《『いまこそ』シリーズ「いま学校現場では」》
◆ 英語教育の近況と偏重
様々なタイプの都立学校のくくりとは別に、進学指導重点校や進学指導特別推進校12校が大学進学に重点をおいた指導をという「都民の要望」に応える名分で2001~07年「指定」された。都教委から様々な「優遇」を受けると同時に問題点をも背負ってきた。
教員の涙ぐましい努力による「成果」と進学指導の命題を果たすために行われている数多くの労苦をすべて紹介する紙面はないが、ここでは一部の高校の英語教育に関して自分の身近に起きている事柄を報告するに留まること、さらに注*の多さをご容赦願いたい。
TEEP*という言葉をお聞きの方もある通り、都立高校改革推進計画(2015)の一つの柱として2016年から小学校、17年から中高で、都教委は「グローバル化する日本を支える人材の育成」に関するプロジェクトを行う。
高校・中等では、15年からの「グローバル10」*の指定、16年から英語教育推進校*40校の指定、JET(ジェット:英語指導補助員)の複数配置、18年グローバルゲイトウェイプロジェクト(TGGP)いわゆる「英語村」*、13年から次世代リーダー育成道場*等、次々と降りかかる通知を教員は読解し対応していく。
数々のプロジェクト中、たとえば前述の英語教育推進事業については指導部高指課の通知により「使える英語力」を目指し3年間
①外部検定試験*による生徒・教員の英語力判定のための1個学年分の受験料予算措置
②各生徒へのタブレットPC配置による視覚的発音矯正設備
③オンライン英会話*
④教員向け講演・研修会の実施
などを施し、新大学入学試験の対応、聴く・話すに焦点を当てた指導が求められる。
そのための教員の研修、外部試験受検後の検証報告、指導課長による学校訪問協議(14校)対応などを伴い、上記①~④すべてにはベネッセ等外部機関の利用が前提である。
推進校に対しこれほどの莫大な予算が下り、教員のタッチしないところで一定の業者丸投げに近い教育内容と予算決定を受け入れざるをえない。
多くの場合英語教育推進校と進学指導重点校・特別推進校は重なるが、進学指導体制に向けて対策予算がつくことはあり得るとしても学習コンテンツ*など教育内容への介入や教育方法の強要には警戒していなければならない。
「外部機関による進学コンサルティング事業」と称して高指課指導主事+各予備校からの複数回にわたる訪問調査を受け進学指導体制・指導力に関する講評、ヒアリング、課題の抽出、改善ロードマップやシラバスの提出、その評価を受ける。
Can-Do List*の作成・提出、アクティブラーニングの形態検証、新大学入試英語への計画(各種検定受検)、「学校学力スタンダード」、外部機関(代ゼミ等)の改善案検討、EDTECH企業*の進出等に、通常の仕事以外にかなりの時間を割くことになる。
また定期考査・実力テストなどの作成・出題・採点・処理スピードについてまでベネッセ等が「分析」「対策」「検証」をすることにも教員は精神的に追われる気持ちになっている。
「研修生」*の教員などは連夜9時10時まで授業準備をしている状態がある。
生徒は無料で上記のような「恩恵」を受ける傍ら20時まで開けている自習室で学習したり講習を受けたりし、他のことを考える暇もない。
「使える英語」を学んでいるのだからと、近くオリ・パラのためのボランティアなぞに動員されはしまいかと危惧する。
授業は一年生の場合JETとのTTが主で、一部文法説明などを除き基本的にオールイングリッシュで行い、アクティブラーニングをできるだけ取り入れて、ペアやグループでQ&A・画像の説明・ディスカッション・大意要約・自分の意見の伝達という組み合わせで次々に活動させる。
1時間あたり、
小テストを含め5種類のワークシート、
機器では、ICTパソコン、ケーブル、ディスプレイシート、CDプレイヤー、タイマー、
その教材として、デジタル教科書、フラッシュカードのパワポ、文法事項用ファイル、背景資料画像・動画
…を担ぎ、この英語授業の正しさに確信が持てないまま教室へと向かう毎日である。(N.T)
◆ 英語教育の近況と偏重
様々なタイプの都立学校のくくりとは別に、進学指導重点校や進学指導特別推進校12校が大学進学に重点をおいた指導をという「都民の要望」に応える名分で2001~07年「指定」された。都教委から様々な「優遇」を受けると同時に問題点をも背負ってきた。
教員の涙ぐましい努力による「成果」と進学指導の命題を果たすために行われている数多くの労苦をすべて紹介する紙面はないが、ここでは一部の高校の英語教育に関して自分の身近に起きている事柄を報告するに留まること、さらに注*の多さをご容赦願いたい。
