関東大震災については、女性史研究家でアナーキー詩人高群逸枝の自伝で読んだkりだけど・・暴行されて刑務所へと連行された琉球人の知人を救いだすシーンが忘れらない。
自警団の検問・襲撃を受けたのは植民地にされたばかりの朝鮮人だけではなくて、中国人や、言葉の不自由な人々や、訛のきつい琉球等の人々も多かったという。
日本歴史最大の汚点だと思う。
憲兵・警察に虐殺された大杉栄一家や労働運動家を含めて、約六千人~一万人が虐殺されたという。
宮澤賢治には関東大震災や祖国を失って流浪する朝鮮人についての詩があるというのに・・関東大震災に遭遇した琉球の詩人山之口獏には、どうしてそのような詩がないのだろうか・・
◆関東大震災について簡潔明瞭なのは「関東大震災」(今井清一)ー
http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/(「評論研究」ページの中ほど)
兜
石久保 豊(いしくぼ とよ 1907.6.30 東京都文京区生誕。無所属歌人。すでに九十路をはるかに越えて病を養いながら、短い小説や随筆を老人たちの仲間誌に書き継いできた。創作短編「ぬくもり」などの傑作が。下記掲載作は、平成十六年(2004)五月「電子文藝館」の請いにより静岡の病床からの自撰八十八首の一部)
住み捨てし家の扉の大き鍵文鎮に使ふうつくしければ
御仏の御手を憎めり一(いつ)としてわれを抱き給ふ形なかりき
メタンガスふくむ泥土(でいど)に生きむとし小さき貝ら呼吸穴(いきあな)をもつ
とぎたての鋏白布(はくふ)をすべるとき海見たくなりぬ夏潮の海
蟹の甲青きが光りゐる厨潮騒(しほさゐ)の如き胸の葉もれ陽
陽に映えて雲のゆききの見ゆる窓北にありたり北を愛さむ
青き海もたたなはる山もつひに見ず一夏(いちげ)を過ぎて紺の帯買ふ
イエズスは粗布(そふ)をわづかに巻きしのみわが乳房神は何にて被はむ
半眼に哀れむ微笑弥陀仏を今日より永く永く憎まむ
一枚の藍の布置く初夏を根来(ねごろ)の卓に憩はしむべく
子をなさねば未だ乳首のととのはぬ胸もてりけり苺を洗ふ
消えたつていいのに燻りつづける火 誰か息荒く吹いてくれぬか
三度目のじやが芋の芽をゑぐり居りこのしぶとさを少し愛して
沈むまで時かけて待ち注ぐなり静かにひとり深夜の玉露
まあだだよばかり聞きゐてもういいよ終に聞かざりし耳を疑ふ
土踏まず夏の砂より知らざりしをある夜の人の唇(くち)が盗みぬ
思ひ出は唐突に来て傍(かたは)らに粗品(そしな)のごとく哀しみをおく
放ちやれば鱗粉白く残しゐて蝶は盗めり渦巻く指紋
なるように成りし一生(ひとよ)かとぼけ顔の泥鰌のアップテレビは映す
生きてあることが難しくなりてゆく冬用のもの何と重たき
かさこそと秋と冬とがささやき合ふ銀杏の金の吹き溜り道
砂時計ひつくり返して睨みをり最後の一分何とも速い
鳴き交す鴉に美醜の声ありて青葉の朝の賑ひとなる
一抜けた二抜けた鬼も三抜けてまだ明るきに蝙蝠の飛ぶ
ばつさりと造花のバラを捨てて来ぬ今年最後の不燃ごみの日
自警団の検問・襲撃を受けたのは植民地にされたばかりの朝鮮人だけではなくて、中国人や、言葉の不自由な人々や、訛のきつい琉球等の人々も多かったという。
日本歴史最大の汚点だと思う。
憲兵・警察に虐殺された大杉栄一家や労働運動家を含めて、約六千人~一万人が虐殺されたという。
宮澤賢治には関東大震災や祖国を失って流浪する朝鮮人についての詩があるというのに・・関東大震災に遭遇した琉球の詩人山之口獏には、どうしてそのような詩がないのだろうか・・
◆関東大震災について簡潔明瞭なのは「関東大震災」(今井清一)ー
http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/(「評論研究」ページの中ほど)
兜
石久保 豊(いしくぼ とよ 1907.6.30 東京都文京区生誕。無所属歌人。すでに九十路をはるかに越えて病を養いながら、短い小説や随筆を老人たちの仲間誌に書き継いできた。創作短編「ぬくもり」などの傑作が。下記掲載作は、平成十六年(2004)五月「電子文藝館」の請いにより静岡の病床からの自撰八十八首の一部)
住み捨てし家の扉の大き鍵文鎮に使ふうつくしければ
御仏の御手を憎めり一(いつ)としてわれを抱き給ふ形なかりき
メタンガスふくむ泥土(でいど)に生きむとし小さき貝ら呼吸穴(いきあな)をもつ
とぎたての鋏白布(はくふ)をすべるとき海見たくなりぬ夏潮の海
蟹の甲青きが光りゐる厨潮騒(しほさゐ)の如き胸の葉もれ陽
陽に映えて雲のゆききの見ゆる窓北にありたり北を愛さむ
青き海もたたなはる山もつひに見ず一夏(いちげ)を過ぎて紺の帯買ふ
イエズスは粗布(そふ)をわづかに巻きしのみわが乳房神は何にて被はむ
半眼に哀れむ微笑弥陀仏を今日より永く永く憎まむ
一枚の藍の布置く初夏を根来(ねごろ)の卓に憩はしむべく
子をなさねば未だ乳首のととのはぬ胸もてりけり苺を洗ふ
消えたつていいのに燻りつづける火 誰か息荒く吹いてくれぬか
三度目のじやが芋の芽をゑぐり居りこのしぶとさを少し愛して
沈むまで時かけて待ち注ぐなり静かにひとり深夜の玉露
まあだだよばかり聞きゐてもういいよ終に聞かざりし耳を疑ふ
土踏まず夏の砂より知らざりしをある夜の人の唇(くち)が盗みぬ
思ひ出は唐突に来て傍(かたは)らに粗品(そしな)のごとく哀しみをおく
放ちやれば鱗粉白く残しゐて蝶は盗めり渦巻く指紋
なるように成りし一生(ひとよ)かとぼけ顔の泥鰌のアップテレビは映す
生きてあることが難しくなりてゆく冬用のもの何と重たき
かさこそと秋と冬とがささやき合ふ銀杏の金の吹き溜り道
砂時計ひつくり返して睨みをり最後の一分何とも速い
鳴き交す鴉に美醜の声ありて青葉の朝の賑ひとなる
一抜けた二抜けた鬼も三抜けてまだ明るきに蝙蝠の飛ぶ
ばつさりと造花のバラを捨てて来ぬ今年最後の不燃ごみの日