この豆本は「絵本隅田川一覧」「東都勝景一覧」「画本東都遊び」という三冊をひとまとめにしたものである。
このころの画集の冊子は、いずれも横長の一つの画が見開きの左右のページに半分ずつになっていることが普通なので、私が豆本にする場合は、それぞれを合わせて一枚絵とした横長本に作るのを通例としている。ただ合成は真ん中に線が残ったり、合わせ目がずれたりとなかなかうまくゆかない。
特に今回の最初の「隅田川両岸一覧」は三図を除いて、さらに次々と連続していて、ちょうど絵巻物を折り本にしたようになっているのだ。したがって一番上のように横長本にしても当然左右は繋がり、右の画は前のページと、左は次のページと連続している。しかし空間的には連続していても、時間的には独立していて雪の景、桜の景、紅葉の景などがならんでいるといった面白い構成になっている。
下の二枚はそれぞれの画本から、「飛鳥山」を並べてみた。同じ飛鳥山が全体的、部分的と対照的な絵になっている。