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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

『愛国心』に関するアンケート

2006年11月26日 | 平和憲法
 愛国心:支局・記者の目/20止
 「愛さずにいられない国」実現を/鳥取


 ◇気持ちよく「国歌」歌わせて--松本杏

 あなたの考える愛国心とは何ですか――。県内2大学の学生に実施した「『愛国心』に関するアンケート」で、自由記述方式で問いかけたところ、76%に上る学生が回答したのには驚いた。「誇り」「対立の原因」「国に都合がいいもの」「帰属意識」……。答えの中身は、千差万別だった。
 政界では、教育目標として教育基本法に「国を愛する心」を規定する論議が進む。戦争を知らない若い世代は「戦後教育が個を優先し過ぎたため公共の精神が希薄」として、子どものころから愛国心を教えはぐくむことをもくろんでいるのだろうが、アンケート結果が示すように、個々でとらえ方が違う「内面」の問題を法律で縛る必要や妥当性があるのか。

 東京地裁は9月、卒業式などで国旗掲揚と国歌斉唱を義務付けた東京都教委の通達を「思想・良心の自由を侵し教育基本法にも違反する」と違憲・違法判決を出した。国旗・国歌法の審議で、小渕恵三首相(当時)は「内心にまで立ち入って強制するものではない」と答弁したが、教育現場の実情をみると、宰相の言葉は何だったのかと思いたくなる。
 愛国心の議論でも、政府は「児童や生徒の内心にまで立ち入って強制すべきものでない」とする。どうして、同じことが繰り返されないと信じられるだろうか。

 亡き祖父が従軍したこともあって、「あいこくしん」の言葉の響きからは、戦前の国家・軍国主義を連想してしまう。劇作家・寺山修司の「身捨つるほどの祖国はありや」ではないが、究極的にそれが試されるのは、国の命運がかかる有事に自分を犠牲にできるか、もっといえば死ねるかどうかということだと思う。
 そんな危惧(きぐ)を抱く私にとって、「子どもは学校など身の回りのことだけ知っていればいい」とした漫画家の水木しげるさん(84)の意見に同感だ。

 アンケートで、愛国心と愛郷心が「異なる」と考える学生が6割いたのも興味深かった。その大半が「範囲・規模・対象の違い」「愛郷の方が身近」を理由に挙げたが、元防衛庁長官の石破茂・衆院議員は「故郷に戦力がないのが決定的な違い」と語った。「愛郷の延長には家族があり、愛国のそれには天皇がいる」とした鳥取大の男子学生(20)の答えは、言い得て妙と感じられた。
 平和で文化的、経済的に発展した日本に生まれたことを、私は感謝する。現実論者も理想論者も言いたい事が言える社会は素晴らしい。けれど、社会に目を転じれば、就職できずに不安な夜を過ごす若者、働いても豊かさを実感できない中高年、わずかな預金や年金を気にして病院にも行けない高齢者……と、「格差」は広がっている。それだけに、愛国心で「競争に負けたかもしれないが、国が守ってくれる」という共同体幻想を抱かせようとしているとも思いたくなる。
 「愛さずにいられない国」を実現し、「国歌」を気持ちよく歌わせてほしい。=おわり

11月22日朝刊
(毎日新聞) - 11月22日15時1分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061122-00000221-mailo-l31

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