◎ 申 入 書
2015年1月21日東京都教育委員会 教育委員長 木村 孟 殿
教育長 比留間英人 殿
<申し入れの趣旨>
東京都教育委員会は、2003年10月23日に、卒業式・入学式等において「日の丸・君が代」を強制する「10.23通達」を発出しました。これ以降、東京の学校現場では命令と服従が横行し、自由で創造的な教育が失われています。
2012年1月、最高裁第1小法廷は、懲戒処分取消等請求事件の判決において、東京都の「裁量権の逸脱・濫用」を認定して減給1月、停職1月の処分を取り消しました。また、2013年9月の5件の懲戒処分取消等請求事件の最高裁判決では、30件・25名の減給・停職処分が取り消されています。また河原井純子さんの停職1月に伴う国賠請求事件では、最高裁で都教委の敗訴が確定しました。
さて、2015年1月16日、東京地方裁判所(民事11部佐々木宗啓裁判長)は、東京「君が代」裁判第三次訴訟(平成22年(行ウ)第94号懲戒処分取消等請求事件)において、上記最高裁判決を踏襲し、「裁量権の逸脱・濫用」として31件(26名)の減給・停職処分を取り消しました。
これら一連の訴訟の判決は、10・23通達などの「日の丸・君が代」強制に係わる従来の都教委の施策の抜本的な見直しを迫るものです。
しかるに、都教委は、「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」(平成24年1月24日)の「議決」を根拠に、これまでの姿勢を改めることなく最高裁判決にも反した減給を含む懲戒処分を出し続け、更には「服務事故再発防止研修」を質量共に強化しています。
現在の研修は、明らかに内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与えるものであり、東京地裁決定(2004年、民事19部、須藤典明裁判長)に違反するものです。
また都教委は、原告に対して謝罪するどころか、2013年9月の最高裁判決で減給処分が取り消された現職の教員7名に対し、同年12月17日に改めて戒告処分を発令するという暴挙を行うに至っています。
「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について」(平成24年1月24日)の都教委の「議決」は、一連の最高裁判決で校長の職務命令が、思想・良心の自由の「間接的制約」であること、「減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」だとして減給・停職処分が取り消されたこと、反対意見、補足意見が多数出されていること等をことさら無視して、都教委に都合の良い部分だけを取り出して「日の丸・君が代」強制を合理化しています。
貴教育委員会が、一連の最高裁判決と今回の地裁判決を重く受け止め、責任ある教育行政としての立場を自覚するとともに、司法の判断を尊重して、問題解決のため下記申し入れを誠実に検討し、回答することを強く要求します。
<申し入れ事項>2015年1月21日
1 東京都教育委員会が2003年10月23日に発出したいわゆる「10.23通達」を撤回すること。
2 同通達に基づく一切の懲戒処分・厳重注意等を取り消すこと。
3 最高裁判決(2012年1月、2013年9月)及び東京地裁判決(2015年1月16日)に従い、10.23通達に基づく全ての減給・停職処分を即時取り消すこと。
4 2013年12月17日の現職教職員7名に対する戒告という再処分を撤回し、該当者に謝罪すること。また、新たな再処分を行わないこと。
5 同通達に基づく校長の職務命令を発出しないこと。
6 卒業式、入学式で同通達に基づく新たな懲戒処分を行わないこと。
7 同通達に係わり懲戒処分を受けた教職員に対する「服務事故再発防止研修」を行わないこと。
8 卒・入学式等での「君が代」斉唱時に生徒の起立を強制し、内心の自由を侵害する「3。13通達」(2006年)を撤回すること
9 「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱にっいて」(平成24年1月24日)の都教委の「議決」を撤回すること。
10 国際自由権規約委員会の勧告(総括所見パラグラフ22 2014年7月24日)を尊重し、思想・良心・宗教の自由の権利を通達・命令・研修などで制約しないこと。
11 最高裁判決に従い、「紛争を解決する」ための具体的改善策を策定すること。
12 2014年2月27日の都知事定例記者会見において、舛添知事は「週刊金曜日」記者の日の丸・君が代の問題についての質問に答えて「10.23通達含めて、これからどうするかっていうのは、これは少しまた検討課題で時間をいただきたい…」、また「…処分内容について…都教委がどういう判断であるかっていうのを直接やっぱり聞かないとわかりません」と答えています(東京都HP『知事の部屋』・記者会見」)。
(1)その後舛添知事は10.23通達について検討したのか、また処分内容につき都教委に聞いたのか。検討した場合、また聞いた場合は、①その時期、②都教委側の説明者、③説明内容、④知事のそれに対する・反応・見解などを明らかにされたい。
(2)また、まだ検討も、「聞く」とともしてない場合は、①その理由と②今後の検討乃至「聞く」予定につき明らかにされたい。
13 都教育庁関係部署(人事:部職員課、指導部指導企画課、教職員研修センター研修部教育経営課など)の責任ある職員と被処分者の会・同弁護団との話し合いの場を早期に設定すること。
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団
<連絡先> 同会・同原告団事務局長 近藤徹
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