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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

ビラ入れで刑事罰!(1)

2008年08月18日 | 応援する会の運動
 ◎ 「他者の権利」と「表現の自由」(わたしのけんり)
     ビラ入れで刑事罰!-強まる閉塞感払いのけてたたかう

藤田先生を応援する会 かわむらひさこ


「大塚とキバナ」 《撮影:佐久間市太郎(北海道白糠定、札幌南定、数学科教員)》

 ◎ あいつぐ弾圧にさらされる市民活動

◆議会報告を集合ポストに投函して市議が書類送検

 〇八年六月九日、東京・国分寺市議会議員幸野統さん(27歳)が、共産党市議団の「市議会報告」をマンションのオートロック扉外側に設置された集合ポストに投函するため敷地内に立ち入ったとして、警視庁小金井署が住居侵入容疑で東京地検八王子支部に書類送検した。
 幸野市議は投函中に住民の一人から「無許可だ」などと注意を受け、一緒に近くの交番へ行った。マンションの管理組合が五月二二日付で被害届を出したのを受け、六月九日に書類送検されたのである。
 幸野市議は「オートロック外側の誰でも立ち入れる場所で、理解できない。市民の知る権利の侵害にもつながる」と、不起訴処分を求めている(注:7/18不起訴になった)。〇四年から頻発する一連の「ビラ入れ」への弾圧が、日常茶飯事になっていることを思い知らされる。

◆立川防衛庁官舎ビラ入れで最高裁が有罪判決
 ビラ配布をめぐっては、東京都立川市の防衛庁(当時)官舎で自衛隊イラク派遣反対のビラを各戸の玄関ドア新聞受けにに投函した市民団体メンバーが住居侵人罪で逮捕・起訴され、一審(〇四年一二月)東京地裁八王子支部は「正当な政治的意見の表明で、罰するほどの違法性はない」としたが、二審(〇五年一二月)東京高裁では「表現の自由は尊重されるべきだが、他人の権利を侵害してよいとはならない」として原判決破棄、全員が住居侵入罪で罰金刑の逆転有罪判決となっていた。
 三人は「立川自衛隊監視テント村」のメンバー。二審は練馬区職員の大洞俊之さんと介護助手の高田幸美さんに罰金二〇万円を、会社役員の大西章寛さんに罰金一〇万円を言い渡し、弁護側が「ビラ配り目的の立ち入りを有罪としたのは憲法違反」と上告していた。
 〇八年四月に最高裁第二小法廷(今井功裁判長)は、上告棄却の判決を、言い渡し、高裁判決が確定することになった。今井裁判長は「三人の行為を罪に問うことは、表現の自由を保障した憲法に違反しない」とした。

◆政党ビラ配布で住居侵入罪
 僧侶である荒川庸生さんは〇四年一二月、都内のマンションで共産党の「都議会報告」などのビラをドアポストに入れたとして逮捕された。東京地裁は〇六年八月、「ビラ配布目的だけであれば、共用部分への立ち入り行為を刑事罰の対象とする社会通念は確立していない」とし、無罪を言い渡した。
 一審当時、荒川さんの逮捕をめぐっては、逮捕前から公安の尾行がついていたことや、警察への通報から逮捕までの信じられない迅速さなどが問題視された。
 しかし東京高裁は昨年一二月、「ビラ配布を含めた部外者の立ち人り禁止は、マンション管理組合の理事会で決定され、住民の総意に沿うものだった」とし、「表現の自由は絶対無制限に保障されるものではなく、他人の財産権を不当に害することは許されない」として罰金5万円の逆転有罪判決を言い渡した荒川さんは現在上告中である。

 ◎ 「公共の秩序」のために監視される市民

◆街頭行動を監視、団体名など 記録-浦安市

 警備会社が行政に委託され、東京ディズニーリゾートの玄関口であるJR京葉線舞浜駅と隣接の新浦安駅前で、ビラやティッシュ配布をしている団体の名前などを記録していた。両駅では駅前広場をはじめとしてロータリー、通路など市街地でのビラ、チラシ、ティッシュ配布が多く、市側は「(両駅前は)『市の顔』ともいえ、整然とした状態を保ちたい」と説明している。
 ところが街頭活動を規制する市条例などはないのに、一般市民がこれら警備員から署名集めを中止させられ、「表現の自由やプライバシー権の侵害だ」「行き適ぎた住民監視だ」という声が上がったため、「状況確詔」に留めるとしたものの、実際にはその報告書にビラ配布の人数や時間、黒塗りの個人名とみられる記載もあったと毎日新聞が報道した。
 市側では「報告書の情報を何かに使うことはない。公共の福祉のために、表現の自由が一定程度制限されることはやむを得ない。」と話している。だが、警備会社への委託料は今年度五三七万円だという。こうした住民監視のために税金が使われていることを注視したい。
 これは過剰なサービスというだけではすまない。市民が実生活の中で表現の自由を奪われているうちに、知らず知らずのうちに市民の内面で萎縮が始まっていく。これが市民社会に影響を及ぼしている。民主主義が市民の内面から崩されようとしている。

◆情報は恣意的に使われる-京都でのタウンミーティング
 前掲の千葉での例で「報告書の情報を何かに使うことはない」と行政は言うが、教育基本法改悪をめぐり、悪名高いタウンミーティングで、露骨な人権侵害そのものの事件があった。
 そもそもタウンミーティング自体にPTAを抱き込んでのやらせ発言があったり、エレベーターのボタンを押して報酬が何千円という噴飯ものの茶番劇だったことは記憶に新しいが、傍聴に応募した市民が抽選から外れたことに、許し難い裏工作があったことが発覚したのだ。
 その市民が活動家であり、どの集会でどのような発言をする人間だ、ということまで主催者側に知れ渡っていた。この裁判は昨〇七年から始まっている。

◆防衛庁による市民運動調査
 〇六年、防衛庁が全国各地で行われている市民集会の集会名、参加者数、主催者名の一覧表を作成していることが明らかになった。
 イラク反戦や反基地など平和運動のみならず、消費税反対運動まで、細かく調査している。高校生の集会にまで及んでいる。
 実際、都内で行われる各種集会では会場の周囲を公安が取り巻き、参加者一人一人を性能の艮さそうなカメラで撮影をしているし、署名集めなどをマイクを使ってお願いしながら会場近辺でやっていると、必死でメモをとっいる。ビラを撒けば私服は通行人のふりをして受け取る。
 こうした情報が蓄積され、それがどのように使われるのか。京都の例はおぞましい感すらある。少し前ならば、権力はその程度のことは把握していても、このようにあからさまには見せつけなかった。
 今年の洞爺湖サミットでは、一週間前から東京の主要駅で物々しい警備が展開された。こんなに警官がいたのか!と思うほどの動員だ。随所に踏み台を置いて、一人はその上に立ち、市民を睥睨しているかのようだった。見せる警備。それは権力側は市民の動向は把握している、という自信の現れだろうか。
 (続)

『科学的社会主義』(2008.8 №124 《特集》 非核・平和、人権の社会を築く)

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