TEEP*という言葉をお聞きの方もある通り、都立高校改革推進計画(2015)の一つの柱として2016年から小学校、17年から中高で、都教委は「グローバル化する日本を支える人材の育成」に関するプロジェクトを行う。
高校・中等では、15年からの「グローバル10」*の指定、16年から英語教育推進校*40校の指定、JET(ジェット:英語指導補助員)の複数配置、18年グローバルゲイトウェイプロジェクト(TGGP)いわゆる「英語村」*、13年から次世代リーダー育成道場*等、次々と降りかかる通知を教員は読解し対応していく。
数々のプロジェクト中、たとえば前述の英語教育推進事業については指導部高指課の通知により「使える英語力」を目指し3年間
①外部検定試験*による生徒・教員の英語力判定のための1個学年分の受験料予算措置
②各生徒へのタブレットPC配置による視覚的発音矯正設備
③オンライン英会話*
④教員向け講演・研修会の実施
などを施し、新大学入学試験の対応、聴く・話すに焦点を当てた指導が求められる。
そのための教員の研修、外部試験受検後の検証報告、指導課長による学校訪問協議(14校)対応などを伴い、上記①~④すべてにはベネッセ等外部機関の利用が前提である。
推進校に対しこれほどの莫大な予算が下り、教員のタッチしないところで一定の業者丸投げに近い教育内容と予算決定を受け入れざるをえない。
多くの場合英語教育推進校と進学指導重点校・特別推進校は重なるが、進学指導体制に向けて対策予算がつくことはあり得るとしても学習コンテンツ*など教育内容への介入や教育方法の強要には警戒していなければならない。
「外部機関による進学コンサルティング事業」と称して高指課指導主事+各予備校からの複数回にわたる訪問調査を受け進学指導体制・指導力に関する講評、ヒアリング、課題の抽出、改善ロードマップやシラバスの提出、その評価を受ける。
Can-Do List*の作成・提出、アクティブラーニングの形態検証、新大学入試英語への計画(各種検定受検)、「学校学力スタンダード」、外部機関(代ゼミ等)の改善案検討、EDTECH企業*の進出等に、通常の仕事以外にかなりの時間を割くことになる。
また定期考査・実力テストなどの作成・出題・採点・処理スピードについてまでベネッセ等が「分析」「対策」「検証」をすることにも教員は精神的に追われる気持ちになっている。
「研修生」*の教員などは連夜9時10時まで授業準備をしている状態がある。
生徒は無料で上記のような「恩恵」を受ける傍ら20時まで開けている自習室で学習したり講習を受けたりし、他のことを考える暇もない。
「使える英語」を学んでいるのだからと、近くオリ・パラのためのボランティアなぞに動員されはしまいかと危惧する。
授業は一年生の場合JETとのTTが主で、一部文法説明などを除き基本的にオールイングリッシュで行い、アクティブラーニングをできるだけ取り入れて、ペアやグループでQ&A・画像の説明・ディスカッション・大意要約・自分の意見の伝達という組み合わせで次々に活動させる。
1時間あたり、
小テストを含め5種類のワークシート、
機器では、ICTパソコン、ケーブル、ディスプレイシート、CDプレイヤー、タイマー、
その教材として、デジタル教科書、フラッシュカードのパワポ、文法事項用ファイル、背景資料画像・動画
…を担ぎ、この英語授業の正しさに確信が持てないまま教室へと向かう毎日である。(N.T)
【注】予防訴訟をひきつぐ会通信『いまこそ 18号』(2019年1月31日)
*<TEEP> Tokyo English Empowerment Project
*<グローバル10> 都の「高校改革推進計画」の一環。計10校が指定
*<英語教育推進校> 2016年通知。進学指導重点校、進学指導特別推進校、中等学校、他、計40校
*<英語村> 2018年、ビッグサイトに開設。オフィス、店舗、カフェなどすべて英語環境の中で生活体験するための施設
*<次世代リーダー育成道場> 都立高校生等の志望者から選抜し、国内研修で学びその後留学して将来世界で活躍する若者を輩出しようとする制度
*<外部検定試験> 英検、TEAPテスト、GTEC等
*<オンライン英会話> 2016年より12校。40台のタブレットを使いwi-Fiでのスカイプによってリアルタイムで海外のネイティブと1対1で会話練習する
*<学習コンテンツ> ICTを通じて教員が教材や素材を取り出し授業に使うための情報内容
*<Can-Do List> 各学校において学習到達目標を具体的に設定するもの
*<EDTECH企業> テクノロジーを用いた教育をビジネスとして開発している企業
*<研修生> 「将来指導的役割を担う教員の育成」のため、応募者の中から受け入れ校へ教職員研修センターが1年間出向させる制度
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