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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

福島医大の立場を揺るがす「検査項目省略」

2013年05月03日 | フクシマ原発震災
  《OurPlanet-TV》から
 ◆ 【資料は語る】「精密」はウソ??甲状腺検査で観察項目を大幅省略

 「精度の高い検査」と説明されてきた福島県県民健康管理調査の甲状腺検査
 毎日新聞が4月22日、甲状腺超音波診断ガイドブックの診断基準に記載されている検査項目のうち4項目が省略されていると報じたことに対し、福島県立医科大の放射線医学県民健康管理センターが、反論した。
 しかし、OurPlanetTVの入手した2011年の資料によると、3分の1にあたる4項目が×印や線で消されており、ガイドブックに沿った診断が実施されていないことは明らか。入手した資料を公開する。
平成23年度甲状腺検査市町村別検査結果

※2次検査対象者および結節ありと診断された子どもの市町村別人数と割合(県の資料をもとにOurPlanetTVが作成)

 入手したのは、2011年8月4日から毎週開催されている県立医科大学県民健康管理センターの「甲状腺専門委員会」資料。
 県立医科大では2011年10月より、他の地域に先駆けて、飯館村、浪江町、川俣町の山木屋地区に住んでいた18歳以下の子ども4000人を対象に、県立医科大学で甲状腺検査を実施。その後、11月以降、田村市、南相馬市、伊達市、川俣町(山木屋地区以外)、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、葛尾村の約28000人を対象に検査を実施し、平成23年度に、計38114人が検査を受けている。
 ▼ 効率化のために、観察項目を除外
 飯館村、浪江町、川俣町山木屋地区を対象とした先行調査では、検査に専門医が一人あたり1日50人だったが、その後、1人あたり60人に診断数を増加。そのほかの地域を対照とする11月以降は、指導医と技師でチームをつくり、1日5ブースを用意。1チームあたり1日100人計500人をこなすことを目標とした。
 20万人もの子どもに甲状腺の検査をこととなった県民健康調査。専門委員会は初回から「5チームが連日効率よく検診が出来るかが鍵」としており、甲状腺結節診断基準などを検討する2011年9月13日の第4回の委員会で、「甲状腺の内部変化」「血流の状態」「腫瘤内外の血流状態」や「組織弾性イメージング(エラスとグラフィ)」を観察項目から除外1人あたりの診断時間は大幅に縮小された
 2012年1月25日に開催された第5回福島県県民健康管理調査の準備会(「秘密会」)で、放射線影響研究所の児玉和紀主席研究員が「3ヶ月で1万人もの検査していることは驚異的」と発言したところ、鈴木教授は「今は1日900人実施している。単純なシステムを開発した」と回答していた。

(2011年9月13日の第4回甲状腺専門委員会での配布資料)


(2012年1月25日の福島県県民健康管理調査検討会「秘密会」議事録より)

 甲状腺超音波ガイドブックは2010年に改訂され、甲状腺全体の観察項目として、(1)甲状腺の形状、(2)大きさ(3)甲状腺内部の変化、(4)血流の状態の4項目をを挙げているほか、結節性甲状腺腫の観察項目として(1)形状、(2)境界、(3)内部エコー、(4)境界部低エコー、(5)周辺機器との関係、(7)腫瘤内・外の血流状態(8)組織弾力イメージングを実施するとしている。
 県民健康調査の甲状腺検査は、このうち3分の1にあたる、4項目を除外していたことになる。また、作成された「実際の作業の手順」も非常に簡素なものとなっている。

 県民健康調査甲状腺検査の責任者を務めている福島県立医科大の鈴木真一教授は、同ガイドブックの検討メンバーの一人。
 これまで、福島県県民健康調査検討会でも、診断基準を整備した当事者として、同水準の検査をすると述べており、福島県内各地で開催されている甲状腺説明会でも、ガイドラインに沿った精度の高い甲状腺検査を実施していると発言してきた。
 医師が直接診断しない福島県の甲状腺検査。
 写真などのみによる判定に不安を抱く保護者も多く、診療所や自主検診などで再度、検査をするケースも少なくない。
 また、大人数が同時に検査をするためにトラブルも多く、甲状腺専門委員会に提出された「アクシデント・リポート」によると、去年11月9日、郡山市内の中学校では、600人以上の生徒に対し、検査技師が午前4名、午後3名となり、結果的に160人が当日検査を受けられない事態が生じた。
 このほか、機器がうまく稼働せずに、検診の開始が遅れるケースなども出ている。

 ※ OurPlanetTVが入手した甲状腺診断検査に関する資料
http://www.ourplanet-tv.org/files/echo_pdf.pdf
第5回福島県県民健康管理調査検討会準備会(秘密会)議事録(2011年1月25日)
http://www.ourplanet-tv.org/files/20120125_kkk02_0.pdf
福島県立医科大放射線医学県民健康管理センターの毎日新聞報道へ対する抗議
http://fukushima-mimamori.jp/urgent-info/2013/04/000092.html
県立医科大が抗議している毎日新聞の報道(福島、子供の甲状腺検査 高まる県民の不信)
http://mainichi.jp/opinion/news/20130422ddm003040127000c.html
 ※ 関連動画
甲状腺がん「被曝の影響、否定出来ず」?疫学専門家インタビュー(2013年3月6日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1549
福島県甲状腺検査~3人が甲状腺がん、7人悪性疑い(2013年2月13日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1532
甲状腺のヨウ素被曝、東京成人5.2mSv~米国防省推計(2012年12月5日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1475
甲状腺の検査改善求め~市民が県立医大に要望(2012年9月15日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1441
『OurPlanet-TV(特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー)』(04/24/2013)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1577
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