末の冤罪「大逆事件」の舞台になった紀伊半島南端は、反骨の文学者佐藤春夫や中上健次や、粘菌を研究してた昭和天皇が教えを乞いにきた時も素っ裸だったという・・日本一のスケールの大きい民俗学者南方熊楠のふるさと。彼らに共通するのは、いつも直球勝負で、一切の虚飾がない点ではと思う。まるで秋刀魚寿司みたいに・・明治末の国策冤罪事件の「大逆事件」の被害は解放運動に熱心だった僧侶や、社会主義・無政府主義に理解ある知識人が多かった。その時19歳の慶大生だった佐藤春夫の詩はー


   大石誠之助は殺されたり    佐藤春夫  

げに厳粛なる多数者の規約を
裏切る者は殺されるべきかな

死を賭して遊戯を思い
民族の歴史を知らず
日本人ならざる者
愚なる者は殺されたり

「偽より出でし真実なり」と
絞首台上の一語その愚を極む

われの郷里は紀州新宮
かれの郷里もわれの町

聞く、かれの郷里にして、われが郷里なる
紀州新宮の町は驚愕せりと
うべさかしかる商人の町は歎(なげ)かん

町民は慎めよ
教師等は国の歴史を更にまた説けよ


    秋刀魚の歌    佐藤春夫

あはれ ・
秋風よ ・
情(こころ)あらば伝へてよ ・
――男ありて ・
今日の夕餉に ひとり ・
さんまを食(くら)ひて ・
思ひにふける と。 ・

さんま、さんま ・
そが上に青き蜜柑の酸(す)をしたたらせて ・
さんまを食ふはその男がふる里のならひなり。 ・
そのならひをあやしみなつかしみて女は ・
いくたびか青き蜜柑をもぎて夕餉にむかひけむ。 ・
あはれ、人に捨てられんとする人妻と ・
妻にそむかれたる男と食卓にむかへば、 ・
愛うすき父を持ちし女の児は ・
小さき箸をあやつりなやみつつ ・
父ならぬ男にさんまの腸(はら)をくれむと言ふにあらずや。 ・

あはれ ・
秋風よ ・
汝(なれ)こそは見つらめ ・
世のつねならぬかの団欒(まどゐ)を。 ・
いかに ・
秋風よ ・
いとせめて ・
証しせよ かの一ときの団欒(まどゐ)ゆめに非ずと。 ・

あはれ ・
秋風よ ・
情あらば伝へてよ、 ・
夫を失はざりし妻と ・
父を失はざりし幼児とに伝へてよ ・
――男ありて ・
今日の夕餉に ひとり ・
さんまを食ひて ・
涙をながす と。 ・

さんま、さんま、 ・
さんま苦いか塩(しよ)つぱいか。 ・
そが上に熱き涙をしたたらせて ・
さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。 ・
あはれ ・
げにそは問はまほしくをかし。


◆以下の手紙を書いた翌日、菅野すがは紫の三紋付きの羽織を着、縊られた時に髪が解けないように紐を結んでただ一人絞首台に上った(他の男たちは前日同じ絞首台で約30分毎に絞首刑)。「われ主義のために死す、万歳」と叫んだ。午前八時二十八分絶命、二十九歳だった。

   「明治44年1月18日の菅野すがの手記」
  ーああ、気の毒な友よ。同志よ。
  彼等の大半は私共五、六人の為に、この不幸な巻き添えにせられたのである。
  私どもと交際して居ったが為に、この驚くべき犠牲に供せられたのである。
  無政府主義者であった為に死の淵に投げこまれたのである。
  ああ、気の毒な友よ。同志よ。
  ああ、神聖な裁判よ。公平な裁判よ。日本政府よ。東洋の文明国よ。
  行え、従ままの暴虐を。
  為せ、無法なる残虐を。

最近の詩(3) まんまる

2010年08月21日 | 
まんまるは
まるで雨の滴みたいな
子供たちの笑顔

学校帰りの小学生たちに
道を聞きながら
それをメモするぼくの手帳を覗き込んで
「その字の書き順違う!」
「ぜったい違う!」とわいわいがやがや

「そんなら正しい書き順を書いてくれる?」と聞く
ぼくの手帳に
どの子も
てんで出鱈目な書き順の子供たち

ぼくもまんまるい目になって
やっと笑うのを我慢しながら
「学校で先生にもう一度聞いてみた方がいいよ」

見上げる夕空には
行き場を失った
はぐれ雲があちこち

最近の詩(2)  さらば

2010年08月21日 | 政治
見上げたって
到底見えないけれど
確かに存在している昼間の星々

眠りの上へと降りそそいで
失われてしまった
夢の総量をまたふたたび
快復させようとする夜の星々

農薬や毒まみれや人権侵害で
すっかり涙もろくなってしまったぼくら
米国からの狂牛病の肉を食べ過すぎたせいなのか
あまりにも否定され
差別つづけたせいなのか
脳味噌が液状化しつつあるぼくら

いつだって
人体実験の場だった学校給食や
コンビニ弁当たち
偽装だらけだった
日本低国の官僚システムの向こうには
札束を数えることに倦むことのない
銀行員や企業官僚たちの後ろ姿

もはやぼくらの文明の
すべての醜悪さに
おさらばする季節が
やってきたのに違いない

カプカプと
今日もまた疲れだけの一日が終る
人生など 
好きなように
塗ったくればいいだけの話し