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・聖母 ホスト・マザー 仙川 環(徳間文庫)
赤ちゃんが欲しい。ただ、それだけ。
癌により子宮を失った沢井美沙子が、夫と共に実家を訪れる場面から物語はスタートする。実家には弟夫妻も訪れており、親戚一同での和やかな団欒があるはずだったが-。美沙子は突如取り乱す、原因は甥の何気ない一言“何で美沙子おばちゃんの家には子供がいないのか?”。愛する夫の子供が欲しいが、それを許さない自己の身体に虚しさと、諦めの日々を過ごす美沙子。精神は病み、ヒステリックとなっていた彼女に唯一希望を与えた一筋の光…、“代理出産”。
誰か、私に子宮を貸して-。
金銭で解決するか-。それとも、危険を伴うことにより身内で行うか-。海外か、途上国か-。誰が子宮を提供するのか。“代理出産”をするにあたり、それに関して発生する問題が次々。それでも、美沙子の赤ちゃんが欲しい想いは膨らむ一方であった。美沙子の心情の変化を描写すると共に、代理出産をする者の心情および置かれた現状をも描き出している。“代理”する側の者にも、その行為に取り組む理由が存在する-。とにかく何が正しく、どうすればハッピーエンドなのか全くわかわない物語。遠いようで身近な問題“代理出産”を考えるには非常に良い一冊。エンターテイメント性も高く、最後の結末は驚かされる!えっ!!と思わされる結末なので、読み終えるまで面白さが続く。